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Lattim-Combo - Latch or Timer and Combination Adapter Swich.
This handmade device has features similar to a switch
adapter for disabilities' assistive technology aka
"Latch and Timer". Most commercially available products
having the features can use either one of "latch" or
"timer". On the other hand, this device Lattim-Combo
can use a combination of both.
The "latch" operation alternately turns the output
on and off each time the input is turned on.
The "timer" operation is kept the output on for the
while specified time only, and turns it off automatically.
While the output is on, the input operations are ignored,
even if it remains on.
The "combo" operation is a combination of these two.
The output turns off when the input turns on or after
the specified time has elapsed.
And the "retention" operation works when both features
are disabled. The output is kept to be on from the input
turns on once. You can turn off the output easily if a
"reset switch" is installed.
This document explains how to manufacture it using the
"PASOHaDA" design. The design doesn't need wiring on the
back face of the special universal PCB. You can assemble
this device by assigning the electric parts from the top
face of the PCB, and on back face, only soldering those.
The total amount of those parts is about US$3
(in Japanese market).
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- 「ラッチ・アンド・タイマー」の簡易版。
- 「ぱそはだ」対応。部品は 10 個程度,¥500 前後。
- ラッチ機能とタイマー機能の有無を個別に切り替え可能。併用も可能で,両機能無効の動作と合わせると4モードが使用可能。
- ラッチ機能を有効にすると,入力に接続したスイッチをオンにする度に出力のオン/オフが切り替わる。
- タイマー機能を有効にすると,入力に接続したスイッチがオンになった時点から出力がオンになり,設定時間経過後に自動でオフになる。出力オン時は入力スイッチ操作は無視され,たとえ入力スイッチがオンのままでも時間経過後に必ず出力はオフになる。
- ラッチとタイマーの両方を機能させた場合,出力オン状態で入力スイッチがオンになると出力はオフになり,入力スイッチ操作をしないまま設定時間が経過した場合も出力は自動でオフになる。
- ラッチとタイマー両方の機能を無効化した場合,入力が1度オンになると出力はオン状態が保持され,以降は入力のオン/オフや時間経過によって変化しない。この場合は「リセットスイッチ」を設置しておくことで,簡単に出力をオフに戻せる。
前作の「CHICA」は,「施錠確認」や「注意喚起」などに使えそうな器具を簡単に作れるようにすることで,長らく介護や福祉で問題となっている手間削減などに少しでも活かしてもらえればと思い,あちらこちらの福祉系メーリングリストにご紹介などしたものの,あまりにも反応がなくて(2026-8)びっくり。本当にこの業界は「人手不足」や「過剰負担」で悩んでいるのだろうかと疑いたくなってしまう。
「CHICA」については,以下を参照。
まぁ,今まであまり使って来なかった機器を紹介されても,活かし方は分かりにくいのかもしれない。ならば,今の現場で既に使われている機能に近い器具のほうが多少は有用性を感じてもらえるのだろうか……そう考えた時,思い当たったのは「ラッチ・アンド・タイマー」と呼ばれる装置。
ただ「既に使われている」市販品があるものだけに,それとほとんど同じ機能ではもの足りない感じもする。「自分で作れる」方法をご紹介する以上,これまでできなかった「新しい使い方」も一緒に提案したいところ。たとえば,ラッチとタイマー機能を同時に使えるとか。
というわけで,「ラッチ・アンド・タイマー」に近い機能で,これまでできなかった使い方もできる,そんな器具を簡単に自作可能な「ぱそはだ設計」で考えてみたいと思う。
● 概要 / Synopsis
前作「CHICA」は,どちらかというと筆者自身が防犯対策で使いたくて作ったようなところが大きい。勝手口の施錠状態がひと目では分かりにくく,手で確認するためいちいち近くまで行くのが面倒くさくなり,パッと見で分かるような器具が欲しいと思って設計した。
CHICA の標準型の応用例として,勝手口の施錠状態と連動するものを記事に掲載したが,そのおかげで,遠くから,また外からもパッと見で施錠の状態が分かるようになり,いちいち近くまで行って手で確認する手間が短縮! まぁ1回せいぜい数秒程度ではあるが,それが1日数回あるから,年間の累積はけっこうな時間になる。何より施錠の確実性が上がるから防犯対策としてもかなり有効な気がする。設置して2ヶ月ほど経つが,電池交換無しでずっとチカチカしている。しかも,アルカリより容量が少ないはずのマンガン乾電池でそれ。コスト的にも安心。
で,そうした手間の削減や防犯対策の確実性などは,窓やドアなどが多い「施設」などで特に重宝するかと思い,長く「人手不足」が深刻と言われる福祉系メーリングリストなどに紹介したものの……見事に反応なし(2026-8)。本当に「人手不足」なのか,なんだか疑わしくなる。
とはいえ,今までこうしたものは,施設であまり利用されて来てはいなかった面はあると思う。すると「それが……何?」みたいな印象で,人手不足の改善に結びつくものとしては捉えられにくいかもしれない。でも,「手間削減」と「人手不足」は表裏一体でっせ。手間が増えるから人員が必要になり,手間が減らないから人手が不足するわけですし。だいたい,今まで福祉業界を改悪し続けてきた政権が選挙で圧勝してしまっている(2026-2)ワケで,今後も改悪が続くのは確実なワケです。いくら「活かし方が分からない」からといって「現場でできる方法」を考えようとせずに何が「改善」すると思いますぅ? もっと現実を見て行動を開始すべき時ではないかと思うのですよ,現場の皆様は!
