2022 年 10 月 4 日の朝,北朝鮮からミサイルが発射され,Jアラート……いわゆる「空襲警報」が発信された。結果的には,青森県の上空を通過し,太平洋の排他的経済水域(EEZ)の外に落下したものの……やはり,いろいろと問題を感じたので,ここでぶちまけてみたい。
● そもそも詳しいことが見れない
他の記事にもよく書くが,筆者はほとんどテレビを観ない。自宅にテレビはあるものの,パソコンなどのモニタとして使うつもりで置いてあるだけで,観る気がないからアンテナ線がない。だから,Jアラートだろうと何だろうと,普段テレビから知ることは不可能だ。
ただ,その日はたまたま親戚の家に居たため,結局,「Jアラートの発信」は,テレビを観ていたその家の住人から第一報を聞いた。
なぜ観ないのかと言うと……まぁ,お金がもったいないからだ。ネットにはテレビの放送内容に疑問を抱く意見ばかりあふれているうえに,最近は NHK でさえ BPO(放送倫理・番組向上機構)から「『重大な』放送倫理違反」と指摘される番組をタレ流すレベル。なんでも,オリンピックの反対デモ関連の取材で確認が不十分だったため,「事実と異なる受け取られ方」をする番組を放送したみたいな話だ。観ないから詳細は知らないけど。つまり,NHK の番組を観ると「誤った判断」に結びつくということだ。そんなものをわざわざ受信料を支払ってまで観る意味ないでしょって。
……なんて言っておけば,頭良さそうに思われるかなって気もしているが,じつはここ数年ほど,コロナの影響で収入がなくなっちゃっているから,受信料の「支払い能力がない」ことのほうがウエイトが高かったりする。一方,その「放送倫理違反」な番組を作っている人たちは,年収が一千万前後あったりする。それであの人たちは「SDGs! 貧困や格差をなくそう!」とか言っちゃっていたりする。
が,だいたいそういった「キレイゴト」は,そう声高に叫ぶ人たちが「元凶」だったりすることも多い。「受信料」は,NHK を観る観ないに関わらず,どんなに収入の低い人たちにも課す一方で,自分たちは正確な取材もロクにせず倫理違反認定されるような番組を放映し,受信料を払った人の何倍もの年収を持って行く……それが「格差を広げる原因になっていない」と言えるのか。格差を広げる元凶の方々が作った,倫理違反と断定されるような疑問と矛盾だらけのテレビ番組なんか,受信料を払ってまで観る価値などなかろう。だから筆者はテレビを観ない。
ちなみに,NHK はその「倫理違反」を指摘された後,会長が謝罪会見した話は聞かない(2022-10)。これが今の NHK のコンプライアンス。ちなみ2,その会長は以前「みずほ銀行」の社長だったようだが,みずほと言えば様々なシステムトラブルを起こした金融機関。それは,その方が社長だった頃に作られたシステムな気がするのだが,やはり当時の社長として謝罪会見したような話は聞かない。これが今の NHK 会長のコンプライアンス意識。
てなわけで,そんなコンプライアンス意識のない人たちが作る番組など,ギリギリの生活の中で受信料を支払ってまで観る価値など感じないから,自宅に観れるテレビは置いてないんで,NHK は来ないでほしい。
とはいえ,これでは「Jアラート」を速報で知ることができるのは,そうしたテレビ番組をタレ流して観れるだけの受信料を支払える余裕のある人たちだけで,そこまで余裕のない低収入な人は,空襲に気付かず無防備なまま殺られる可能性が高くなってしまうのではないだろうか。
じつはこれを解決するのは技術的には簡単。「スクランブル化」をして,普段は受信料を支払っている人だけ観れるようにすればいい。で,Jアラートなどの緊急速報はスクランブル解除で放送すればいいだけの話。そうなっていないから,NHK の受信料が支払えないために「テレビ視聴」そものもをあきらめている方がけっこういるのではないか。それは結果的に,「Jアラート」を知る機会を減らして,憲法が謳う「知る権利」や「生存権」を半ば奪っていることになるのではないのか。
◆ 民間 SNS 媒体のリスク
とりあえずは他の情報源を探すべく,最近情報源としているスマホで検索したら,最初に掲載されていたのが「Twitter」の首相官邸のアカウントだったと思う。そのリンクをたどって見た Tweet がこれ。
▼ Jアラートを伝える首相官邸の Twitter |
いろいろと詳しいことを知りたかったわけだが,画面の下 20% ほどは「アプリに切り替えない?」という,いわば Twitter 社の広告だ。これでは,見れる情報量を制限しているようなもの。と同時に,危機に便乗して自社サービスを売り込もうとしているようにも見える。
これだと下が見えないので,スクロールする。すると,こうなる。
▼ Jアラートは見れなくなる |
この画面が出てしまうと官邸の Tweet 内容は見れなくなる。どうしても見たい場合,Twitter のアカウントを持っていればそれでログインすればいいが,持っていなければ登録してアカウントを作るしかない。だからって,緊急性のあるJアラートを見るために,Twitter の規約を今から読んで手続きをしている時間なんかないっての。すると,再度アラートを確認したい時は「再読み込み」するしかなく,もちろん再読み込みすればまた冒頭の部分が表示されて,スクロールするとまたさっきの「ログイン」を求める画面が出て,「続きを見たいならアカウントを持つかアプリをインストールしろ」という表示でブロックされ……と,同じことの繰り返しになり,永遠に「下のほう」は見れない。もしその「下のほう」に詳しい情報があったとしても,知ることはできないままだ。というわけで,Twitter ではそれ以上詳しい「Jアラート」の内容を知ることはできそうにない。
