最高裁判所裁判官国民審査公報(2024)


公開 (UL): 2024-10-18
更新 (UD): 2024-10-18
閲覧 (DL): 2025-05-09

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 この記事は,令和6(2024)年 10 月 27 日執行の最高裁判所裁判官国民審査の公報の PDF を元にテキストファイルにしたものです。
 審査対象は全部で 6 人,判例番号直後などにある〔亀甲括弧〕内はサイト管理者が付加した補足です。

 内容はほぼ元の PDF からのコピペですが,この記事は後述する点について考慮し調整してあります。
 当サイト(TREEWARE)上で HTML で表示している場合,URL の末尾に .txt(ドットティーエックスティー)を付加して読み直すと,もくじや「最近の記事」のご紹介を省略し,本文のみプレーンテキストで読めます。音読ソフトご使用で,HTML や PDF ではうまく読み上げない時は,プレーンテキストをご利用ください。また,以下の記事には音読ソフトに直接読ませる方法なども掲載していますので,参考にしてください。

▼ 当サイトをブラウザ以外で読む方法
http://treeware.jp-help.net/?swai2

 PDF というのはファイル内で必ずしも読むべき順に文字データが並んでいるとは限らず,作成アプリ側の都合で内部ではバラバラな場合もあります。PDF を音読ソフトに読ませると内部のデータ順に読む可能性が高く,すると,晴眼者から見える表示順ではなくバラバラに読んでしまう可能性があります。そこで,PDF 上の表示順通りにプレーンテキスト化し,HTML 表示に対応させたのがこの記事です。
 他にも,「改行」はスペースとして扱われるため,熟語や固有名詞などの単語の途中に改行があると,そこを「区切り」と見なしてひとつの単語として読まない音読ソフトもあり,正確さに欠く理解を防ぐため,元の PDF にあるそうした点は解消する変更をしています。また漢数字の並びを「複数桁」として読まない音読ソフトも存在する(三三を「さんさん」と読むなど)ので,複数桁の漢数字も半角数字にしています。これらの点について考慮し,様々な音読ソフトでほぼ正確に読まれるようにしてあります。
 デジタルスキルの低い日本の行政は,こういった点を全く理解せず,音読ソフトに読ませた時に誤解が生じる可能性を多く含んだ「公報」を公開し,結果的に,国民を正しい判断のできる選挙から遠ざける可能性などは関知していませんので,この記事を投票所に行く前にスマホにダウンロードして保存し「オフライン」で読めるようにしておき,投票所でそれを音読ソフトで聞きながら審査の判断をするなどでご活用ください。ただし,行政が投票所へのスマホの持ち込みを禁止してそれを許さないなど,行政側があの手この手でハンディキャップを持つ有権者から「投票権を剥奪」しようとする可能性もありますのでご注意ください。

 では,以下より審査対象の各最高裁判所判事の記事です。

● 尾島 明(おじま あきら)

◆ 略歴

昭和33年9月1日生
 神奈川県藤沢市生まれ。栄光学園高校、東京大学法学部、コーネル大学ロースクール(LL.M.)を卒業。

 昭和 60年 4月 判事補に任官し、東京地裁、甲府家地裁、最高裁総務局、通商産業省通商政策局国際経済課、横浜地裁で勤務。
 平成 7年 4月 判事に任官し、横浜地裁、最高裁調査官、内閣法制局参事官、東京高裁判事を経て、東京地裁判事(部総括)、最高裁上席調査官を務める。
 平成 28年 2月 静岡地裁所長
 平成 29年 1月 東京高裁判事(部総括)
 平成 30年 1月 最高裁首席調査官
 令和 3年 7月 大阪高裁長官
 令和 4年 7月 最高裁判事

◆ 最高裁判所において関与した主要な裁判〔8件〕

★ 一〔一票の格差〕 令和5年1月25日 大法廷判決

令和3年施行の衆議院議員総選挙当時、小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法14条に違反しない(多数意見)。