それはさておき,ならば,今の現場で既に使用されている機能に近い器具のほうが多少は有用性を感じてもらえるのだろうか……そう考えた時,思い当たったのは「ラッチ・アンド・タイマー」と呼ばれる装置。
福祉機器として扱われる押しボタンの多くは,押している間だけ導通する「モーメンタリ」と呼ばれる動作。外部スイッチを接続できるよう加工したおもちゃなどにそれを接続すると,たいていは「押している間しか動かない」ような動作になる。で,ボタンから手を放すと切れるため,「押したまま」を維持するのが困難な方は,それでおもちゃなどを操作しても「一瞬しか動かない」とか,目立った動きが出るまで時間がかかるおもちゃではほとんど動きが分からなくなる。「ボタンを押す」という動作をさせるための「動機付け」としての有用性はイマイチ。
そうした問題を解消する目的の器具が「ラッチ・アンド・タイマー」と呼ばれている装置。「ラッチ」は接続したスイッチがオンになる度に出力の「オン/オフ」が切り替わる機能。「タイマー」はその名の通り接続したスイッチをオンにすると,スイッチがオフになっても一定時間出力オンの状態が維持されて自動的にオフになる機能。この機能を持つ装置を中継することで,おもちゃに接続した押しボタンの操作が一瞬であっても,再度ボタンが押されるまで,あるいはしばらくの時間,オン出力が継続され,その間おもちゃも動いてくれるから,「接続したおもちゃが動いたかどうか分からない」なんてことはなくなる。障害児向けの福祉器具としてよく利用されるらしい。
だからって,それで遊ばせたいおもちゃの数だけその装置を用意するのもなかなかたいへん。ここはひとつ,簡単な仕組みでその「ラッチ・アンド・タイマー」に相当する機能の器具を実現できないかと思った。
◆ 市販品の限界? / Limitations of mass-products
とはいえ,「市販品と全く同じ機能」なら市販品で済む。どう使うかによっては,市販品では動作が適当ではない場合もあるかもしれない。せっかく誰でも自分で作れる「ぱそはだ設計」で考えるなら,市販品とはちょっと違った使い方のできる仕様を考えてみよう。
筆者自身は既成の「ラッチ・アンド・タイマー」を使ったことがないため詳しい動作はよく知らないのだが,聞いた話では,タイマー機能で接続したスイッチを「押しっぱなし」にすると,出力も「オンのまま」になって,時間が経っても自動的にオフにならない製品があるらしい。これは場合によっては少々困るのではないかと思う。というのは,それでもいい……つまり「おもちゃをずっと動かしていたい」ためにボタンを「押しっぱなし」にして問題ないならいいが,そうでない場合,たとえば,「押しボタンから手を放す」意識がうまく動作に結びつけられないような障害で,その改善を目標とした訓練に使うには効果が低くなる気がする。「押しボタンから手を放そう」と努力をしなくても,そのおもちゃの動きを「ずっと見ていられる」ことになるため。もしスイッチが押される度に違う動きが見れるようなおもちゃであっても,同じ動きしか見れなくなる。
接続したスイッチが押されたままでも,設定した時間が経つと切れるような仕組みなら,おもちゃの動作を再度見たいと思ったら,一旦押しボタンスイッチから手を放して再度押さないと動かせない。このほうが手を動かす「モチベーション」作りには効果があるような気がする。
それと,ネット検索で出てくる画像などをザッと見た限りでは,その「ラッチ」と「タイマー」の機能が排他的……つまり,「両方同時には機能させることができない」ような製品がほとんどのような気もする。「両方同時に機能させるって,どういった動作?」と思われるかもしれないが,筆者に言わせれば本来「ラッチ」と「タイマー」は別の機能。ラッチはタイマーの設定時間が「無限大」になったもののようなイメージもあるが,そもそもラッチは「オン/オフ切り替え機能」であって,タイマーは「自動オフ機能」なわけ。扇風機に設置されているスイッチなんかは,オン/オフの電源と別にタイマーのスイッチもあって,同時に機能させたりすることもあるでしょ。本来は別の機能なのです。
今回考えた「ラッティムコンボ」は,そうした既製品にはあまりなさそうな仕様を盛り込んだ。
◆ 「ラッチ」機能 / Latch
とはいえ「ラッチ」機能は従来同様。接続したモーメンタリ(押している間だけ導通する)スイッチをオンにする度,出力の「オン/オフ」が切り替わる。押しボタンスイッチを「押したまま」にできなくても,次に押されるまで出力はオン状態を維持する。
◆ 「タイマー」機能 / Timer
「タイマー」は,出力がオンになった時点から指定時間が経過した時にオフになる仕様。接続したスイッチが「オンのまま」でも,あるいは動作中スイッチを何度カチャカチャと押しても,「オンになった時点から」指定時間が経過すると必ず出力はオフになる。押しボタンを接続した場合,「押したまま」でも必ずオフになるから,おもちゃなどをつないだ時に,「一旦手を放す」動作を覚えてもらうための「モチベーション」作りに使えそうな気がしている。
市販品は,「タイマー」と言っても,出力がオンの間に入力が操作されると,出力の時間が設定どおりにならないものがあるようだ。たとえば,入力がオフになった時から設定時間がスタート扱いになるものは,出力がオンの時に入力で再度オン→オフの操作がされると設定時間がその時点から再スタート扱いになってしまう(下の図の①)。あるいは,入力スイッチがオンのままの間は出力もオンのままになってしまうもの(下の図の②)。いずれにしても,不随意運動などでカチャカチャとスイッチを操作してしまったり,スイッチを押したままになってしまうような症状がある方は,出力オンの時間が設定した時間を越えてどんどん長くなってしまい,「おもちゃの続きの動きを見るため一旦操作の手を止めスイッチから手を放す」ためのモチベーションを喚起する目的には都合が悪い。ラッティムコンボはそうした動作はせず,出力オンの時間は必ず入力がオンになった時点をスタートとした設定時間になる。以下はそのタイミングを図示したもの。
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◆ 「コンボ」機能 / Combo
「ラッティムコンボ」では「ラッチ」と「タイマー」をそれぞれ個別に機能させる設定ができるよう設計した。といっても「どちらか片方」という排他的なものではなく,両機能を同時に働かせることもできる。「コンボ」と付けたのはそういう意味。どういった動作かというと……タイマー動作中に接続したスイッチがオンになったら,時間が来る前に出力もオフになるというだけの話。スイッチ操作をしなかったら,設定時間が経過すると出力はオフになる。
これは見方によって2通りの解釈ができる。「タイマー」をメインに考えると,タイマーの設定時間が長めの時に,途中でオフにしたい場合にそれが可能になる……という見方。一方,「ラッチ」をメインで考えると,オフにするのを忘れてしまった時でもタイマー機能が働くために自動でオフになる……という見方。どちらも「コンボ」で実現する。
念のため言っておくと,タイマーの出力がオンの時にスイッチを押すと「必ず」オフになっちゃうのではなく,あくまでもタイマーとラッチの機能を併用して働かせればそうした動作も「できる」という話。もちろんラッチ機能「だけ」とか,タイマー機能「だけ」でも使える。
◆ 「保持」機能 / Retention
「ラッチ」と「タイマー」の機能の有無を個別に設定できるようにしたら,「どちらも機能しない」設定もできるようになった。これはどういった動作になるかというと,「出力が一旦オンになったらオフにならない」ようになる。なんて言うと,何だか使えなさそうな気がするが,これは別途オフにするための「リセットスイッチ」を設置することで,そちらでオフにすることができるようになる。接続したスイッチが一度でもオンになると出力はオン状態を保持するため,何らかの合図や標示に使う機器を出力により動作させると,入力には一般的な「モーメンタリ」の押しボタンが使用できる。それを「押したまま」にしなくても,1度押すだけで接続した機器を動作させ続けることができる。