「広告が邪魔ならアプリ使えばいいだろう!」と思われるかもしれないが,筆者は Google アカウントを持っていないので,アプリをインストールできない。厳密に言うと「絶対できない」のではなく,もしその
Twitter アプリとやらが,Google Play 以外で……たとえば,Twitter
社のサイトから,誰でも……Google アカウントがなくてもダウンロードできるならインストール可能だが,たいてい Google Play からしかインストールできず,そのためには Google アカウントが必要。アカウントのない筆者は,結局アプリも使えないというわけだ。緊急性のあるJアラートを見るために,Google の規約を今から読んで手続きをしている時間なんかないっての。というワケで,Twitter で「Jアラート」の詳しい内容を知ろうとしても,現状ではほぼ不可能だ。
官邸の Twitter の表示の下部は広告でふさがれ,見れるJアラートの情報量は限られる。で,その下部を見ようとするとアカウントを作るよう求める画面が出てそれ以上の情報は見れない……なんだか,特定の私企業が「Jアラート」という危機に便乗してサービス売り込みに利用しているように見える。しかも見方を変えると,Jアラートを発信する側……つまり「政府」が,それらの企業の登録者が増えるよう優遇しているようにも見える。「優遇しているのではない!」と主張するなら,せめて「Jアラート」内容を(Twitter 社のサーバではなく)直接確認できるリンクでも貼り付けてあれば,そちらを見ようと思うだろうが,それもない。隅のほうに小さく官邸の URL が記載されているだけ。その官邸サイトも……後述するとおり,Jアラートの内容はまともに表示しない。これが今の「Jアラート」発信者(=首相官邸?)の危機管理意識であり,民間のサービスや SNS を媒体とすることのリスクだ。
◆ 官邸のサイトは
まぁ,ネットはどこでもつながるのだから,官邸のサイトを直接見ればいい……と,思って見たのがこちら。
▼ 首相官邸サイト |
さすがに,最初のほうに「Jアラート」の掲載がある。赤背景で非常に目立つ。が! 詳しい内容を知ろうとそこをタップしても,結局同じ記事が表示されるだけだった。いや,キッシーの顔を何度見せられても何も分からないのだが……この人,いつも「注視」しているだけだし。
お気づきと思うが,その「緊急速報」の上に「JavaScript を……」という記載がある。「スクリプト(Script)」とは何かというと,コンピュータを動かすための「プログラム」を記述する方式である「プログラミング言語」の一種で,特にコンピュータが直接実行するものではなく,その言語の記述を読み取る「実行ソフト」が別に実行され,それがコンピュータに指示を出す仕組みのものを「スクリプト」と呼ぶことが多い。JavaScript は,その「実行ソフト」に当たるものがウェブブラウザで,閲覧する記事内に記述されたスクリプトを実行して,その記事に様々な機能を付加する……ものなのだが,じつは筆者は普段,そのスクリプトを無効にした状態でブラウザを使っている。というのは,有効にしてしまうと多くのサイトで不要な処理やデータが増えるため。おまけに,ウイルスに感染させたり,詐欺サイトへ誘導する仕組みにそのスクリプトが悪用されることも多い。つまり,筆者がスクリプトを無効にしている理由は,データ通信料の節約と処理時間の削減のほか,セキュリティ対策でもある。
ところが,中にはその「スクリプト」の処理で内容を読み込んで表示する記事もある。そうした記事ではスクリプトが無効だと知りたい内容が表示されない。官邸サイトで「緊急速報」のリンクを何度タップしても同じ記事ばかり表示されたのは,記事を読み込むためのスクリプトが無効にしてあった筆者のブラウザで機能しなかった可能性を疑った。
だが,「スクリプトを有効にしないと記事が読めない」というのは,つまり「ミサイルを避けるための情報を知りたければスクリプトを有効にして,ウイルス感染や詐欺サイトに誘導されてしまうようなセキュリティ上のリスクを負え」と言うようなもの。たとえれば,猫を避けるための情報を知りたがるネズミに対して,「それならまず猫に鈴を付けに行き,猫が来たと知ることができるようにしろ」と言うのに似ている。
そういえば,かつて蔓延したコンピュータウイルスで,今回ミサイルを発射した国が関わっていた疑惑のあるものがあった。使っているパソコンがそのウイルスに感染すると,データが勝手に暗号化され読めなくなり,「元通りに読めるように戻したければ××に△△を支払え」と,データの「身代金」を要求される「ランサムウエア」と呼ばれるもの。まさにそんなウイルスを作った疑惑のある国から発射されたミサイルを避けようとして「Jアラート」の情報を知るために,スクリプトを有効にしてその国からのものも含めたウイルス感染のリスクを負え……ということだとすれば,ちぐはぐな感じがする。
そうでなくても,その「スクリプト」に対応していないブラウザもある。そうしたブラウザでは,詳しい内容がスクリプトによって読み込まれる記事は,スクリプトが実行できないために読まれない……つまり,スクリプト未対応のブラウザでは「確実に読めない」ことになる。
首相官邸サイトで「JavaScript を有効にしてください」などと表示が出るということは,広く周知させる必要があるJアラートもそうした仕組みなのだろうか……そうだとすれば,非常に疑問だ。
