My mother feels hard frequently to lay on and
off the bed. Her carer says wanting a stepping
tool lower height than some products like
selling home centers. Maybe such item has
necessity for other care scenes, I think.
Then I try to design that can be made easier
with only a 1x4 6ft wood.
QOL cannot be improved by money directly,
but actionable and useful knowledge.
最近の母は,体調が悪い時はベッドの乗り降りでも苦労するらしい。家族の話では低めの踏み台が欲しいようだが,市販品は「(物理的な)高さ」がしっくりこないみたいで,すると購入してうまく使えなかったら(価格的に)高くつくような気がして踏ん切りがつかないのだとか。
その点,とりあえずは「手作り」すれば高さはこっちで比較的自由に決められるし,作ったあとである程度の調整が可能な場合もある。てなわけで,超簡単な「踏み台」の DIY を考えてみようと思った。
いざ作ってみて気付いたのは,歳をとって筋力が落ちて来ると,この程度の「踏み台」があると助かるシーンがけっこう多いかもしれないということ。今回はベッドや自動車の乗り降りで使うことを想定したが,玄関,勝手口,縁側,トイレなど,身体が動くうちは気にならなかった「段差」も,筋力が落ちて来ると問題になりそうな箇所が,家の中のそこらじゅうにある。そして「乗り降り」と言えば,施設などだと送迎車として使うバンなどもあるだろう。ただ問題の場所ごとに置いておくためホームセンターで「踏み台」を購入するとけっこう費用もかかるし,だいたい高さなどが全部同じな同一製品で済むとはとても思えない。
その点,前述したように,手作りすれば使う場所に合わせてある程度サイズの調整ができる。しかも今回使った素材は(ワンバイフォー→)1×4 という規格材1本で,だいたい ¥400 前後,ネジを含めても全部で約 ¥500 くらいというお手軽価格で作れるから,いくつか作って,その「問題になりそうな場所」ごとに置いたとしても,たいしたコストにはならない。そんな,超簡単な踏み台をご紹介したい。
● 経緯
歳のせいもあるだろうが,同居中の家族の話では,最近の母はベッドの寝起きでも苦労することがあるという。特に足を床に着く前後がたいへんなようで,そこに低めの「踏み台」が欲しいという話が出ていた。ホームセンター辺りにも,千円ちょい程度の価格であることはあるが,介護している家族によれば,市販のものでは「高さ」的に少し高過ぎるかもしれないという。そのため,もし購入してうまく使えず無駄になっちゃったら価格的にも「高くつく」感じがするので,何かいい方法がないかと相談を受けていた。
たしかに,どの程度の高さがちょうどいいかなんて使ってみなければ分からない面もある。いくら単品では安価でも「ダメもと」でいろいろな高さの踏み台を買っていたら結果的にお金がかかるし,しかもちょうどいい高さの踏み台が手に入るかどうかはまた別の問題だ。
最近の筆者は,「ちょうどいいものが(売られて)ない」となったら「作ったほうが早い」と思うことが多くなった。手作りすれば,高さはこっちで自由に決められるし,少々の変更なら「作り直し」も可能だ。というわけで,超簡単な「踏み台」の DIY を考えてみたいと思った。
● 基本設計
今回は「踏み台」だけに,人が乗ることが前提。ある程度の丈夫さがあって,しかも安価な素材で思い当たるのは(ワンバイフォー→)1×4 材だ。断面が 89×19mm の規格材で,中でも6尺もの(長さ約 180cm)が比較的安価に手に入る。今回もそれを使ってみることにした。
◆ 何かと使える 1×4 材
大きくなくてもいいらしいので,今回使うのは6尺もの1本にした。
1×4 材は幅が 89mm と決まっているから,それを3つ並べて天板として使うことにすると,踏み台の奥行きは 267mm に決まる。まずその長さを「脚」として2つ取り,残りを3等分したものが天板になる。
この大きさ(267×428×108mm)を基本製作とする。ただ後に,大きさの異なる設計も考えたので,奥行きや高さなどが異なる踏み台を製作したい方は,後述の応用製作を参照してほしい。