★ 二〔えい児の死体遺棄〕 令和5年3月24日 第二小法廷判決

自室で出産し、死亡したえい児の死体をタオルに包んで段ボール箱に入れ、棚の上に置くなどした行為は、刑法190条の「遺棄」に当たらない(全員一致)。

★ 三〔一票の格差〕 令和5年10月18日 大法廷判決

令和4年施行の参議院議員通常選挙当時、選挙区選出議員の議員定数配分規定につき、著しい不平等状態にあったとはいえないとした多数意見に対し、違憲状態であるとの意見を付した。

★ 四〔性同一性障害者の性別の取扱い〕 令和5年10月25日 大法廷決定

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条一項4号の規定は憲法13条に違反する(多数意見)。

★ 五〔薬物犯罪での助成金の扱い〕 令和5年11月17日 第二小法廷判決

劇映画の出演俳優の一人が薬物犯罪により有罪判決を受けたことを理由に同映画に対する助成金を交付しないとした独立行政法人理事長の処分は、違法である(全員一致・裁判長)。

★ 六〔老齢年金の減額〕 令和5年12月15日 第二小法廷判決

国民年金法等による老齢年金を減額する法律は、憲法25条、29条に違反しない(全員一致・補足意見付加・裁判長)。

★ 七〔嫡出でない子の認知〕 令和6年6月21日 第二小法廷判決

嫡出でない子は、生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し、その者の法的性別にかかわらず、認知を求めることができる(全員一致・補足意見付加・裁判長)。

★ 八〔旧優生保護法〕 令和6年7月3日 大法廷判決

 1 旧優生保護法中の優生規定は憲法13条及び14条に違反し、その立法行為は国家賠償法1条一項の適用上違法である(全員一致)。
 2 不法行為による損害賠償請求権の除斥期間経過の主張は、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、信義則に反し又は権利の濫用として許されない(全員一致)。

◆ 裁判官としての心構え

 事件当事者間に深刻な紛争があり、正しい解決について社会的にもコンセンサスがなく、価値観が対立することもある中で、「良い裁判」として司法に期待されるものは、「中立」で「独立」した裁判所が紛争を「透明」な手続で「適時」に解決することと思っています。

〔ここまで「おじま あきら」判事の記事〕

● 宮川 美津子(みやがわ みつこ)

◆ 略歴

昭和35年2月13日生
 愛知県豊橋市生まれ。豊橋市立東田小学校、豊橋市立青陵中学校、愛知県立時習館高等学校を経て、東京大学法学部を卒業。

 昭和59年 4月 司法修習生
 昭和61年 4月 弁護士登録(第一東京弁護士会)
 平成 5年 6月 ハーバード・ロースクール修了(LL.M.)
 平成 6年 3月 ニューヨーク州弁護士資格取得
 平成 7年 4月 TMI総合法律事務所パートナー
 平成14年 7月 経済産業省産業構造審議会臨時委員・同知的財産政策部会(現 知的財産分科会)委員
 平成17年 4月 慶應義塾大学法科大学院講師
 平成19年 2月 文部科学省文化審議会著作権分科会委員
 同 年 5月 日本商標協会理事(令和5年5月副会長)
 平成25年 3月 内閣府知的財産戦略本部有識者本部員
 平成27年 6月 エステー株式会社社外取締役
 平成28年 6月 パナソニック株式会社社外監査役
 平成29年 4月 財務省関税等不服審査会関税・知的財産分科会委員
 平成30年 3月 公益社団法人日本仲裁人協会理事
 平成31年 4月 平成31年度「知財功労賞」(経済産業大臣表彰)
 令和 元年 6月 三菱自動車工業株式会社社外取締役
 同月 日弁連知的財産センター委員長
 令和 2年 7月 一般社団法人日本国際紛争解決センター理事
 令和 3年10月 東京地方裁判所民事調停委員
 令和 5年11月 最高裁判所判事

◆ 最高裁判所において関与した主要な裁判〔2件〕

★ 一〔旧優生保護法〕 令和6年7月3日 大法廷判決

優生保護法中のいわゆる優生規定は、憲法13条及び14条一項に違反する。優生規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条一項の適用上違法の評価を受ける。不法行為によって発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができ、同条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとした(全員一致)。