しかしまぁ,今回のJアラートは「警報級」だし,とりあえず読むことを優先し,スクリプトを有効にして記事を読み直した……が! 結局何度「緊急速報」をタップしても同じ官邸のトップ画面が表示されるだけだった。つまり,スクリプトが無効であるために表示されなかったのではなく,そもそも官邸のウェブサイトの「造り」が悪かった可能性が高い。これが首相官邸の危機管理意識……と解釈するしかない。
これで「みずほ……」に対してなんやかや言えるのだろうかと思う。(注: 「Jアラート」内容を表示しない不具合は,その後解消していたよう)
◆ スクリプトが阻むバリアフリー
他にも,緊急速報に「スクリプト」を使うことには,リスクがある。「音読ソフト」と呼ばれるものに記事を読ませた場合,その「スクリプト」によって読み込まれる部分までキチンと読むかどうか微妙なのだ。
ウェブサイトについて詳しい人の中には「妙だな……」と思っている方がいるかもしれない。というのは,「まず官邸の Twitter を見た」と記載してそのスクショまで載せたが,じつは JavaScript を無効にした状態では,Twitter もまともに表示しないのだ。筆者が普段使っているスマホでは,何かを調べた時に大元の情報源が Twitter であることも多いので,Twitter など一部サイトは自動的に「JavaScript 有効」になるように設定していたのだ。もし JavaScript が無効の状態のまま
Twitter を見ると,以下のようになる。
▼ JavaScript 無効の Twitter 画面 |
これは「Jアラート」発信直後の画面ではないが,発信直後もこれと同じ画面であれば,Jアラートが発信されていることすら分からない。視覚障害者が使う「音読ソフト」がスクリプトに対応していなければ,官邸 Twitter はこの画面が読み上げられるだけになるから,アクセスしても全く無意味。画像に「サポートされているブラウザに切り替えて……」と記載があるくらいだから,「音読ソフト」はサポートの対象外で,Jアラートの Tweet にまで行き着かず読まれない可能性が高い。そうでなくても,レイアウト凝りまくりの Twitter は,音読ソフトに読ませて聞き易い書式とは思えない。音読ソフトで記事を「聞く」視覚障害者が Twitter でJアラートを知るのはかなり無理な感じがする。
ついでに言っておくと,画像の下のほうに「インストール」と書かれたボタンがある。が,述べたように筆者は Google アカウントを持っていないから,インストールできるとは思えない。でもとりあえず押してみたら……「ホーム画面に(Twitter のアイコンを)追加しますか?」などと表示された。OK をすると,ホーム画面にアイコンが現れたが,それをタップしても,結局は上記画像の「JavaScript を有効に……」が表示されるだけ。Twitter もアプリ一覧には追加されていなかった。揃いも揃ってポンコツな感じ。
一方の官邸サイトは? 「JavaScript を有効に……」とは表示されていたが,もちろん,Jアラートがスクリプトによって読み込まれるのなら音読ソフトで「読まれない」可能性がある。ただ,実際にスクリプトが使われていたかどうかは微妙なところ。とはいえ,それ以前に,視覚障害者が音読ソフトで聞き易いかどうかは,少々疑問だ。少なくとも,「緊急速報」をタップしても同じ表示のままでは,音読ソフトだろうと何だろうとJアラートの詳しい内容を知ることなどできないだろう。
「そう言うお前はどーなんだ?」と思われるかもしれない。じつは,筆者サイトの記事は,本文のみ「プレーンテキスト形式」でも読める。
「プレーンテキスト」とは,字の大きさやレイアウト指定,イラストの挿入など一切できない文字のみの形式。そのため,「音読ソフト」にとってたいへん読み易い形式といえる。つまり「バリアフリー」なうえに,スクリプトを「仕込む」ことさえできない「セキュア」な形式だ。
一方,もし今お読みのこの記事内に,当サイトの TREEWARE のロゴやイラストが表示されている場合,それは HTML という形式で読み込んでいる。そうした画像の埋め込みや文字の大きさ指定,枠を用いたレイアウトなどの書式が指定できるため,いろいろ便利な形式であるうえに,「スクリプト」を仕込んで,ウェブページに様々な機能を付加できるから,多くのウェブ記事がこの形式で配信されている。
ところが,以前その方式では読みにくいと指摘を受けたことがある。それは視覚障害のある方からだった。そうした方の場合「音読ソフト」と呼ばれるものに記事を読ませて「聞いている」ことも多い。すると,凝ったレイアウトやらイラストなどはむしろ邪魔な場合があるらしい。述べたように,「スクリプト」で読み込む内容は読まれるかどうかさえ分からない。「プレーンテキストで読めないか」との要望だったのだ。
「プレーンテキスト」で読み込むにはどうするかというと,URL 末尾(# 以降は省略)に“.txt”(ドットティーエックスティー)を付加して読み直せば,本文のみプレーンテキストで読めるようにしてある。それを「音読ソフト」に読ませれば簡単。そう伝えたところ,「プレーンテキストで」と要望をくれた視覚障害の方も,「直ぐ読めた」ようだ。もちろん,筆者がそういうサイト設計をしていたからできたことだ。
いずれにせよ,視覚障害などを理由に「音読ソフト」でウェブ記事を「聞く」人にとって,「Jアラート」を知る手段はかなり限られてしまうのではないだろうか。
◆ その他の媒体は?