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上の画像では幅が 428mm となっているが,実際はノコギリの厚みの分だけ少し小さくなる。とはいえ,1~2mm 程度だが。またこれは6尺(1820mm)の長さのものの場合。最近のホームセンターでは,少し長めの6フィート(1830mm)の扱いも多く,それで計算すると幅が 3mm ほど広くなる。購入する木材の長さを「実際に測って」カットすることを強く推奨! というのは,商品札の表示が「尺」単位(1820)でも実物はフィート単位で,店員さんが知らなかったこともあったため。
なお,ホームセンターでカットしてもらう時によく使われているのは「パネルソー」と呼ばれるものだが,これは鋸の刃の厚みが 3mm ほどと少々厚いため,それでカットしてもらう時には全体の長さも切断する4箇所分の 12mm ほど短くして計算する。つまり3等分部分の長さは,6尺だったら 424mm,6フィートなら 428mm に カットしてもらう。
(1820-12-2×267)÷3=424 [mm]
● 製作
◆ カット
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まずは木材をカット。述べたように,6尺(1820mm)の木材を普通のノコギリで切る時は前出の写真のようになるが,長さが6フィートのものや,ホームセンターでカットしてもらう時は数ミリほど調整が必要になるので注意。どれほど異なるかは下の表を参照。
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まぁ,天板をピッタリくっつけて並べるなら奥行きの 267mm は変わらないので,まずはそれを2枚カットして,残りを3等分すればいいことになる。
◆ ネジ止め
カットしたら,天板として使う側と脚として使う側の木材をネジ止めする。位置は天板の木口端から 15mm,両側面から 22mm とした。1×4
材の厚みが 19mm だから「脚」に当たる板をピッタリ端に固定したいなら半分の 9.5mm だけ木口の内側になるが,あまり端過ぎると「割れ」を起こし易くなると思われたので,もう少々内側にした。この位置だと天板が脚より 5mm ほど外に出っ張る感じになる。そこに指が引っかかるからおそらく持ち易くなるとも思った。
また,側面からの 22mm は,天板を隙間なくピッタリと並べた時に,ネジがほぼ等間隔で並ぶ長さ。そうすれば「見た目」が良さそうな気がして……たいした理由じゃないです。
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まずは下穴をあける。「下穴錐」と呼ばれる工具を持っていればそれを使えば早いが,持っていない筆者は代わりにネジの直径より少し細めの一般的な木工用ドリル刃を使う。まず天板側の木材にあけた下穴にネジを反対側から先端が少し出る程度に途中までねじ込み,そこに脚にする木材を実際に設置する位置に押し当てる。すると,出っ張ったネジの跡が脚の木材側に付くので,そこに下穴の続きをあける。
天板の下穴には「面取り」をしておく。面取りとは穴の周囲を漏斗状に削っておくこと。工具をいろいろ使い回すことの多い筆者も,さすがに面取り用工具は持っている。以下のようなドリル刃で使うネジの頭の大きさに合わせて面取りしておく。
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下穴の加工ができたら,あとは……まぁそこにネジ止めで天板と脚に当たる木材を固定するだけで完成なのですけどね。
とりあえず,完成した写真はこちら。
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◆ 費用
かかった費用は以下のとおり。
- 1×4 材(6尺または6フィート)……1本×約 ¥350。
- ネジ(65mm)……12 本×¥350/40 本=¥105。
- 合計……¥500 弱。
ホームセンターあたりの「踏み台」は ¥1,500 近くするから,だいたい3分の1ほどの価格で作れる感じ。
● 応用
述べたようにこの「踏み台」は,母のベッドで使う目的で設計したのだが,ベッドで使うにはこれでも少々高過ぎたようで,その用途はなくなってしまった。市販品は値段が3倍近くもう少し高さがあったから,もしそちらだったら「使えずじまい」になって,わざわざお金を出してそれを買っていたら,少々へこんでいたかもしれない。