近い動作をするものとしては,トイレなどに設置されている「緊急ボタン」のシステム。あれも,動作させる押しボタンと止めるスイッチが別々。そう考えると,わりと身近に使われている仕組み。押しボタンで合図や標示を作動させ,事態を確認/対処したら「リセットスイッチで動作を止める」といった使い方ができるのではないかと思っている。
◆ 仕組み / Mechanism
ここで使った 74HC74 という IC には,D-FF(D フリップフロップ)と呼ばれる機構が含まれている。
おそらく多くの「タイマー」と呼ばれる機器で使われている部品は,前回製作した「CHICA」で使用した「タイマー IC 555」と呼ばれるものと思われる。じつは 555 は「スタート」に相当する信号を受けている間は出力がオンのままになる仕様のため,それをそのまま使った場合,スタート用に接続した押しボタンを押し続けてしまうと出力もずっとオンのままになり,タイマーとしての機能を果たさなくなってしまう。
一方 D-FF という機構は「立ち上がり」で機能する。「立ち上がり」とは,入力信号の電圧が低い状態から高い状態に切り替わった瞬間のこと。「瞬間」だけが関係し,その後に入力電圧が高い状態が維持されているかどうかは出力には関係しない点が 555 と異なる。接続した押しボタンが押された「立ち上がり」の瞬間の状態のみ D-FF の出力に反映され,その後は入力電圧が下がろうと高いままだろうと出力には関係ない。「立ち上がり」信号により出力とは逆の状態に切り替わるようにしておけば「ラッチ」機能になり,時間経過によって出力が元に戻るようにしておけば「タイマー」動作になるというわけ。再度ボタンが押され「立ち上がり」になった時,また出力に反映される。そんな仕組み。
◆ 動作中標示 LED / Indicate Active
この設計では電源スイッチを省略している。というのは,切り替えスイッチを「タイマー有効」にしておけばいずれ出力はオフになり,オフの時の「待機電力」はほぼゼロなので,実質的に電源スイッチと同等な扱いができると考えたため。
またこの「ラッティムコンボ」で動作させる対象が光ったり動いたりするものであれば,動作中かどうかはそれで確認できると考え,標準では「動作中」を示す LED も省略した。とはいえ,動作させる対象がそうした目立った動きのないものだったり,見えにくいところにあるものだった場合,「動作中かどうか」の標示がほしくなるケースも考えられる。そこで動作中を標示する LED を設置するオプションも用意した。3~4個部品を追加し,一部の配線の変更で実現する。
では,ラッチ機能,タイマー機能,それらのコンボ,そして「保持」機能……4つの動作モードを持つ器具「ラッティムコンボ」を,誰でも作れる「ぱそはだ設計」でご紹介します。
● 部品 / Parts
ここでは「ぱそはだ設計」で使う部品について詳しく説明します。
- 基板……ぱそはだ設計では,秋月電子通商 108242 を使用。
- IC……汎用ロジック(論理)IC「74HC74」1個。「ぱそはだ」では DIP 14 パッケージ使用。
- フォトリレー……DIP 4 か DIP 6 を1個。
- 抵抗……470K(100K~470K)Ω×2,200(100~300)Ω×1。
- 可変(半固定)抵抗……1MΩ 1個。
- 電解コンデンサ……10μ(4.7μ~220μ)F 1個。値が大きいほどタイマーで長い時間設定が可能になる。10μF では最長約7秒。
- ダイオード……小信号用のもの1個。
- 切り替えスイッチ……1回路2接点のもの2個。ラッチ機能とタイマー機能それぞれの有効性有無の切り替え用。「ヘッダピン」と「ヘッダピン用ジャンパ」で置き換えると多少安価に済む。
- タクトスイッチか接続ジャック……入力用に1個。もしリセットスイッチを設置したい場合はもう1個必要。
- 電源……とりあえずここでは乾電池2個限定仕様。乾電池2個用のホルダなどを用意する。
- (誤動作防止が必要な時)コンデンサ(無極性): 0.1μF 1個。
誤動作防止用のコンデンサは,ラッチ機能を使う時につなぐスイッチの性質によっては必要になる。スイッチによっては「チャタリング」と呼ばれる現象が起きる。これはスイッチ内部で接点がバウンドするなどして一瞬のうちに何度もオンになった扱いになってしまう現象。ラッチ機能でその現象が起きると,接続した押しボタンを「1回だけ」押したつもりでも何度もオンになった扱いになり,出力が直ぐオフになったり小刻みなオン/オフを繰り返すことがあるので,それの防止用。そのため,使う機能が主にタイマーのほうだけで,あまりラッチ機能を使わない時は重要性は薄い。ラッチ機能の動作を確実にしたい時や,あるいは動作標示 LED 付き仕様で組み立てる場合は設置を推奨。ただ,基板上への設置がむずかしいので,INPUT 用ジャックなどに設置してほしい。実際の設置例の画像は後述の「実際の組み立て例」に掲載。
前述の部品は動作中を標示する LED を設置しない場合。もし「動作しているかどうか」をある程度確実に分かるようにするため,動作中を示す LED を設置したい場合は,前述のものに加え以下を追加で用意。
- LED: 電源の 2~3V で点灯するもの。色や形状はお好みで。
- 抵抗: 1K~10KΩ 1個。
- コンデンサ(無極性): 0.1μF 2個(誤動作防止用を含む)。
なお,各部品の入手方法や取扱い方,ハンダ付けの仕方,組み立て時の留意点などは以下の記事にまとめてあるので,そちらを参照のこと。この器具の各部品の説明にも,各部品ごとのリンクを掲載します。
◆ 基板 / PCB
裏面の配線が要らない「ぱそはだ設計」で使う基板は,秋月電子通商という部品屋さんで売られている商品番号 108242,矢島製作所製造の
AE-DB1。他の一般的な基板は裏面で配線が必要になるので,「ぱそはだ設計」で組み立てたい方はこの基板を使用のこと。
以下も参照。
◆ IC
汎用ロジック(論理)IC「DUAL D-FF」と呼ばれる 74HC74 を1個。「ぱそはだ」では DIP 14 パッケージを使用。
古くからよく使われている IC で,様々なメーカーが製造・販売している。「DUAL D-FF xx74HC74yy」と称して売られている製品なら機能もピン配置も同じ。xx の部分はメーカーにより,また yy の部分は処理速度特性などで異なるが,今回の製作ではどれも同じと考えて大丈夫。
設置時は位置と方向に注意。
IC とフォトリレーについては,以下記事も参照のこと。なお「フォトカプラ」と呼ばれる部品も近い仕組みと機能だが,出力に極性があって,扱える電流や電圧が小さいタイプがそう呼ばれることが多い。形状やピン配置はほぼ同じなので,組み立て時の扱いもほぼ同じで OK。
◆ フォトリレー / Photo-relay
一般的に,外部機器のオン/オフを切り替えるには「リレー」と呼ばれる部品を使うが,従来のリレーは,電磁石に電流を流して磁力で接点をくっ着ける……つまり,電磁石のチカラでスイッチを入れるみたいな仕組みなので,ワリと電流が必要。乾電池で使用すると,頻度によっては……特に「オン」の時間が長くなるほど,消耗は早い。
一方,最近は「フォトリレー」と呼ばれる部品が手に入れ易くなっている。これは,光が当たると電気を通し易くなる性質の半導体と,発光ダイオード(多くは赤外線)をペアにして,IC のようなパッケージに封入したもの。小型なうえに,電磁石ではないので消費電流が少なくて済む。計測までしていないが,たぶん十分の一以下ではないかと思う。反面,多少抵抗がある……つまり,電磁石のリレーほどは電気を通さない。とはいえ,よほど大きな電流が必要な機器以外,たいていは無視できる程度ではある。抵抗が高いとどうなるかというと,たとえば「モーターで動く」おもちゃでは多少動きが悪くなる可能性がある。それと,一般的なリレーよりもつなぐことができる機器の電圧や電流に少し制限が多い。フォトリレーで使えるものは,たいていは最高で数十ボルト,数アンペア程度の機器。ここでは,主に乾電池などで動くおもちゃなどをつないで使うことを想定していて,その程度なら問題ないが,家庭用電源の 100V なんてつなぐと一発で壊れてしまうので,接続禁止!