テレビを観ていなくても,ラジオが聴けるなら済みそうな気もする。実際,筆者は「ウェブラジオ」をよく聴く……いや,聴いて「いた」のだが,最近は聴けなくなった。というのも,以前契約していたネットの接続が,ADSL と呼ばれる「実質無制限」のものだったから,朝から晩まで BGM を流す感覚で聴きまくっていたのだが,その接続サービスが終了してしまい,今は「実質従量制」の契約しかできないからだ。元々低収入だってのに,そんな契約で一日中聴きまくったら,通信料ばかりになって生活できないでしょって。実質的に,筆者のデジタル通信環境は悪化したわけだ。
本来,サービスを終了させるなら,たとえ他社のものでも,終了するサービスに近い代替サービスを用意して,円滑に移行できるよう手はずを整えておくことが「企業の責任」ではないかと思うのだが,契約していた会社は,同様な「実質無制限」の契約でも,2.5 倍の料金の契約を提示して来たのだった。もちろん,ADSL は「安かったから」契約したのであり,その額ではとても支払いを継続できない。「ソフトバンク」という通信会社には「責任」という言葉は無意味だったのだ。
「ADSL サービス打切り」に Go サインを出したのは誰か。遡れば,高市早苗氏あたりが総務大臣だった頃だと思う。この方が自民党の総裁選で落ちた時は,スゴくホッとしたのだった。二度と出ないでほしい。
まぁ,大臣が誰であれ,末端国民のデジタル通信環境を悪化させておいて,「マイナンバー」などのデジタル化を進めようとする今の政府のやり方は,ブレーキとアクセルを同時に踏み込むようなことをしているように見える。結果,それで壊れるのは,末端国民の生活である。
たとえ「実質無制限」のデジタル通信環境があったとしても,ウェブラジオでJアラートを知りたいと思ったら,別の問題が立ちはだかる。それは,radiko と呼ばれる「ラジオの使命」を蔑ろにするシステム。「ラジオ」というのは,より多くの人に聴いてもらうのが使命だと思うが,このシステムは聴ける人を一部の人に限定してしまう。特に,筆者のように,古いパソコンに,Linux をインストールして使っているような環境では聴けないことが多い。国内の主要ラジオ局の多くは「radiko
でしか」ネット配信されていないから,Jアラートがそれらラジオ局で配信され,しかも「実質無制限」のデジタル通信環境だったとしても,筆者のようなパソコンの使い方では聴けないことが多くなる。
しかし,ウェブラジオを「聴きまくっていた」と書いたが,では何を聴いていたのか……じつは,聴けていたのは海外のラジオばかりだったのだ。ウェブラジオのように,音声データをネット上に連続的に送信してくれるコンピュータのことを「ストリーミング・サーバ」と呼ぶが,筆者が聴いていた海外のラジオ局は,そのサーバのアドレスが公開されていた。だから,そのアドレスを音楽再生ソフトに入力するだけで聴けたのだ。いや,場合によっては音楽再生ソフトも不要で,普通にブラウザのアドレス欄に入力すれば聴けるものがほとんどで,それは,機械やブラウザのバージョンが少々古くても,たいてい聴けていた。
一方,radiko によって放送されている国内の主要ラジオ局は,サーバのアドレスが公開されていない。だから「音楽再生ソフト」では再生できず,聴きたいなら「専用アプリ」を使うか,あるいは再生用のサイトをブラウザで呼び出さなければならない。しかも,アプリだろうとブラウザだろうと,新しめの機械にしか対応できないことがほとんどで,筆者が使っているような古い機械はたいていサポート外で聴けない。
つまり,radiko でJアラートの情報を得ることもまた困難だ。Jアラートに限らず,地震や台風などの防災情報を含む放送も,最新機器を用意できない低収入な者には聴かせない仕組み……それが radiko だ。「『誰もが』聴ける! 防災情報を皆に届ける!」……そんなラジオの使命を,この国のラジオ局の経営者はみんな捨ててしまったのだ。
筆者が「実質従量制」の契約しかできないのも,低収入であることが最大の要因。最近は MVNO と呼ばれる安価な業者が存在し,実質無制限のものもあるが,筆者は契約できない。なぜなら,支払いが「クレジットカード」限定だからだ。低収入でクレカ作れるワケないでしょって。筆者に限らず,MVNO がどんなに安価だろうと低収入者は無理なのだ。
MVNO の支払いを「クレカ限定」でもいいと Go サインを出したのは誰か。これも高市……なのか? 省略するが,二度と出ないでほしい。
結果的に,Jアラートの詳しい内容の情報源となったのはテレビのみだった。それは,たまたま受信料を支払って視聴している親戚の家にいたから知り得たようなもの。述べたように,筆者の家にある古い機器では,首相官邸の Twitter はまともに見れない。他の役所サイトも古い機械がサポート対象から外されていて,見れないことが多い。主要ラジオ局が配信されている radiko も聴けないうえ,「クレカ」が持てないから,ウェブラジオを「普段から聴いていられる」ような MVNO の通信契約も無理。「受信料」を支払う余裕もないから,NHK が「スクランブル化」されていない今の受信料制度では,緊急放送を知るためにテレビを「置いておくだけ」さえあきらめざるをえない。自宅にいたら,Jアラートなど知り得なかっただろう。避難が遅れてしまう可能性が大だ。