ただ,作った台にはその後別の用途が出てきた。母が自動車に乗る時に使う踏み台として高さがちょうどいいらしい。自動車に積む大きさとしてもホームセンターにある「踏み台」よりいい感じだったようで,今は病院との往き来で使われている。
一方,述べてきた基本形の作り方だと大きさがほぼ確定してしまう。たとえば「高さ」は 1×4 材の幅と厚みを足した 108mm 以外は作れない。厚みがある 2×4 材を使えば,厚い分だけ 19mm ほど高くなるが,それでも 127mm 以外は作れず,全体的に重くもなる。
でも,じつは少し作り方を変えると,多少サイズにバリエーションを持たせることができる。ここではちょっと違うサイズが欲しい時の応用についてご紹介したい。
◆ もう少し低くしたい
これは簡単。「脚」に当たる木材(267mm)の幅(89mm)を短く切ります。1cm ほど切り落とせば 1cm 低くなりますね。
ただ,気をつけるべきは「ネジの長さ」。高さ(108mm)からネジの長さを引いた数字よりも多く切らないこと。筆者が使ったネジは 65mm
で,「脚」に当たる木材に 46mm(=65-19)ほどねじ込まれているから
43mm(=89-46)以上切るとネジが下に突き出してしまう。この場合は,低くするために切り落とすのはせいぜい 4cm 程度まで。もう少し短いネジを使えばもう少し低くすることができる。
なお,1×4 材の幅(89mm)の半分(44mm)の高さの脚にしたい場合は,267mm を1本だけ取ってそれを縦に2等分し「脚」として使うと,残った板を3等分すれば,天板の長さは 517mm になり,幅も広くできる。踏み台の高さは 63mm,ネジもそれより少し短いものを使う。
◆ もう少し奥行きが欲しい
標準の作り方は,使用者の要望もあって天板として並べる木材を隙間なく並べたが,「すのこ」のように隙間をあけると,追加材料なしである程度は奥行きを大きくできる。幅と隙間は以下の計算式で求められるので,使う木材の長さと作りたい踏み台の奥行きから,カットする材料の寸法や,天板を並べる時にあける隙間を算出して欲しい。なお,もしホームセンターのパネルソーでカットしてもらう時は,L から 12mm を引いて計算すること。
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- L(1×4 材の長さ: 1820〔6尺〕または 1830〔6フィート〕)
- D(奥行き: 267~300 くらい)
- W(幅)=(L - 2×D)÷3(パネルソーは L から 12mm を引く)
- G(すのこの隙間)=(D - 267)÷2
たとえば,1820mm の木材で奥行き 300mm の踏み台を作りたい場合,上の式に L=1820,D=300 を当てはめて計算すると,天板の間にあける隙間(G)は 16mm ほどずつ,幅(W)は 406mm(ホムセのパネルソーは
402mm)程度となる。なお,出来上がりの「高さ」は同じ(108mm)。
ただこの場合「すのこ」の隙間にものが落ちたり挟まったりしてはまずい用途には向かないのと,幅が少し小さくなる点に留意してほしい。
他の方法としては,少し大きめのホームセンターなどで売られている「8尺もの」の 1×4 材を使う手もある。2438mm ほどの長さのものが多く,長いぶん天板を1枚多くとり,4枚使うことにすると,奥行きは
356mm になる。これを「脚」として2枚切ると残りは 1726mm だから,4等分して 431mm の幅になる。幅はそんなに変わらない。もしホームセンターの「パネルソー」で切ってもらう際は,5箇所切るため長さから 15mm を引いて4等分する(長さ 2438mm なら 427mm)。
なお,ホームセンターでは「8尺もの」より「12 尺もの」を扱っていることのほうが多い。長さは 3640mm。これを使って,天板を5枚とることにすると,奥行きは 445mm で,これを2枚とると残りは 2750mm
となり,5等分で 550mm だから,10cm ほど幅も広い踏み台ができる。もしホームセンターの「パネルソー」で切ってもらう際は,6箇所切るため長さから 18mm を引いて5等分する(長さ 3640mm なら 546mm)。
「12 尺もの」は「6尺もの」の2倍の長さだが,価格は2倍以上することがわりとあるので,適宜必要性を見極めて製作してほしい。
◆ もう少し幅や高さが欲しい