★ 二〔宗教法人の献金の念書〕 令和6年7月11日 第一小法廷判決

宗教法人とその信者との間で締結された念書により、当該信者がそれまでにした献金につき、宗教法人に対し、欺罔、強迫又は公序良俗違反を理由とする返還請求や損害賠償請求等の訴えを裁判所に提起しないことが合意されたが、本件においてはこのような不起訴の合意が公序良俗に反し無効であると判断し、さらに、宗教法人の信者らによる献金の勧誘行為が不法行為法上違法であるとはいえないとした原審の判断には審理を尽くさなかった違法があると判断して原判決を破棄し、宗教法人らの不法行為責任の有無等について更に審理を尽くさせるために本件を原審に差し戻した(全員一致)。

◆ 裁判官としての心構え

 昨年11月の就任以来、最高裁判所判事の職責の重さを日々実感しながら、職務に邁進しております。これからも、最高裁判所の判決が当事者だけでなく社会に大きな影響を与えるものであることを胸に刻み、事件のひとつひとつに誠実に向き合い、公正で妥当な判断を行えるよう全力で取り組む所存です。また、女性弁護士として様々な分野で働いてきた経験を活かし、最高裁判所の多様性に貢献できるよう努めてまいります。

〔ここまで「みやがわ みつこ」判事の記事〕

● 今崎 幸彦(いまさき ゆきひこ)

◆ 略歴

昭和32年11月10日生
 兵庫県神戸市生まれ。県立神戸高等学校、京都大学法学部を卒業。

 昭和56年 4月 司法修習生
 昭和58年 4月 判事補任官 以後、東京地裁、最高裁刑事局、外務省アジア局南東アジア第二課、在フィリピン日本国大使館、京都地裁、最高裁(調査官)に勤務。
 平成 7年 5月 判事任官 以後、最高裁調査官、東京地裁判事、最高裁刑事局課長、東京高裁判事、司法研修所教官、最高裁秘書課長兼広報課長、東京地裁判事(部総括)を務める。
 平成25年 1月 最高裁刑事局長兼図書館長
 平成27年 3月 水戸地裁所長
 平成28年 4月 最高裁事務総長
 令和 元年 9月 東京高裁長官
 令和 4年 6月 最高裁判所判事
 令和 6年 8月 最高裁判所長官

◆ 最高裁判所において関与した主要な裁判〔6件〕

★ 一〔一票の格差〕 令和5年1月25日 大法廷判決

令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙当時、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条一項、別表第一の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、同規定が憲法14条一項等に違反するものということはできないとした(多数意見)。

★ 二〔性同一性障害者のトイレ使用〕 令和5年7月11日 第三小法廷判決

生物学的な性別が男性であり性同一性障害である旨の医師の診断を受けている国家公務員がした職場の女性トイレの使用に係る国家公務員法86条の規定による行政措置の要求は認められない旨の人事院の判定が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとした(全員一致、補足意見付加、裁判長)。

★ 三〔一票の格差〕令和5年10月18日 大法廷判決

令和4年7月10日施行の参議院議員通常選挙当時、平成30年法律第75号による改正後の公職選挙法14条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、同規定が憲法に違反するに至っていたものということはできないとした(多数意見)。

★ 四〔性同一性障害者の性別の取扱い〕 令和5年10月25日 大法廷決定

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条一項4号は憲法13条に違反し無効であるとした(多数意見)。

★ 五〔旧優生保護法〕 令和6年7月3日 大法廷判決

優生保護法中のいわゆる優生規定が憲法13条及び14条一項に違反し、同規定に係る国会議員の立法行為が国家賠償法一条一項の適用上違法の評価を受け、これにより発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることが信義則に反し許されないとした(全員一致)。

★ 六〔暗号資産の不正取引〕 令和6年7月16日 第三小法廷判決

不正に入手した暗号資産NEMの秘密鍵で署名した上でNEMの移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した行為が刑法246条の二にいう「虚偽の情報」を与えたものに当たるとした(全員一致、補足意見付加)。

◆ 裁判官としての心構え

〔ここまで「いまさき ゆきひこ」判事の記事〕

● 平木 正洋(ひらき まさひろ)

