この記事は,令和8(2026)年 2 月 8 日に執行の最高裁判所裁判官国民審査の公報の PDF を元にしてテキストファイル化したものです。お手元にある機械で PDF がまともに音読されない方や,そもそも PDF を利用できない方でも読めるよう配慮してあります。ご活用ください。
内容はほぼ元の PDF からのコピペですが,この記事では以下の点について考慮し調整してあります。
PDF というのは,ファイル内部で必ずしも読むべき順に文字データが並んでいるとは限らないため,そのまま音読ソフトに読ませると晴眼者から見える表示順と異なりバラバラに読まれてしまう場合があり,正しく理解されない可能性があります。実際にどうなるかは作成したアプリ側の都合や音読ソフトによっても異なります。
この記事はそのような差が極力生じないように,正しい文章の順番でコピペできた愛媛県配布の PDF をプレーンテキストに変換し,正しく音読されるよう調整して HTML でも読めるようにしたものです。
なお,当サイト(TREEWARE)上で HTML で表示している場合,URL の末尾に .txt(ドットティーエックスティー)を付加して読み直すと,もくじや「最近の記事」のご紹介を省略し,本文のみプレーンテキストでダウンロードして読めます。音読ソフトをご使用で,HTML や PDF ではうまく読み上げない時は,プレーンテキストをご利用ください。
また,以下の記事には音読ソフトに直接読ませる方法なども掲載しておりますので,参考にしてください。
そうした「PDF で不都合な点」についての詳細と,それに対する行政対応の問題については,最終章の「おわりに」をご参照ください。
では,以下より審査対象の各最高裁判所判事の記事です。審査対象は全部で 2 人,判例番号直後などにある〔亀甲括弧〕内はサイト管理者が付加した補足です。
● 高須 順一(たかす じゅんいち)
◆ 略歴
昭和 34年 10月 9日,東京都葛飾区生まれ。
春日部高校、法政大学法学部を卒業。
京都大学大学院法学研究科法政理論専攻修了・京都大学博士(法学)。
法政大学名誉教授。
昭和 63年 4月 弁護士登録(東京弁護士会)
平成 2年 4月 法政大学法学部非常勤講師
平成 16年 4月 法政大学大学院法務研究科教授
平成 21年 11月 法務省法制審議会民法(債権関係)部会幹事
平成 28年 6月 公益財団法人日弁連法務研究財団常務理事
平成 30年 4月 法政大学大学院法務研究科長
令和 元年 5月 日本弁護士連合会司法制度調査会委員長
令和 2年 6月 日本弁護士連合会民事裁判手続に関する委員会幹事
令和 2年 11月 最高裁判所民事規則制定諮問委員会委員
令和 6年 4月 公益財団法人大学基準協会法務系専門職大学院認証評価委員会委員
令和 7年 3月 最高裁判所判事
◆ 最高裁判所において関与した主要な裁判〔4件〕
★ 一〔医療観察法上の手続き〕 令和7年6月23日 第二小法廷決定
医療観察法42条一項の決定に対する抗告の申立書の記載方式や抗告申立ての期間等をどのように定めるかは、立法政策の問題であって、憲法適否の問題ではない(全員一致・裁判長)。
★ 二〔一票の格差〕 令和7年9月26日 第二小法廷判決
令和6年に行われた衆議院議員総選挙当時において、公職選挙法13条一項、別表第一の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、憲法14条一項等に違反しないとした多数意見の結論に賛同しつつ、本件選挙区割りの下で行われた小選挙区選挙における選挙区間の投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の不平等状態(違憲状態)であったとの意見を付した。
★ 三〔暴力等防止条例の合憲性〕 令和7年12月23日 第二小法廷決定
大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の各規定と軽犯罪法1条23号との間に矛盾抵触はなく憲法94条には違反しない(全員一致)。
★ 四〔国家公務員宿舎の明渡代行〕 令和8年1月9日 第二小法廷判決
国家公務員宿舎の住戸について国有財産法に基づく使用許可を受けた県は、その権利を保全するため、同住戸の占有者に対する国の所有権に基づく建物明渡請求権を代位行使して、同占有者に対して同住戸の明渡しを求めることができる(意見付加)。
◆ 裁判官としての心構え