じつは,この踏み台を作った少し後に,筆者自身も近いものが欲しくなった。それは PC 台。ノートパソコンのキーボードの調子が悪いので「外付け」で使っていたのだが,元のキーボードの上に乗せると不安定で打ちにくい。そこでパソコンの下にキーボードを置けるような台がほしくなった。ところが,それがテン・キーまである「フルキーボード」で,説明してきた「踏み台」では,パソコンは乗るもののキーボードの幅に足らないため下には置けない。あと少しだけ幅の広い台がほしいと思った。あ,それと打つ時に「手が入る」くらいの高さも。
述べてきた設計では1本の木材を使い切っているから,フツーに考えれば,幅や高さを広くしたければ木材がもっと必要になる。ただ,広げたい幅は「あと少し」……せいぜい数センチである。その程度のために木材などの材料を追加で買い足すのはかなり「自作」のハードルを上げてしまう気がする。なんとか材料を「1つ」で済ませたい。
幅を広げるため,どこか他の寸法を縮めて対応できないかと考えた。たとえば「脚」に当たる部分。基本設計は「奥行き×2(534mm)」の長さを使っているが,一般的な踏み台同様「4本脚」とし,仮に長さ各
80mm とすると,4本分 320mm で済む。1820mm の長さから単純にそれだけ切って残りを天板として3等分すると,幅は約 500mm になる。
ただそれだけだと,天板をつなぐものがなくなるから3枚がバラバラになってしまう。真ん中の板も固定できないからもうひと工夫必要だ。乗せたいパソコンは奥行きが 25cm ほどだから,少しだけなら奥行きを小さくできる。天板の1枚を少し細く切り取って,それを「すのこ」の下の木のように使って天板をつなぎ,その下に脚を設置すればバラバラにならずに済むだろう。切り取る部分を 20mm とすると,奥行きがそのぶん狭くなって 247mm(=267-20)になる。そこから逆算していくと,天板の幅はその2つぶんの 494mm。これを 1820mm から3つ切ると残りは 338mm となり,4等分して脚として使うと 84mm になる。内側の幅は天板よりも 40mm ほど小さい 454mm だからフルキーボードが何とか置ける。高さは 123mm(=84+20+19)になる計算。
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この作り方で注意すべき点は「ネジの長さ」。「脚」を固定するネジは天板とその「つなぎ」の木材(©)の厚みの合計より長いネジを使わないと脚の木材まで届かないことと,逆に真ん中の天板(ⓐ)は下に脚がないので「つなぎ」の木材を突き抜けない短めのネジを使う。今回の場合は天板の 19mm と「つなぎ」の 20mm を合計した 39mm よりも短い
35mm 程度,他は倍の 70mm ほどのネジ。筆者が使ったのは 65mm。
なんと,材料を追加しないで幅と高さが大きい台ができてしまった。実際に PC 台として設置すると,こんな感じになる。
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「PC 台」としてはワリと高さが大きめな気もするが,じつはこれ,画面がちょうど目の前辺りに来るので見易い! 唯一欠点としては,端のほうのキーを打つ時に台の脚が少々邪魔。台をもう少し机の奥に置きキーボードを手前に出すといいかもしれない。あるいはフルキーボードではなく,「テン・キー」のない小さめのキーボードを使うとか。
かかった費用は……まぁ,材料が標準タイプとほぼ同じだから材料費もほぼ同じ ¥500 弱ほどだが,中央の天板が細いぶんネジ止めも両端1箇所ずつの計2箇所で,長さもほかより短いため少し安いくらい。
なお,このままでは「踏み台」のような人が乗るものとして使うには向かない可能性が高い。脚の間に隙間があるなど,基本設計と比べ堅固さが多少落ちているので,今回のように「PC 台」などとして使うなら問題ないと思われるが,人が乗る用途で使いたい時は補強が必要と思われる。適宜「L字金具」などを追加で設置するなどで対応してほしい。
● おわりに……なぜ「ちょうどいい」製品はないのか
筆者がこんなふうに自分でいろいろと「家具」的なものを作り出して十年ちょいくらいになるが,何でこんなこと始めたかというと,市販品に「ちょうどいい!」と思われるものがないため。
なぜ「ない」か……筆者は「PL 法」という法律が一因だと思っている。PL とは Product Liability の略で,日本語は「製造物責任法」。メーカーが作った製品の「欠陥」が原因で事故が起きた時に損害賠償することなどを規定したもの。