ここではその「フォトリレー」を使い,小型で乾電池の消耗が少ない使い勝手のいい装置を目指そうと思う。DIP 4 か DIP 6 パッケージの「フォトリレー」をどちらか1個用意する。
部品屋さんによって手に入る製品がかなり違うので型番は指定しづらいが,基板と同じ秋月電子通商さんのサイトで見た限りでは,使えそうなのはこんなところ。今回の製作例では,一番上の TLP592A を使用。
- [112193]TLP592A(F): DIP 6,500mΩ,60V,¥80。
- [111516]TLP241A: DIP 4,90mΩ,40V,¥140。
- [116705]TLP241B: DIP 4,110mΩ,100V,¥180。
- [117254]TLP3553A: DIP 4,25mΩ,30V,¥260。
- 非推奨[112192]TLP225A(F): DIP 4,800mΩ,60V,¥90。
[番号]は通販の商品番号。「……Ω」はオン抵抗で導通している時の電気の通りにくさの度合い。続いて出力端子にどれほど電圧をかけても大丈夫かを示す「耐電圧」。価格は 2026-8 現在の税込。
使い易さとしては,抵抗(……Ω)が小さいほど,また耐電圧(V)が大きいほど,様々な応用が利くと考えられる。とはいえ,見ての通り使い易そうなほど「お高い」。予算や自信を考慮して決めてほしい。
最下段は「非推奨」としたが,そのフォトリレーは出力が「単方向」なので,機器の極性が分かっているものに接続する場合にのみ使える。今回のような加工では,つなぐ相手も,様々な加工をしたおもちゃなどで極性が分からない場合も多いと思われる。接続する機器により極性が変わったり,極性が分からないものに使うと,動かなかったり,時には動きっぱなしになってしまうことも考えられるため「非推奨」とした。逆に何かおもちゃなどに組み込むといった「つなぐものが変わらない」ような場合,電流が流れる方向を調べたうえで接続して組み込んでしまえば,その「非推奨」のフォトリレーでも十分使えると思う。
だから,これ以外のフォトリレーも,「いろいろなものにつなぎ変えて使う」ような場合は,サイトの説明やカタログの PDF などを調べ,「双方向」とか「無極性」と記載されているものを選んだほうがいい。もちろん,抵抗値がなるべく小さいほうがベター。また,つなぐものの電圧や電流も要確認。あとは財布と相談。
なお,フォトリレーは DIP 以外の形状もあるが,「ぱそはだ設計」で組み立てる時は,必ず DIP 4 か DIP 6 を選ぶように。
フォトリレーの近くにある 200Ω 抵抗は,この器具で規定の電源とした乾電池2個(2.4~3V)の電圧でフォトリレーを動作させるために調整したものなので,これより高い電圧で使いたい時は調整が必要。
◆ 抵抗 / Resistor
製作例では 470KΩ を2個,200Ω を1個使用したが,前者は単なるプルアップかプルダウン用,後者はフォトリレーの電流制御用なので,それぞれ 100K~470KΩ,100~300Ω くらいの範囲で置き換えが可能。
なお,ここでは乾電池2個(2.4~3V)で製作することを前提としているが,USB 電源など電圧が高めの電源で使う場合は,フォトリレーの電流制限用抵抗を少し大きめのもの(470~1KΩ)にする。
もし動作標示用の LED を設置する場合は,1K~10KΩ ほどのものを1本追加。これは LED の電流制御用ではなく,0.1μF のコンデンサと組み合わせて「立ち上がり」の信号に少し「遅れ」を作るためのもの。
抵抗については,以下も参照。
◆ 可変(半固定)抵抗 / Variable resistor
1MΩ を1個。タイマーの時間調整用。
様々なものに接続して使い回したり,同じものでも使う人が変わる度に調整する必要があるような用途なら,指でつまんで調整が可能な可変抵抗を用意。一方,あまり頻繁に調節が必要ではなく,一度調節したら当面そのまま使うことが多いようなら,基板上で調節する半固定抵抗が安価で無難。半固定抵抗の調節には,小さなネジ回しなどが必要。
100K~500KΩ ほどでも使えるが,値が大きいほうが幅の広い調節が可能になる。また,値が小さいと調整可能な最長時間も短くなる。
可変抵抗については,以下も参照。
◆ 電解コンデンサ / Capacitor (polarity)
製作例では 10μF を1個使ったが,4.7μ~220μF の範囲で置き換えが可能。大きい値ほどタイマーで長い時間設定が可能になる。10μF では最長で約7秒ほど。他の値はだいたいそれに比例すると考えていい。たとえば 100μF を使えば約 70 秒,1分ちょいくらいまで設定できる。
CR タイマーと呼ばれる方式だが,これはあまり正確性は期待できず温度変化や接続する IC の特性などでも変わってくるので,「だいたいの時間」と考えてほしい。
極性があるので設置時は方向に注意。電解コンデンサについては以下も参照。
◆ ダイオード / Diode
「小信号用」として売られているものの中で最も手に入れ易いものを1個。特定の型番を入手する必要はない。
極性があるので設置方向に注意。ダイオードについては以下も参照。
◆ 切り替えスイッチ / Toggle switch
1回路2接点のもの2個。ラッチ機能とタイマー機能それぞれ有効性の有無の切り替えに必要。
「1回路2接点」とは,共通端子が1つ,他に2つ(計3つ)の端子があり,共通端子を他のどちらの端子の接点と導通させるか切り替えるもの。部品屋さんで「1回路2接点」と表示のあるスイッチを選ぶ。
大きく分けて基板上設置タイプとパネル設置タイプの2種類。
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上の写真で上の3つが基板設置タイプで,下はパネル設置タイプ。また左3つは「スライドスイッチ」,右の赤いのは「トグルスイッチ」。トグルスイッチは端子が5つあるように見えるが,じつは端の2つはスイッチの安定した固定のためだけにあるので,そこを切り取って中央の3端子だけにすれば,この装置でも基板上に設置して使える。
手軽に作成したいなら基板上に設置するタイプがおすすめ。ケースにスイッチを設置するための穴あけ加工や,基板からケーブルを引き出すなどの作業がなくて済む。ただケースに収納した場合,切り替えの時にフタを開けて操作する必要があるうえ,小さめのスイッチが多いので,頻繁に切り替えが必要な使い方をする場合は,使い勝手の感覚はあまりよくない。この加工が向いている使い方は,設定変更が頻繁ではなく,一度設定したら当面同じ設定で使い続けるようなものになる。
使い易さを優先しケースの外から簡単に切り替えられるようにしたい場合はパネル設置タイプがおすすめ。ただし,そのケースへの設置加工が必要になる。組み立てる際,パネルに当たるケース側にスイッチがハマる穴をあけてそこに切り替えスイッチを設置し,基板からはケーブルを引き出して,それと接続する……といった作業が要る。しかもスライドスイッチの場合は四角い穴を開ける必要があったりするので,これがまた加工の難易度を上げてしまう。