低収入というだけで,憲法の「知る権利」や「生存権」が,こんなにもおびやかされるものなのかと,嘆きを通り越して感心してしまった。この構造を造り上げてきたのは,長年与党である自民党ではないか。
◆ Tweet 内容の問題点
少し話が戻るが,官邸の Tweet の記事には,アラートの対象として「東京都」が含まれていた。だが,自宅が東京都の筆者のスマホには,何の通知も届かなかった。もちろん,通知機能は有効にしてあり,過去には緊急地震速報が届いたこともあったから,通知が出されたのなら,スマホの設定間違いで届かなかったとは考えにくい。とはいえ,まぁ後で知ったことだが,東京都といっても「島諸(=島嶼)部」だけが対象で,しかも筆者が居た親戚の家も東京都ではなかった……と,「発信されなかった理由」もいろいろあったわけだが。
しかし,対象が「島諸部限定」なら,そう書いてくれれば,そことは関係ない筆者は余計な心配をせずに済んだと思うが,「東京都」とだけ書かれれば,たいていは筆者の自宅がある本土内も含むものと感じるのではないか。
「対象でないと分かったのだからいいじゃないか」といった考え方もあるかもしれないが,そうしたことが繰り返されると,「狼少年」の話のように,Jアラートに対して「警戒感が薄れる」可能性が出てきて,危機管理上問題になるだろう。実際,今回の Tweet で対象地域として記載のあった「東京都」は誤報だったとか。「島諸」も含めて対象ではなかったらしい。こうした誤報が繰り返されれば,信用を失なって本当に狼が現れた時……つまり,発射されたミサイルが地上に落ちる可能性があった時でも,「いつもの誤報か離れた地域のことだろう」と考えてまともに避難しない人を増やしてしまうことになる。
● 様々な「丸投げ」がリスクを増大させる
筆者はこれまでも様々な記事で,民間企業のサービス利用の情報配信や,ウェブサイト構築やウェブラジオといったネット配信を民間業者に「丸投げ」で委託することのリスクを訴えている。情報配信に民間企業のサービスを利用することも,ある意味「配信の丸投げ」と考えれば,どちらも「丸投げ」と言えるかもしれない。
まとめると,以下のようなこと。
- 民間企業のサービス(SNS やチャットなど)利用のリスク: 配信される情報を受けられるのは,主にそのサービスにアカウントの登録をしている人だけで,しかも登録できるのは,提供会社がサポートする(最新機器やソフトなどの)環境を整備できる(ほどの経済力のある)人だけ。低収入などの理由で整備できない人は情報を受け取れず,また企業側が設備を刷新すると,登録できた人でも利用できなくなる可能性があり,サービスに不具合が発生すれば,多数の人が情報を受けられず大規模損害が出るおそれ。
- 配信システム(サイト構築や運営など)を民間企業に「丸投げ」するリスク: ほぼ企業主導で決められてしまう。たとえば,企業が「コスト削減」を目的にサポート対象を「最新の」機器やソフトに限定してしまうと,配信される情報を受信できるのは「それらを整備できる経済力のある人」に限定され,整備できない人は切り捨てられる。受信できていた人も,設備のアップデートでサポート外になり,受信できなくなる人が増える可能性あり。
筆者の場合はこれらが複合した要因により,オヤクショが発信している多くの情報に触れることがむずかしい。
個別にみてみよう。
◆ 民間企業のサービス利用のリスク
民間企業が提供する SNS やチャットなどのサービスを利用して情報を配信するリスクを詳しく見ると,以下のような点。
- 配信される情報を受けられるのは,主にそのサービスに登録してアカウントを持っている人だけ。
- 登録しサービスを利用できるのは,提供会社がサポートしている(最新機器やソフトなどの)環境を整備できる(ほどの経済力のある)人だけで,サポート外環境の人は,アカウント登録できないことがあり,専用アプリも使えないため,情報が得られない。
- 登録できて一旦は使えるようになっても,サービスの仕様変更やアプリなどのアップグレードなどでさらに最新機器が求められることがある。その時に対応できる機器を入手できるほどの経済的余力がなければ,以降はサービスを受けられなくなって,情報も得られなくなる。
- そのサービスやアプリに不具合が発生すると,たとえ登録できてアカウントを持っていても,情報が得られなくなることがある。
Twitter やら Google のサービスは,「サポート対象」として,ある程度新しめの機器やソフトの環境整備を求められる。たとえば,Google
なら「Chrome のバージョン××以上」とか。それ未満のものは「見れないぞー」とクレームしたって対応してくれないのは目に見えている。「アップグレードしてください」と言われるのがオチ。それこそ,わざわざ「サポート対象」を公表している理由だ。