たとえば,壁にピッタリくっ着けて置ける薄いタイプの棚があったらほしいと思うだろうか。部屋を狭くしにくいから,あれば非常に便利そうに思う。が,絶対に売っていない。なぜかというと,そうしたものは「倒れ易い」からだ。なんて言うと「そんなの転倒防止対策しておけばいい話だろう」と思うだろうが,たいていが「しない人」なのである。言い方を換えると「適切な転倒防止対策の仕方が分からない人」がほとんどということ。そこでいざ倒れて負傷者が出た日にゃあたとえ購入者が転倒防止対策を怠っていようと対策が不完全だったことが原因だろうと,法律上メーカーは製造物に対して「責任を負う」ことになっているから,「何でこんなに倒れ易い製品を売ったんだ!」などと言われて,メーカーは「責任」を追求され易い。裁判には勝訴したところで,訴訟の費用や,会社が受けたネガティブイメージの回復費用やらも製造コストとして考慮しなければいけなくなる。「転倒防止器具」をセットにしようったって,どんな家具か,どんな家の造りでどこに置くかによって転倒対策も違うから,多くのケースに適合できるような転倒防止器具を設計するにはそれだけコストもかかり,それを本体の「付属品」にすれば製品の価格を上げざるをえなくなる。つまり「薄型家具」は,どんなに便利だろうと,本体原価だけの価格帯ではとても売りにくく,実質的に量産するのはかなりむずかしくなってしまうわけだ。
「倒れ易いと分かるのに転倒防止しないとか,安全性を考えずに使う者などいるのか?」……筆者が知るケースとしては,腹筋トレーナーを使っていて,着けていた「ネックレス」が器具に絡んで窒息して訴訟になったとか,あるいは裁判沙汰になったかどうかは知らないが,一時期流行った「24 時間風呂」で水中分娩したら新生児がレジオネラ感染で死亡したとか……筆者に言わせると「そんな使い方する?」と思いたくなるケースが実際にあったりする。「PL 法」という法律は「そうした人にも配慮しろよ」と言っているようなもので,「じゃあ作らない」と判断するメーカーを増やす結果にもなっているように思う。
では,そうした「薄型の棚」を手に入れることは不可能なのか……じつはなくもない。「は? 何言ってんの?」と思われそうだが,「棚」として売られていないということ。ではどうすれば手に入るのかというと,「アジャスター」と呼ばれる器具を利用することで,「薄型の棚」のようなものはわりと簡単に「作れる」。
「アジャスター」とは何ぞや……というと,2×4 材や 1×4 材を床と天井の間に突っ張らせて「柱」のようにして使える器具。じつは筆者は既に下記の記事で「手すり」の支柱として利用している。
上記記事で 2×4 材を「手すりの支柱」として使った時は,広い面を壁と平行に設置したが,「棚」として使う場合は広い面が壁に垂直になるよう2本立て,その間に「棚板」を渡す……こんな感じ。
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棚に乗せるものが軽ければ,支柱として 1×4 材を使用してもいいかもしれない。いずれにしても,使用した 2×4 材か 1×4 材「専用の」アジャスターを使う。もちろん,立てる支柱を3本,4本と増やせば,棚を横に何列か作ることもできる。壁面全体を超薄型の収納として利用できる可能性もある……と言ったところで,すでに「自分には無理」と思ってあきらめている方もいるかもしれない。「どーやって棚板を固定しろというのか……」と。だからいつまでも部屋がごちゃごちゃなのである。ホームセンターでその手の「アジャスター」の売り場に行くと,専用の「棚板受け」が一緒に陳列されていることも多いんですよ。行ったことないと分からないでしょうけど。こうした「ちょっとした工夫」ができる器具の存在を知っていれば解消する問題も,知らなければ問題は残ったまま,いつまでも部屋がごちゃごちゃだったりするわけです。
テレビだって,「薄型」が一般的になった今は,倒れて来ないように支柱にうまく固定できれば,この 10cm ほどのスペースに収めることも不可能ではない。だいたい薄型テレビは,「壁掛け」で使えるように,スタンドが取り外せるようになっていることも多いのですよ。「VESA」といった単語でちょいと検索をかければ,テレビを壁掛けで使うための金具もたくさん出てくる。「画像」で検索をすると分かり易いと思う。奥行きが 40~50cm もあるオーディオラックを置いて,わざわざ部屋を狭くせずに済むわけ。ただし! 「倒れて来ないように固定できれば」の話。裏を返せば「倒れて来ないように固定できない人」が多いから,こうした「薄型家具」というのは売られていないようなところもある。一方で「アジャスター」という器具は木材を「柱」みたいに使うためにあるようなものなので,「転倒防止」の機能は元から備わっているようなものだとも言える。