「トグルスイッチ」は長めのレバーで切り替えるタイプのもの。英語では「切り替えスイッチ」のことを「トグルスイッチ」と呼ぶみたいだが,日本語ではこうした棒状のレバー式のものを呼ぶことが多い。操作し易く,パネル設置の場合もドリルで「丸穴」を開けるだけで済むこともあるので加工もし易い……が,値段は少々お高め。それと,スライドスイッチとはレバーの位置関係が逆なので要注意。じつは前掲の写真は中央とその左の端子が導通状態で全て同じだが,スライドスイッチのつまみは左なのに対し,トグルスイッチは右に傾いていることに注目。
★ 安価な「ヘッダピン」で置き換え
ラッチとタイマー機能の有無の切り換え用部品には「切り替えスイッチ」を使うのが一般的だが,ラッチやタイマー機能を一度設定したら,あまり頻繁に切り替えないような使い方をする場合,「切り替えスイッチ」の代わりに「ヘッダピン」と「ヘッダピン用ジャンパソケット」を使って切り替えるという手もある。
「ヘッダピン」というのは基板に差して使う端子のことで,数ピンから数十ピン,1列や2列のものなどがある。一方「ジャンパソケット」というのは,ヘッダピンの2つの端子を導通させる部品。そのため,2ピンぶんのものしか存在しない。この装置で「切り替えスイッチ」代わりに使う場合,1列で3端子(ピン)のヘッダピンとジャンパソケットを2組使う。2列以上のヘッダピンは使えないので注意。
ヘッダピンを使うメリットとしては,まず安上がりな点。ヘッダピンという部品は数十ピンほど並んだものがあり,それは必要なピン数ずつ切り離して使える。たとえば某部品屋さんでは,1列 40 ピンのものが¥35 なので,そこからこの装置で必要になる3ピンずつ切り離すと 13
個とれるから,実質的には1つあたり ¥2.7。ジャンパソケットのほうは 25 個で ¥100 なので,1個あたり ¥4,合計 ¥6.7 が2セットで済む。切り替えスイッチだと,安くても1個あたり数十円はするから,何分の1かになる計算。今後もこの装置をいくつか作ったり,他の装置で切り替えスイッチを使う器具を何か作る可能性があれば,このような「まとめ買い」的な部品の調達方法もありではないかと思う。
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もうひとつ,ヘッダピンとジャンパソケットのメリットは,あとで気が変わって「やっぱりケースに設置したスイッチで機能の切り替えをしたいなぁ」となった時,手間が削減できる可能性がある点。ヘッダピンに差し込む「ヘッダピンソケット」と呼ばれる部品がある。それの3ピン用のものを用意し,3つの端子それぞれに切り替えスイッチの端子と導線3本で(少なくとも中央同士は同じ線で)接続したものを作れば,そのソケットを切り替えに使っていたジャンパソケットの代わりにヘッダピンに挿し込むだけで切り替えスイッチが設置できる。つまり,既に設置したヘッダピンを外さずに使い易い切り換えスイッチを設置できるので,その点は「メリット」っちゃメリット。ヘッダピンソケットは,たいていピン数の合ったものを入手する必要があるが,製品によっては「ヘッダピン」同様,必要なピン数ずつ切り離して使えるものも見かけたことがあるので,部品屋さんサイトなどを調べてみてほしい。
ヘッダピンとジャンパソケットを使うデメリットとしては,切り替える時にジャンパソケットを一旦抜いて差し替える必要があるので,切り替えスイッチほど切り替えが簡単ではない点。ケースに収納して使っていた場合は,一旦フタを開ける必要も生じる。なのでヘッダピンを使う方法は,「一度設定したらしばらく『ラッチ』で使う」とか,「当面は『タイマー』としてしか使わない」など,あまり頻繁には切り替えない可能性が高い使い方をする時に有利になる。
ヘッダピンやピンソケットは2列や3列のものもあるが,この装置で切り替えスイッチ代わりに使うのは1列のものなので,入手時は注意。
使い勝手や予算,将来の展望などを考慮して選んで欲しい。
◆ タクトスイッチか接続ジャック / Push button or jack
入力スイッチは外部に接続して使うことが多いと思うので,その場合は押しボタンではなく「ジャック」を設置する必要があるため,そちらを用意。「ぱそはだ設計」では,もし基板上に設置したスイッチで使いたい時は「タクトスイッチ」と呼ばれる4ピンのものを設置できるようにしたので,それを1個用意。ジャックと併用も可能。
▼ タクトスイッチ(左)![]() |
もし「保持モード(ラッチとタイマー両機能を無効)」で使う可能性がある場合は「リセットスイッチ」の設置を推奨。基板上に設置するなら,入力用スイッチかジャックの他にタクトスイッチをもう1個用意。
スイッチ類については,以下も参照。
◆ ジャンパ / Jumper
ここで言う「ジャンパ」とは,「切り替えスイッチ」の代わりに使う「ヘッダピン用ジャンパ(ソケット)」ではなく,基板にハンダ付けして使うもの。これはわざわざ購入するものではなくて,抵抗やコンデンサなどリード線のある部品を設置した後に切り取った余分なリード線の切れ端が流用できる。
ただ,今回は少々長めのジャンパ線が必要で,リード線の切れ端では長さが足らない可能性もある。部品屋さんで「(すず→)錫メッキ線」と称して売られている針金がジャンパとして使えるが,じつは「ジャンパ」そのものとしての商品もあることはある。今後いくつか作る予定があればそれを買っておくのもいいが,今回のためだけに買いにくいような時は,百円均一店で手に入る銅針金(「導」線ではない)でもいい。太さは 0.55~0.7mm ほどが使い易い。これが意外に「園芸コーナー」にあったりする。
ハンダ付けの仕方などは,以下を参照のこと。
◆ LED とコンデンサ(無極性)/ LED and Capacitor
これらは動作標示用の LED を設置する時に必要。電源が乾電池2個を想定しているため,LED も 2V 程度で点灯するものを1個。色や形状はお好みでいい。
もし乾電池2個分(3V)よりも高い電圧(たとえば USB 電源とか)で使う場合,通常は電流抑制用の部品(多くは抵抗)が必要となるが,ここでは設置する場所がないため,電流抑制用の部品が内臓されているタイプの LED を使う。その際はフォトリレー用 200Ω 抵抗も要調整。
また無極性 0.1μF のコンデンサも1個追加。LED を設置する場合,LED が「点灯したまま」になることを防ぐ意味で,「誤動作(チャタリング)」防止用の 0.1μF のコンデンサを必須としたほうがいいので,計2個用意。それと,1K~10KΩ ほどの抵抗も1本追加で必要。
● 製作 / Assembly