筆者は受信料を「もったいない」と感じるレベルに収入が少なかったところに,その収入も,今はコロナの影響でなくなってしまっている。「では,どーやってデジタル通信環境を整備しているのか?」と思われそうだが,使い古して譲ってもらったパソコンに,Linux という OS を自分でインストールして使っている。そのため,Twitter や Google 社が「サポート対象」とするような,ある程度新しめの環境を整備することがむずかしい。当然,オヤクショが「丸投げ」するような企業が運営するサイトで「サポート対象」とされる機器でもないことが多いから,そんなオヤクショのサイトも見れないことになる。
コロナウイルスの影響で国民の収入が総じて落ち込んでみんな困っていた頃,どこかの省庁のサイトで「××大臣からフリーランスの方へ」とかってビデオメッセージが,動画サイトを利用して掲載されていた。筆者もフリーランスだが,述べてきたように,その動画サイトがサポート対象とする環境など整備できる状況にないから,掲載されているのは分かったが,動画はもちろん観れなかった。それはつまり,その動画サイトが観れる環境を整備できるほどには収入のあるフリーランスが対象のビデオメッセージであり,筆者のような「ドン底」の者は対象外なのだ。大臣の言う「フリーランス」ではないわけだ。だから,ビデオメッセージの存在は知っていても,何を伝えていたのかまでは知らない。
「公開すればみんな観るだろう」といった思考で周知させたつもりになっているのだとすれば,何を根拠にそう考えられるのだろうか。
◆ Google の地雷感
たとえば,Twitter のアプリをインストールするにも,Google Play の利用が必要で,そのためには,Google に登録してアカウントを得る必要がある。筆者もご多分に漏れず「スマホ」を持っているが,Google のアカウントのないまま使っている。というのも,そのスマホにインストールされていた Google 製作と思われるアプリや諸サービスがまたポンコツだらけで,アカウントを作る気が起きないからだ。他の方が使っている Google 社のサービスを見て気づいたものも含め,おかしな点をザッと挙げれば,こんな感じ。
- Google xxxx というアプリがいくつもあったが,説明が表示されず何をするものか全く分からないもの多数。多くは無効化した。
- Google Chrome のメニューの「最新版をご利用いただけます」の表示を,何度タップしても再起動してもアップグレードしない。
- タブの「読み込み中」のアイコンが別のサイトのものになる。
- Chrome で時々他のタブに切り替わらなくなる。
- Google Chrome のスクリプトを有効の状態で使っていたら,突然「おめでとうございます!! Chrome ユーザー限定でプレゼント」などという画像が表示されたことがある。詐欺の可能性を疑って直ぐ閉じたが,スクリプト無効の状態で使っていて表示されたことはなく,スクリプトの脆弱性が悪用された可能性がある。
- 筆者から出すメールが Gmail 宛に届かないことがよくある。
- 最近(2022-10)は Gmail から筆者宛のメールはほぼ届かない。
- Gmail の HTML リンクとテキスト上のものが異なることがある。
- Google Map の経路が,「現在地」をタップしてもそこから 5kmほど離れた位置が出発点になり,修正できなかったことがある。
- フィッシングサイトに気づいて報告しようとしたら,reCAPTCHAとやらの画面が何度回答しても先に進まず報告できなかった。
特に最後の項目などは,犯罪被害を防止しようとする行為を妨害しているようなもので,セキュリティを大事にすべき IT 企業として大きな問題ではないかと思う。
これらの現象,継続しているものは,短くて数ヶ月。何年か前にあったものも含んでいるが,その不具合が放置されている可能性もある。
「Google Play からアプリをインストールしてください」ということは,こうした不具合を放置している「Google を信用しなさい」と言うようなものだと思うが,これで信用できるのか。「信用しなくてもいいから,アプリだけインストールして」なんて通用しない。インストールするには,Google に登録してアカウントを作る必要があるのだから。筆者は,こんな企業にアカウントを作って問題ないと思えないのだが。
「筆者は古い機械を使っているから,サポート対象外のことが多い」と書いたが,では「ある程度新しい機器」ならば大丈夫なのか? 筆者所有のスマホは昨年(2021)購入したものだが,そのブラウザ Google
Chrome は,「新しいバージョンをご利用いただけます」と何度も表示されるが,そこを何度タップしても再起動しても,一向にバージョンが変わらないポンコツだ。情報を読もうとして,「アップグレードしてください(しなきゃ読めないよー)」といった状況になってしまったら,どーしよーもない。オヤクショが「丸投げ」した業者のサイトが新しめのバージョンしかサポート対象としていなければ,いずれ見れなくなってしまう。考えようによっては,Google がアップグレードを拒否して情報伝達を妨害するような状態になる。