そう,ないものは「作ればいい」わけだ。しかもその「作る時」に,使う場所,使う状況に合わせた工夫ができれば,市販品にはない利便性を備えたものを手に入れられることにもなる。
ただ,自分で作ったものはどこかのメーカーが作った製品ではないから,「PL 法」の適用外。事故などが起きてしまったら作った者の自己責任ということになる。どういったリスクがあるか,それを回避するためどういった補強や安全対策をしておけばいいかの見極めは必要になるだろう。なんて言うと「手作りって面倒だな」と感じる方もいるかもしれないが,でも今までそれを「メーカー」に押し付けて来たようなところもある。薄型の棚を設置したら「転倒防止対策」は必須だが,そのためにどんな金具を使ってどこにどうやって固定すればいいか分からない方のため,メーカーで何ができるかというと,前述したような「多くのケースに適用できる転倒防止金具を付属する」ような対応になる。結果としてその安全対策が価格を押し上げて割高になってしまう。どんなに需要があるものでも「結果的に売れなかった」では製造コストや投資分を回収できないから,そう簡単には売り出せない。そこに「PL 法」が追い討ちをかけ,わずかな事故の可能性も無視できなくなり,ますます製品化をむずかしくしてしまっているような感じ。
一方で,「手作り」なら考えるべきリスクも限定的になる。というのは,「使うシーンを考えて」対策することができるため。今回紹介した「PC 台」も,PC 台として使うだけならそんなに強度は要らないはず。ところが,メーカーが作る時は「誰かが乗るかもしれない」という想定で耐久性を持たせた設計にしてしまう場合がある。メーカー製造の製品は,「PC 台」として発売するものでも「踏み台」レベルの安全対策まで考えたりして,そのコストも含むため価格を押し上げる要因となる。
「手作り」なら,もし後で PC 台を「踏み台」として使いたい状況が出てきたら,その時に補強などを考えても間に合う。「使うシーン」に合わせた最小限のコストで済むことも「手作り」の醍醐味とも言える。
結果的に,ないものは「作ればいい」……というよりも「作るしかない」し,コスト的にも「作ったほうがいい」状況もあるわけだ。
さてもう一点,お気づきいただけただろうか……なんてこと言うと,一時期流行った心霊写真か UFO などのミステリー特集みたいな感じになってしまうが,そうではなくて,今回の設計は「端材が出ない」……つまり木材の「切れ端」や「余り」がないということ。1本の1×4 材を,付け足すことなく使い切る設計に考えてある。
一般的にこうした DIY をすると,必ずと言っていいほど「端材」が出る。なぜかというと,たいてい最初に完成時のサイズを決めてしまうため。「当たり前だろう」と思われそうだが,多くは「高さ 10 センチの踏み台」といった「切りのいい寸法」で完成させようとするために,それに合わせて切り落としたり,逆に足らない時は2本めの木材が必要になったり……なんて状況が起こることになる。
筆者の設計は逆で,「不足なく,端材も出さず使い切るには完成品をどういった寸法にすればいいか」を逆算して決めることが多い。
6尺(1820mm)ものと6フィート(1830mm)ものを使った時で完成時の寸法がミリ単位で異なるのもそのため。簡単には,6フィートの木材は最初に 1cm 切り落としてしまえば6尺の寸法で作れるが,それだと「1cm 切り落とす」という作業が余計にかかる。筆者としては,そっちのほうが面倒に感じてしまうのと,その 1cm の「端材」が捨てられず「何かに使えるかも」とか思って,いつまでもとっておいたりなんかして,そんなのが溜まっちゃっても面倒なのである。
そうでなくても,自宅にも実家にも,「今後,こうした加工で使えるかもしれない……」と思って捨てられずにいるガラクタレベルの木材がけっこうあったりする。実家はさすがに今回のようにバリアフリー化で役立っている面もあるため,今でこそあまりモンクは言われないが,こうやって加工するようになる前までは「何でこんな木材の切れ端がとってあるのか?」などと煙たく思われていたかもしれない。
でも,「そこらで確実に手に入れられる木材を○個だけ買えば作れるうえ,端材が出ないからその処分も要らない」ことは,あまり DIY をしない方にとっては「作り易さ」につながるだろうと思っている。
QOL(Quality of Life=生活の質)を実質的に高めるのは「お金」ではなく「実行できる工夫」なのです。今後も何か思いついたら,こんな感じでご紹介していきたい。