◆ 略歴

昭和36年4月3日生
 兵庫県神戸市生まれ。その後、高知県高知市、東京都、北海道札幌市で過ごす。東京都中野区立江原小学校、札幌市立幌西小学校、札幌市立啓明中学校、北海道札幌南高等学校、東京学芸大学附属高等学校を経て、東京大学法学部を卒業。

 昭和60年 4月 司法修習生
 昭和62年 4月 判事補任官 以後、東京地裁、外務省北米局北米第二課、在アメリカ合衆国日本国大使館、東京地裁、佐賀地家裁に勤務。
 平成11年 5月 判事任官 以後、佐賀地家裁判事、最高裁調査官、東京地裁判事、最高裁刑事局参事官、東京地裁判事、最高裁情報政策課長、東京地裁判事(部総括)を務める。
 平成27年 3月 最高裁刑事局長兼図書館長
 平成30年 1月 前橋地裁所長
 平成31年 4月 東京高裁判事(部総括)
 令和 3年10月 東京地裁所長
 令和 5年 4月 大阪高裁長官
 令和 6年 8月 最高裁判所判事

◆ 最高裁判所において関与した主要な裁判〔なし〕

最高裁判事就任後日が浅いため、特に記すべきものはありません。

◆ 裁判官としての心構え

 高裁や地裁の裁判官を務める中で大切であると思ってきたことが二つあります。一つは、謙虚に両当事者の言うことに耳を傾け証拠を検討するという姿勢です。最高裁は最終審ですので、その職責の重さを十分に自覚した上で、中立公正な立場から、一つ一つの事件に誠実に向き合っていきたいと考えています。二つ目ですが、現代社会では価値観が多様化し、判断の難しい事件が増加していますので、様々な視点や考え方をもって事件に取り組み、バランスのとれた判断をする必要があります。そのためには、自分自身でいろいろ勉強したり、各種の研究会の成果を吸収したりするなどの自己研鑽が不可欠であると思っています。
 これまで、主として、刑事裁判を担当してきました。東京地裁で、裁判長として、裁判員裁判も担当しました。担当した裁判員裁判は、どの裁判員の方も非常に熱心に取り組んでおられ、感激しました。いずれの事件もみな大切な思い出となっています。裁判員裁判では、裁判員と裁判官が、証拠に基づき一緒に議論して、被告人が有罪であるかどうかという事実認定や量刑判断を行うわけですが、裁判員の方々の意見には、裁判官にはない物事の見方や視点を含んでいるものが多かったのです。裁判員裁判の目的は、裁判官という法律のプロの専門知識や経験と、裁判員という法律家でない方々の物事の見方や経験とを融合させて、より良い刑事裁判の実現を目指すということにあるわけですが、正にそのとおりであると実感できました。
 座右の銘は「継続は力なり」です。努力を継続したからといって、必ずしも目標を達成できるとは限らないところが、人生の難しいところですが、努力を怠れば何事も成し遂げられないと思いますので、この言葉を胸に精進していきたいと考えています。

〔ここまで「ひらき まさひろ」判事の記事〕

● 石兼 公博(いしかね きみひろ)

◆ 略歴

昭和三三年一月四日生
 山口県生まれ。ラ・サール中学校、同高校を経て、東京大学法学部を卒業。

 昭和56年 4月 外務省入省
 平成 8年 6月 在フランス日本国大使館一等書記官、後に同参事官
 平成10年 9月 総合外交政策局科学原子力課国際科学協力室長
 平成11年 8月 中近東アフリカ局アフリカ第一課長
 平成15年 8月 経済協力局有償資金協力課長
 平成16年 8月 在アメリカ合衆国日本国大使館参事官、後に同公使
 平成19年 9月 国際協力局政策課長 内閣総理大臣秘書官
 平成20年 9月 大臣官房総務課長
 平成21年 7月 大臣官房参事官
 平成23年 9月 大臣官房審議官
 平成24年 1月 特命全権大使東南アジア諸国連合日本政府代表部在勤
 平成26年 1月 国際協力局長
 平成27年10月 アジア大洋州局長
 平成28年 6月 総合外交政策局長
 平成29年 9月 特命全権大使カナダ国〔ちゅうさつ→〕駐箚兼国際民間航空機関日本政府代表部在勤
 令和 元年10月 特命全権大使国際連合日本政府代表部在勤
 令和 6年 4月 最高裁判所判事