「アップグレードできない」のは,Google 社による Chrome の設計ミスだろうが,それはつまり,情報の配信をそうした(特定の)他社製アプリやサービスに頼り,サポートがそれに限定されていたりすると,それに不具合が出た時,「デジタル通信環境があっても情報に触れることが困難な状態に置かれる」事態が起こりうる。しかも,それが原因で情報が手に入らなかったがために何らかの損害が出ても,おそらくその「不具合」を出したり放置していた企業は責任を負わずに済む。アタマと尻尾をつなげると,「アカウントを作れば,緊急情報(たとえばJアラート)も得られます!」てなことを「ウリ」にして,その「安心」を得たいがためにアカウントを作る人を増やすことに利用できる一方,たまたま不具合で情報が得られなかったため損害が出た場合も,企業側は「保証まではしていません」などと言えば責任はいくらでも回避できてしまう。結果として,Jアラートなどの発信者が,Twitter や Google
の利用者拡大に手を貸すようなことをしておきながら,それらサービスの不具合で伝えられずに損害が出たりした場合も,責任を負わせられない……という構図だ。筆者は,そこが一番怖い感じがしている。
「SNS サービス提供社側の不具合で情報が手に入らなかった」ことが原因で災害に巻き込まれたりしても,多くの場合どこにどれほど責任があるかはあいまいにされるだろう。「情報を得たい」と思って登録したのに,情報が得られず災害被害に遭えば,つい,その責任を SNS 社側に求めたくなるが,そんな責任までは負っていないと思われる。もし,登録に際し個人情報を提供していたなら,Jアラートの発信者が,そうした個人情報の収集を手助けして,それにより漏えいのリスクだけ高めたようなもの。被害に遭えば,個人情報の「提供し損」となるだけだ。
オヤクショが SNS を利用して情報を発信するなら,こうしたリスクがあることに十分配慮すべきはずだが,その片鱗も見えないのが,今のオヤクショの SNS はじめ民間サービスの利用の仕方だと言える。
Google に限らず,Twitter やら LINE やらといった SNS などのサービス業者に依存した情報配信をしていた場合,もし不具合が発生した時に,どこに責任があるのかが非常にあいまい。そんな状態で「損害」が出てしまうと,利用者は泣き寝入りするしかない。そこが一番問題だ。
◆ 民間企業に「丸投げ」するリスク
SNS サービス業者に依らず,オヤクショが運営するサイトを,業者に「丸投げ」で構築し,情報配信することのリスクは,以下のとおり。
- 「コストダウン」などを目的とし,「サポート対象」のブラウザや機械(パソコンやスマホなど)をある程度新しいものに限定してしまい,対象外のものしか使えない人たちには情報が行き届かない状態が放置される。
- 一旦は配信を受けられていても,「最新機器対応!」を謳う業者が配信に使う機器を「最新」にした時点で,受信者の機器やブラウザがその「最新」に対応できなければ,ある日突然情報を受けられなくなる人たちが大量に発生する可能性がある。
- 業者を通さないと何もできなくなり,何か不具合が起きて情報を配信できなくなった時,配信者側では対処できず,速やかな復旧を困難にして,「受信できない」状態を長引かせる要因になる。
筆者はしばしば業者への「丸投げ」を批判するが,じつは問題なのは「丸投げ」自体ではなく,丸投げによって「サポートが限定されて受信できない人が発生する」ことが懸念のひとつ。業者が製作するウェブサイトといえば,たいてい「ブラウザは××のバージョン○○以降のみサポート」などと限定される。その他のものでは「記事が読めないぞー」とクレームしても対応してくれない。それが原因で読めない人が居ても「サポート外なので対応できません」などと言った理由が正当化されてしまって,情報を得られない人が放置されてしまうことが問題なのだ。オヤクショが発信する情報は広く周知されるべきはずだが,それが無視されているわけだ。しかも,問題視されないままでいると,たとえ配信が受けられるブラウザや機器を使っていた人でも,アップグレードによりサポートの対象から外されて,情報を受けられなくなる事態も起きうる。周知されるべき情報を受けられる人を減らす要因にもなるわけだ。
もうひとつのリスクは,「丸投げ」によってオヤクショ内部に事情の分かる人がいなくなるという点。
これも,もしある程度ウェブ構築について知っている人が役所内にいて,「丸投げ」した業者と密に連絡を取り合うとか,システムの扱いを知っていて,公開する情報の内容確認や修正などが適切にできるなら,問題ないと思う。