制定された法が、その役割を十分に果たすためには、その法に関する充実した解釈論を構築する必要があり、そのためには最高裁判所の判例が果たす役割が誠に大きいと考えています。現実の紛争事件の解決のために法を適用することが司法の使命である以上、その使命を全うするために適切な法の解釈を試みることに専心する所存です。「法律学は、実現すべき理想の探求を伴わざる限り盲目であり、法と社会との現実的関係に注目しない限り空虚であり、法的構成つまり法解釈の厳密な論理構成を伴わない限り無力である」、これはある高名な民法研究者の言葉として私の恩師から教わったものです。私は弁護士だった当時からこの言葉を大切にしてきました。この言葉をこれからも大切にして、最高裁判所裁判官として、当事者の主張をよく聴き、謙虚に、そして真摯に職務に取り組んでまいりたいと思っております。
〔ここまで「たかす じゅんいち」判事の記事〕
● 沖野 眞已(おきの まさみ)
◆ 略歴
昭和39年1月12日,奈良県生まれ。
平群東小学校、平群中学校、大阪教育大学教育学部附属高等学校平野校舎(AFS交換留学プログラムによる米国ミネソタ州・プレインビュー・ハイスクール)、東京大学法学部を卒業、米国・ヴァージニア大学ロースクール修了(LL.M.)。
昭和 61年 10月 司法試験合格
昭和 62年 4月 東京大学法学部助手
平成 2年 10月 筑波大学社会科学系専任講師
平成 5年 4月 学習院大学法学部助教授
平成 11年 4月 学習院大学法学部教授
平成 14年 4月 法務事務官(法務省民事局総務課法務専門職・法務省民事局付)
平成 16年 4月 学習院大学専門職大学院法務研究科(法科大学院)教授兼法学部教授
平成 19年 4月 一橋大学大学院法学研究科教授
平成 22年 10月 東京大学大学院法学政治学研究科教授
令和 7年 4月 東京大学大学院法学政治学研究科長・法学部長
令和 7月 最高裁判所判事
◆ 最高裁判所において関与した主要な裁判〔6件〕
★ 一〔訴因を上回る金額の認定〕 令和7年10月20日 第三小法廷決定
全体が包括一罪を構成する業務上横領の事案について月ごとの横領金額を明示した訴因に対し一部の月の横領金額につき訴因を上回る金額を認定するに当たり訴因変更手続を経なかったことに違法はないとした(全員一致)。
★ 二〔コンテナ倉庫は建造物〕 令和7年10月21日 第三小法廷決定
コンテナ倉庫が刑法130条にいう「建造物」に当たるとした(全員一致)。
★ 三〔診療録の出所不明確記載〕 令和7年12月10日 第三小法廷決定
病院の診療録中、刑訴法323条2号により採用された出所不明確な記載を受傷直後の被害者による申告事実の認定に用いた第一審判決の認定判断を違法とした(全員一致)。
★ 四〔所定期間経過前の解約〕 令和7年12月23日 第三小法廷判決
住宅の液化石油ガス消費設備につき、無償配管の慣行のもと、配管の設置費用等に関して、所定の期間経過前に消費者が液化石油ガスの供給等契約を終了させる場合に所定の金額を液化石油ガス販売事業者に支払う旨を定めた条項が、消費者契約法九条にいう「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」に当たり、かつ、平均的な損害は零であるとして、その全部が無効になるとした(全員一致)。
★ 五〔戸建て住宅ガス配管設備〕 令和7年12月23日 第三小法廷判決
液化石油ガス供給のために戸建て住宅に設置された消費設備に係る配管等につき当該住宅に付合しており民法242条ただし書の適用もないとした(全員一致)。
★ 六〔預り金口座の差押え排除〕 令和8年1月20日 第三小法廷判決
弁護士がその職務に関して預かり保管する金員を管理するため開設した「預り金口座」に係る預金債権について、それが信託財産に属する財産であるとして弁護士の固有債権者の差押えを排除できるためには、信託契約の成立要件として少なくとも信託の目的についての合意の成立を具体的に主張する必要があり、また、信託財産に属する財産であるかどうかは事実審の口頭弁論終結時を基準として判断されるべきであるとした(全員一致、意見付加)。
◆ 裁判官としての心構え
最高裁判所の役割を念頭に置いて、様々な考え方や主張に複眼的に向き合い、何が法であるのかをしっかりと見極め、そうして最高裁判所に対する信頼に応えていきたいと思います。
〔ここまで「おきの まさみ」判事の記事〕
● おわりに……PDF と行政対応