ここでは主に「ぱそはだ設計」で製作にチャレンジする方むけに説明したい。組み立て時の留意点を挙げるとしたら,部品は少ないものの,ジャンパ線が多めなうえ,なんたって IC 一個で 14 端子あるんで,ハンダ付け箇所も多めになってしまう。それなりの手間なので,根気強く作業してほしい。
回路図は以下の通りだが,初心者の方は見てもよく分からないと思うので,とにかくその後にある配置図を見て組み立てちゃってください。回路図は,回路そのものに改良を加えて応用できるような方の参考になればと思います。
▼ Lattim-Combo 回路図![]() |
記号の意味は以下の通り。Low とは入力電圧を低くすること。
- !R₁: D-FF のリセット入力。Low にすると Q₁ 出力が低くなる。
- D₁: D-FF データ入力。C₁ の立ち上がりで Q₁ に出力される。
- C₁: D-FF クロック入力。この立ち上がりで D₁→Q₁ に出力。
- !S₁: D-FF のセット入力。Low にすると Q₁ 出力が高くなる。
- Q₁: D-FF 出力。C₁ の立ち上がりで D₁ と同じ電圧を出力する。
- !Q₁: D-FF 出力。必ず Q₁ と電圧の高低が逆の出力になる。
- Vdd: 電源電圧。ここでは乾電池2個分(2.4~3V)。
- GND: 電源 0V。乾電池のマイナス極を接続。
じつはこのラッチ/タイマーのセット/リセット出力は,上記 D-FF のセット/リセットとは意味が逆になるような使い方をしている。つまり「リセット」状態でリレーが機能(導通)し,「セット」でオフになる。そのほうが小さな基板に収めるのに設計し易かったんですよ。
IC には 14 本も端子が出ているのに,回路図に描いてあるのは8本だけで,残りはどうしたのかというと……実質的に使っていない。残りの6本の端子は上で使った D-FF とは独立したもうひとつの D-FF で,!R₂~!Q₂ に当たる。その入力端子は電圧が高いか低いかで固定してあり,出力端子は開放してある。ただし,後述する LED の標示で限定的に使用する。
描いて気づいたのは,けっこう複雑な回路だなと。使う部品は多くないし,小さめの基板1枚で済んじゃったくらいだから,こんな複雑なものだとは思っていなかった。じつは今回はまず最初に実験回路を作り,この小さな基板に収められると確認してから回路図を描いたので,自分でもビックリ。しかも上の図は,「リセットスイッチ」と動作中を示す LED は省略してある。このうちリセットスイッチは,IC の②と④ピン(D₁ と !S₁)を短絡するようにスイッチを設置する。また LED を駆動する部分はここに描ききれなかったんで,後ほど……。
解説すると,左上の2つの INPUT 端子が「入力スイッチ」を接続する箇所。その下に3つずつ2組の端子 LATCH と TIMER はいずれも切り替えスイッチで,ぞれぞれ下2つの端子の導通時にラッチとタイマーが有効,上2つの端子を接続した時は無効になる。左側の2つの抵抗はどちらも 470KΩ だが,プルアップやプルダウン用なので 100K~470KΩくらいの間で置き換え可能。1MΩ は半固定抵抗か可変抵抗。
右側に移り,OUTPUT が出力で,動作時に導通する。200Ω の抵抗はフォトリレーの電流制御用。ここでは原則として乾電池2個で使う設計だが,これより高い電圧で動作させたい時は高めの抵抗に調整する。
◆ 組み立て時の工夫
組み立て時の総合的な留意点を挙げるとしたら,部品は少ないもののジャンパ線が多めなうえ,なんたって IC 一個で 14 端子もあるんで,ハンダ付けの箇所も多めになってしまう。それなりの手間なので,根気強く作業してほしい。
★ スイッチや可変抵抗の外付け
とりあえず必要な部品は基板上に全部載せて使えるよう設計したものの,何かケースに入れて使う場合,接続するスイッチの変更,ラッチやタイマーのモード切り替え,タイマーの時間調節などを,あまり頻繁に変えずに使い続けるようなら基板上への設置で問題ないが,わりと頻繁に変更する場合は,変更の度にフタを外すのは煩わしいから,基板上への設置ではなく,基板からケーブルを引き出して「外付け」にすべきだろう。少なくとも「入力スイッチ接続」は「ジャック」などを設置し,接続するスイッチを差し替えられるようにするのが一般的。他に「モード切り替え」には「パネル設置型」の切り替えスイッチを,時間調節には指で直接つまんで調節可能な「可変抵抗」の使用がおすすめ。
★ LED や電解コンデンサを浮かせる設置
LED は主に正面に向かって光が強く出る設計なので,この記事の図にある通り基板にぴったりくっ着けて設置すると,ほとんど上方向にしか光が出ないため,周囲が明るい時は横から光が見えづらいことが多い。そうした場合,LED を基板にぴったりくっ着けて設置せず,リード線で浮かせて設置しておけば,そのリード線を曲げることで光の出る方向や位置がある程度変えられるようにできる。
あるいは,LED を設置する穴からケーブルを引き出し,その先に LED
を設置すれば,LED の位置は自由に決められる。その場合,LED は極性を間違うと点灯しないうえ,ケーブルをつなぐと極性が分かりにくくなるので,LED の設置はいちばん最後にして,まずは基板から引き出したケーブルの導線部分を LED の2本のリード線に巻きつけた仮固定状態でハンダ付け前に動作確認し,点かない時は LED のリード線を逆につないで点灯を確認してからのハンダ付けがオススメ。
また電解コンデンサも浮かせて設置すると,設置後にリード線を曲げて寝かせることができて,基板全体を低く仕上げられる。薄めのケースに入れて使う場合に都合がいい。現場で作る人が適宜判断して欲しい。
◆ 配置図 / Assignment
部品の配置は以下の通り。ただしこれは,動作標示 LED なしの場合の総合解説図で,押しボタンスイッチや時間調整用の半固定抵抗などを基板上に設置してもしなくても適用できる配置。それらの部品を外付けで使う時は,単に基板上への設置を省略し,それぞれ INPUT,RESET,VR と記載されている場所からケーブルを引き出し,その先にスイッチやジャック,可変抵抗などを設置するが,初めから基板上への設置予定がない部品がある場合は,もう少し簡単に組み立てられる配置パターンも用意している(後述)。
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- VR(上中央)……ここからケーブルを引き出して,タイマー時間調整用の可変抵抗を設置。その際は基板上の半固定抵抗は省略。
- OUTPUT(右上)……動作中に導通する出力。ここからケーブルを引き出し動作させたい機器やプラグを接続。右の実線はフォトリレーに DIP 6 パッケージ(6ピン)使用時の出力線の結線位置で,点線は DIP 4(4ピン)の場合。左側の実線は両方に共通。