◆ 最高裁判所において関与した主要な裁判〔1件〕

★ 〔旧優生保護法〕 令和6年7月3日 大法廷判決

優生保護法中のいわゆる優生規定(同法3条一項1号から3号まで、10条及び13条二項)は、憲法13条及び14条一項に違反し、同規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条一項の適用上違法の評価を受けるとしたうえで、本件各事件において、不法行為によって発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものと主張することは、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができず、同主張は信義則に反し権利の濫用として許されないとした(全員一致)。

◆ 裁判官としての心構え

 裁判の最終的な判断を行う最高裁判所判事の職務を通じて、日本における法の支配の維持、発展に貢献していきたいと考えています。これまで四十年以上にわたり、行政官及び外交官として積んできた経験を活かし、さまざまな声に謙虚に耳を傾けながら、個別具体の案件に真摯に取り組んでいきたいと思います。

〔ここまで「いしかね きみひろ」判事の記事〕

● 中村 愼(なかむら まこと)

◆ 略 歴

昭和36年9月12日生
 大阪府大阪市生まれ。大阪教育大学附属池田小学校、同池田中学校、同高等学校池田校舎を経て、京都大学法学部を卒業。

 昭和61年 4月 司法修習生
 昭和63年 4月 判事補任官 以後、東京地裁、最高裁人事局、外務省条約局、外務省総合外交政策局国連政策課国際平和協力室、国際連合日本政府代表部、大阪地裁に勤務し、判事任官後、最高裁裁判所調査官、最高裁総務局課長、東京高裁判事、東京地裁判事、最高裁秘書課長兼広報課長を務める。
 平成24年12月 東京地裁判事(部総括)
 平成25年 9月 最高裁総務局長
 平成30年 9月 水戸地裁所長
 令和 元年 9月 最高裁事務総長
 令和 4年 6月 東京高裁長官
 令和 6年 9月 最高裁判所判事

◆ 最高裁判所において関与した主要な裁判〔なし〕

最高裁判事就任後日が浅いため、特に記すべきものはありません。

◆ 裁判官としての心構え

 憲法と法律によって最高裁に与えられた権限と責任は、非常に重いものがあります。最終審としての最高裁の判断の重みとその判断が国民生活や社会経済活動に与える影響の大きさに思いを致し、司法、裁判の果たすべき役割を意識して、一件一件の事件に誠実に向き合い、多角的・多面的な視点から考えて議論するよう心掛けていきたいと考えています。
 これまで、地方裁判所及び高等裁判所の裁判官として専ら民事裁判を担当してきました。双方当事者の主張に耳を傾け、証拠関係を丁寧に検討することを大事にし、核心となる争点がどこにあるか、その事案で最も望ましい解決は何かということに悩み、考え抜いて決断することに裁判官としてのやりがいと充実感を感じてきました。最高裁判事に就任してから、まだ日が浅いため、関与した主要な裁判を掲げることができません。しかし、これまでの地方裁判所及び高等裁判所での仕事で大事にしてきたことを最高裁判所の仕事の中でも貫いて、個々の裁判に取り組んでいきたいと思います。
 近時は、価値観の多様化、情報通信技術の飛躍的な発展とグローバル化の進展に伴い、判断の難しい事件が増えているように思います。法制度は、我が国において積み重ねられてきた生活様式に基盤を有するものです。法の解釈に当たっては、社会の状況や国民の意識の変化を踏まえつつ、現在における意見の分布や諸外国の状況といった、水平面での検討だけではなく、時間の流れという、いわば垂直方向からの位置付けも的確に認識した上で、考察・判断していくことが重要だと思います。独善に陥ることなく、より良い判断をしていくため、一層の自己陶冶に努め、誠実を旨として、課せられた責任を果たしていきたいと考えています。

〔ここまで「なかむら まこと」判事の記事〕



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