しかし,実態はそうではないことのほうが多いだろう。業者と「密に連絡を取り合う」ことによってサイトを円滑に運営するには,ある程度は情報ネットワークの仕組みや,業者が作ったシステムの「内部面」を知らないとむずかしい。全く知らない状態では,業者との話を理解できないから,「どうすればいいか」判断できない。すると,何も指示できないか,あるいは,出した指示が,ネットワークなどの仕組み上適切なものとは言えないものになる可能性が高くなる。
どちらも,「それができないから業者に丸投げしている」ようなものではないだろうか。たいてい「丸投げ」と言えば,「全てお任せ」で,オヤクニンはシステムの仕組みなど関知していないのではないか。
つまり,これらこそ,Jアラートなどのオヤクショが発信する情報を「受けられない人」が残り続ける要因だと言えるだろう。
● どうすればいいのか
原理的には簡単で,前述の2つの「丸投げ」を解消すればいい話。
Jアラートなどの重要な情報は,発信する側が他の(民間の SNS などの)サービスに頼らずに済む独自の発信手段を持ち,しかも,それもなるべく多数の受信手段がある方法……つまり,最新版しかサポートされないような高度な応用的手法(スクリプトなど)の使用を極力避け,低レベルな機能のみでも受信可能な発信方法を用意しておくことだ。
前述した「業者に丸投げのリスク」を逆に見れば,たとえ「丸投げ」しても,請け負った業者が「基礎的機能」に徹したサイト構築方法……つまり,「サポート対象」とする機器やブラウザなどを最新に近いものに限定せず,多数の機器やアプリ……多少機能が低かったり古かったりしても受信できる,そんなサイトを構築できるほどの技術力のある業者であれば,「丸投げ」も問題ないと思うのだ。
たとえば筆者サイトは,「バリアフリー」の観点もあり,極力低レベルな「読み方」で記事を読めるようにしてある。「最新」どころか,ブラウザがなくても読むことができる。詳細は以下の記事を参照。
が,今のオヤクショはそうした基準で業者を選定していないだろう。業者側は「最新の機器に対応しています!」なんて言葉を「売り文句」として使い,採用担当のオヤクニンに「そりゃいい!」と思ってもらって,依頼を取り付けることを優先していることだろう。じつはその裏に「古い機械やブラウザは切り捨てるので読めません」的な意味も含むのだが,おそらくウェブサイトの業者を選定する担当者は,そこまで考えが至らないまま決めていると思われる。少しでも「多くの人に知ってもらう必要がある」という意識があれば,「最新」にこだわらず「なるべく多くのブラウザで(古くても)読めるサイトを作れる」業者を選定するのがベストだ。が,筆者が見るオヤクショのサイトは,「JavaScript を有効にしてください(でなきゃ全部見れないよー)」的な表示が出たり,中には JavaScript を有効にしてもレイアウトが崩れ放題でまともに見れない記事もあるくらいだ。防災情報や緊急速報などがそんなサイトに掲載されれば,見れなかった人が犠牲になる可能性も高まるわけだが,そこまで考えが及ばず,そんなサイトを作り平気でいられるのが,今どきのオヤクニンだ。気象庁! 読んでるか?
でも,もし述べてきたような理由で「Jアラート」を知ることができず,いわゆる「空襲」に遭ってしまった場合どうするのか。それでも,政治家やオヤクニンが責任を問われることなどない。「Jアラート」が発信されていることを知らないまま,爆弾が落ちれば死んでしまうわけだ。元気な霊が「お前らの情報(Jアラート)を受けられなかったから逃げ遅れたんだ! どうしてくれる!」などと言って来ることはない。だから,委託先の業者が「誰でも受信できる方式で配信する技術を持っているか」なんてロクに調べもせず適当に選び,結果として情報を受け取れずに犠牲者が多数出て,「選定業者/配信方法が悪かった」ことが原因だったとしても,分からないままになってしまう。そこに気づかず放置しているのが,今どきの政治家やオヤクニンだ。
まとめよう。述べてきたように,民間 SNS サービスを利用したり,サイト運営業者に「丸投げ」委託で情報配信をした場合,それらの業者が,登録者やアプリ利用者以外への配信を制限したり,最新に近い一部の機器のみをサポート対象として他を切り捨てたり,時として不具合が発生してその業者による配信そのものができなくなるなど,情報が受信できなくなるリスクが多数存在する。Jアラートなど緊急性の高い情報は,より多くの人に知らしめる必要があるにも関わらず,配信者側がそれらのリスクを気に留めないまま,そうした業者による配信を決めてしまう。気に留めていないところに,高額報酬だけは税金から受け続けていられるから,「やるべきことはやっているんだ」と思い込んでいて,「受信できない人」の存在は調査もされずに把握されないままになる。だから,情報が行き届かず多数犠牲者が出ても「受信できなかったため逃げ遅れた」ことまで分からないから,責任を感じない。かくして公的機関の情報配信システムは,確実にポンコツ化していくのである。
同じオヤクニンと政治家で作り上げたのが「マイナンバー」システムだ。似たリスクを孕んでいることは確実に予想できる……だろ? 河野(太郎=デジタル庁大臣 2022)さん。