- ⊕/⊖……電源。乾電池(2.4~3V)のプラスとマイナスを接続。
- ←TIMER……3つの穴に挿した切り替えスイッチかヘッダピン。左の2つを導通させるとタイマー機能が働く。タイマーの機能を使わない時は右の2つを導通させておく。
- →LATCH……3つの穴に挿した切り替えスイッチかヘッダピン。右の2つを導通させるとラッチ機能が働く。ラッチの機能を使わない時は左の2つを導通させておく。
- INPUT(左下)……ここからケーブルを引き出し入力用スイッチかジャックを設置。基板上に INPUT スイッチを設置する場合,基板左下のうっすらした2つの「タクトスイッチ」の左が該当。ジャンパ線をまたぐように設置。外部スイッチとの併設も可能。RESET スイッチも基板上に設置する場合は IC 近くの点線のジャンパも必要。少しナナメになるので,IC のピンやスイッチ端子と接触しないように注意。INPUT スイッチだけ基板上に設置する際はもう少し簡単な配置パターンもある。後述のカスタマイズ用フォームを参照。
- RESET(その右)……ここからケーブルを引き出してリセット用スイッチかジャックを設置。基板上に RESET スイッチを設置する場合,基板左下のうっすらした2つの「タクトスイッチ」の右が該当。ジャンパ線をまたぐように設置。外部スイッチとの併設も可能。なお,このスイッチ設置の際は直ぐ下の抵抗を少し曲げて設置する必要があり,スイッチ端子と接触しないように注意。RESET スイッチを基板上に設置しない時は曲げる必要はない。
◆ 基板上への設置有無カスタマイズ / Customize
使用する部品のうち以下の4つについては,基板上に搭載せず省略したり外付けのみとする選択が可能。
- 動作中標示 LED
- タイマー時間調整……基板上: 半固定抵抗/外付け: 可変抵抗
- INPUT 基板上タクトスイッチ
- RESET 基板上タクトスイッチ
有無の組み合わせが全部で 16 通り考えられて,使う現場それぞれの事情に合わせて仕様を選べる……のはいいものの,組み合わせによって配置パターンが微妙に異なり,それらを全部ここに書き並べて説明するとかえってややこしいと思うので,部品の基板上への設置の有無による「違い」を個々に説明して,ご要望に合った配置パターンのみ提示するフォームを作ったので,組み立て時の参考にしてほしい。以下より。
上記フォームでは配置図が大きく表示されるので,そちらを見ながらのほうが組み立て易いだろう。印刷したものを見ても OK。
上記フォーム内にも簡単な説明があるが,各部品の基板への設置有無による違いについて,以下にもう少し詳しい説明を記載しておきたい。
★ 動作標示 LED
出力がオンの時に光る LED を基板上に設置するかどうか。
動作が見えにくい……たとえばファン(扇風機/送風機)やヒーターとか,あるいは「車椅子の後方に設置したもの」などにつないで使う時は,「動作中」を示す LED があると分かり易い。一方「動作中」であることが見て分かる器具……動くおもちゃや光る器具で使う場合は LED
の重要性は薄い。
LED を設置するとその分消費電流が増えるため,乾電池の交換頻度が多少多くなる可能性があることもデメリット。製作も,LED を含め部品3つ分ほど手間が増えるので,「手作り」に自信のない方はまず「LED
なし」で作り,「やはり必要!」と思った時に「LED あり」で作り直してもいいでしょう。どーせ 500 円前後ですし。
じつはこの回路では,単にフォトリレーに並行して LED をつなげば光る……かというと,そううまくはいかず,IC やフォトリレーの特性もあり,別途 LED を光らせるための「駆動回路」的なものが必要になる。ただ,基板が小さいためそれを搭載するのはちょっと困難。一方,IC には D-FF と呼ばれる回路が2つ内臓されているが,ラッチやタイマーで使うのはそのうち片方だけなので,もう片方を駆動回路の代わりに使い LED を光らせる仕組みにしたもの。そのため少々無理もあり,入力スイッチを「乱打」されると,LED の標示と実際の出力がズレてしまう誤動作を起こす可能性が高くなる。なので,LED を設置した場合は「乱打」による誤動作防止のため,入力スイッチの接続に並列に 0.1μF のコンデンサの設置もまた必須になる。回路図はこんな感じ。
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この図は出力から先の LED 駆動部分で,実際はこの左側に見切れたところに入力や切り替えスイッチなどがある……つまり,前掲の回路図の右半分に付け足す部分。太い枠が2つあるので IC を2つ使っているようにも見えるが,これは IC 内部に2つある D-FF 機能を分けて描いたもの。ラッチとタイマーでその機能の片方を使用したので,もう片方を LED 駆動のために利用してその部分を描き足した。IC 自体は1つ。
動作標示 LED 駆動部分の配置パターンは以下のとおり。
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この器具は,規定では乾電池2個(2.4~3V)での使用を想定していて,これを超える電圧で使う時は LED と共に電流制御用の部品が必要になるが,既に搭載できる場所がないため,もし USB 電源やアダプタなど,3V を超える電圧で使いたい時は,電流制御用の部品が内蔵されている LED の使用が必須になる。
★ タイマー時間調整部品
簡単に組み立てたい場合や,タイマー時間を一度設定したらあまり再調整せずに済みそうなら,基板上に設置する「半固定抵抗」を使用し,数人で使い回しをするなどで頻繁に調整が要りそうなら,時間調節が手で直接できる「可変抵抗」の使用がオススメ。
半固定抵抗は基板上に設置できる小さな部品で,安価で設置も簡単な反面,調整のために直接指でつまんで回すのは少々むずかしく,普通は小さなネジ回しのようなものが必要なうえ,ケースに入れて使う場合は調整の際ケースのフタを一旦開ける必要がある。
可変抵抗は,指でつまんで回せるため調整はし易いものの,基板からケーブルを引き出して接続する必要があったりとか,ケースに収納して使う時は,ケースに穴を開けてネジ止めが必要など,設置が少々手間。可変抵抗を使う場合は「つまみ」も一緒に用意できれば一層使い易い。
★ INPUT の基板上タクトスイッチ
外部接続とは別に基板上に入力用のタクトスイッチを設置するかどうか。外部接続はこの「あり/なし」に関係なく設置可能で,どちらでも操作可能。「入力スイッチ」は外部接続して使うのが一般的なので通常は必要性は薄いが,操作者によっては「動作させたまま放置」したり,接続したおもちゃがたまに「嫌いな動き」をするため急いで止めたいことがあるような場合,このタクトスイッチを設置しておくと本体で止めることができて便利。動作テストなどでも使える。