PDF というのはファイル内で必ずしも読むべき順に文字データが並んでいるとは限りません。その PDF の作成アプリ側の都合で,内部では晴眼者から見える表示順とは異なりバラバラな場合もあります。一方,音読ソフトは内部のデータ順に読む可能性が高く,するとバラバラなまま読まれてしまうことになります。前回実際にあったのは,「縦書き」になっている原稿が無理やり横向きに読まれた事例。国民審査の対象になっている裁判官の名前の表が縦書きで右から「1誰々,2誰々……」と並んでいる PDF を音読させたら,強制的に「横書き」として扱われて,最初に左から「6,5,4,3……」と数字だけが読まれ,次に各判事の名前の一番上の文字だけ続けて読まれる……という,それを聞いただけでは審査対象者の名前などさっぱり分からない状態。今回も当初ダウンロードした東京都の選管で配布されていたデータは,タイトルなどの横書き部分は選択できるのですが,判例などに当たる縦書きの本文部分の文字が選択できませんでした。すると「選択部分を音読するソフト」の場合,「最高裁判所裁判官国民審査公報」といったタイトル部分は聞けても,肝心の本文が聞けない可能性があります。これでは何のためにテキストで読めるデータを配布しているのか,その意味が半減してしまいます。他を探したところ,愛媛県が配布していた PDF データが本文部分も選択できたため,それをコピペしてプレーンテキスト化し,HTML 表示に対応させたのがこの記事です。
ただ単純なコピペでは問題もあります。一般的に「改行」はスペースとして扱われるため,熟語や固有名詞などの単語の途中に改行があると「区切り」と見なされてひとつの単語として読まない音読ソフトもあります。正確さに欠く理解を防ぐため,元の PDF にそうした点があれば解消する変更をしています。また漢数字を正しく読まない音読ソフトも存在し,たとえば三三を「三十三」ではなく「さんさん」,五月を「さつき」などと読むソフトもあります。間違いではないですが分かりにくくなることも予想されたため,名前の一部や「一文字」だけの場合などを除き漢数字も半角数字にしています。これらについて考慮し,様々な音読ソフトでほぼ正確に読まれる可能性が高くなるよう調整しました。
デジタルスキルの低い日本の行政は,述べたような点に全く配慮することなく,音読ソフトに読ませた時に正しく理解できない可能性を含む「公報」を公開して「役割は果たした」気になっていて,結果的に正しく判断できる選挙ができなくなる国民が生じることなど一切考慮していないのが実態です。この記事を投票所に行く前にスマホにダウンロードして保存し「オフライン」で読めるようにしておいて,投票所でそれを音読ソフトで聞きながら審査を判断するなどしてご活用ください。
ただし,そうした「配慮のできない行政」が投票所へのスマホの持ち込みを禁止してそれを許さないなど,行政側があの手この手でハンディキャップを持つ有権者から「正しく判断できる投票」の権利を剥奪しようとする可能性もありますのでご注意ください。
一方,選挙候補者が掲載されている公報の PDF については,たいていスキャンした「画像データ」を掲載しているだけなことが多く,すると「文字データ」ではないため音読できる文字データとしてコピペすることすらできません。コピペできたとしても,レイアウトに凝り過ぎて音読ソフトでどういった順番で読まれるかなど全く配慮されていないものばかりであるため,この記事のように「コピペ」で簡単に対応できる可能性はほぼないと言っていいでしょう。
ただ,一部の候補者は音読用データを「自分のサイトに」用意しているようです。お住まいの選挙区の選管サイトなどでご確認ください。
本来そういったことも選管のような行政が配慮し,レイアウトや音読用のデータ形式を統一するなどで誰でもアクセスし易くすることが「誰もが参加できる選挙」に欠かせないことですが……やはり「行政」ですからねぇ。そうした「配慮」は一切されていないというわけです。

表計算で「令和」に対応する方法
表計算ソフトで予定表を自動作成する超便利な方法
«How to make the schedule table automatically on
spread-sheet.»
表計算ソフトに「個人情報保護機能」を仕込む方法
«Prevention to leak private-data with spread-sheet macro function.»
Wary-Basher (ワリバッシャー)
貧乏人を殺す行政の構造
«Structurally, the administrators kill the poors in Japan.»