このタクトスイッチはジャンパ線の上にかぶせるように設置する必要がある。また基板上 RESET タクトスイッチと併設する場合は,一部のジャンパ線を少しナナメに設置する必要があり,組み立ては近くの端子と接触しないよう注意が必要。
★ RESET の基板上タクトスイッチ
外部接続とは別に基板上にリセット用のタクトスイッチを設置するかどうか。外部接続はこの「あり/なし」に関係なく設置可能で,どちらでも操作可能。ラッチとタイマーの両機能を無効にすると,入力スイッチオンで出力オン状態が保持され,入力スイッチの操作ではオフに戻らない。このリセットスイッチによりオフに戻せる。何らかの器具の動作を通知に利用したい時にこの機能が便利。ラッチかタイマー機能を使うことがほとんどのような場合は必要性は薄い。
このタクトスイッチはジャンパ線の上にかぶせるように設置する必要がある。また近くの抵抗を少し曲げて設置する必要もあり,組み立ては近くの端子と接触しないよう注意が必要。
なお,リセットスイッチがなくとも,一旦ラッチかタイマーを機能させることで,再度の入力や設定時間経過によって出力をオフにできる。ラッチやタイマー機能が「ヘッダピンとジャンパソケット」による切り替えの場合は容易ではないため,このリセットスイッチがあると便利。
◆ 実際の組み立て例 / Actual assembling sample
実際の部品の配置例としては,以下に挙げる画像のような感じ。どちらも出力用フォトリレーに DIP 6 パッケージ(TLP592A)を使用して,INPUT と RESET の両方のタクトスイッチを設置するパターンで作成した例。左の黒いほうが INPUT,右の黄色いほうが RESET。2つのタクトスイッチの設置は必須ではないが,使用する場合はジャンパ線を覆うように設置する必要があるので,スイッチの画像を半透明に加工して,下のジャンパ線が透けて見えるようにしてある。半透明のタクトスイッチなんて売られていないので,くれぐれも必死で探さないように。なお,少なくともどちらかのタクトスイッチが不要な場合,もう少し組み立て易い配置パターンもあるので,カスタマイズフォームを参照。
入力用には 3.5mm ミニジャックを外付けし,そこに誤動作防止用の
0.1μF コンデンサが設置してある。出力は 3.5mm ミニプラグ。
★ LED 無,可変抵抗,切り替えスイッチ使用の例
まずは以下の場合。
- LED 標示……なし
- タイマー時間調節……外付け可変抵抗
- 機能有無の選択……基板上の切り替えスイッチ
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画像のように,可変抵抗の左寄りの2つの端子に接続すると右に回した時に設定時間が長くなる。
切り替えスイッチの位置と,ラッチ,タイマー両機能の有効性有無の関係は,以下の画像のとおり。
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★ LED 有,半固定抵抗,ヘッダピン使用の例
次の画像は,以下のオプションで組み立てた例。基板部分の拡大。
- LED 標示……あり
- タイマー時間調節……基板上の半固定抵抗
- 機能有無の選択……ヘッダピンとジャンパソケット
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左上と右下に銅製の端子がむき出しで立っているのがヘッダピンで,設置位置は切り替えスイッチと同じ。そこに黄色いジャンパソケットが挿してある。ジャンパソケットは2つの端子を導通させる役割がある。
基板上に設置したタイマー時間調節用半固定抵抗は,左に回した時にタイマー時間が長くなる。
ヘッダピンに差し込むジャンパソケットの位置と,ラッチ,タイマー両機能の有効性有無の関係は,以下の画像のとおり。
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● 使い方 / Usage
使い方としては,既存の「ラッチ・アンド・タイマー」とほぼ同じ。福祉向けの使い方としては,入力(INPUT)に押しボタンなどの操作者が使えるスイッチを接続し,出力(OUTPUT)には制御対象……たとえばおもちゃに設置した「BD アダプタ」などに接続する。
「ラッチ」機能を有効にすると,入力がオンになる度に出力のオン/オフが切り替わる。
「タイマー」機能を有効にすると,入力がオンになった時点から設定時間だけ出力がオンになり,自動的にオフになる。時間設定は基板上の半固定抵抗か外付けした可変抵抗で行なう。タイマーのみ有効な場合,出力オンの状態では入力は無視され,入力が再度オンになっても,オンのままでも,出力は設定時間経過後「必ず」オフになる。既製品では,入力がオンのままだと出力もオンのままになり,時間が経過してもオフにならないものがあるらしいが,この装置ではそうした動作はしない。
両機能を有効にした「コンボ」機能では,出力がオン状態の時,入力が再度オンになった時か,あるいは設定した時間が経過した時のどちらの場合でも出力はオフになる。おそらくこれは既製品にない動作。ラッチかタイマーのどちらかの機能だけ使いたい時は,使わない側の機能を無効に設定する。
また,両機能を無効にすると「保持」機能が使える。入力がオンになると出力オンが保持されて,入力の操作ではオフにならなくなる。この場合,「リセット」スイッチが設置されてれば,それをオンにすることで出力がオフになる。「リセット」スイッチの設置がない時は,ラッチかタイマー機能を一旦有効にすることで,再度の入力オンか,タイマーの設定時間を経過していればオフになる。
● おわりに / Epilogue
今回ご紹介したものは,近い機能の製品が「すでに市販されている」が,それを自作する方法をお伝えすることには,少々抵抗もある。
以前,PC-9800 シリーズのパソコンが全盛期の頃,そのパソコンにつないだマウスのボタンでモールス符号を打つことでキーボード入力ができるソフトを作ったことがあった。スイッチ1つのオン/オフだけでパソコンが操作できるわけだから,これはきっとキーボードが打てない人にとってスゴく役立つに違いないと思い,福祉機器について独自に研究している有志の「○○研究会」的なグループに声をかけ,参加させてもらったことがあった。ところが,そこで言われたことは,「スイッチを一緒に開発しなけりゃ役に立たないだろう!」というもの。
福祉の現場に携わる方,特に障害者関係の方には分かると思うが,スイッチを接続してパソコンなどを操作できるようにする機器は,スイッチを差し替えて使えるようになっていることが多く,たいていは個別に開発することが可能なはずだ。どんなことをしたいかで機器側を選び,そこに接続するスイッチは,使う人の障害の症状に合わせたセンサーを使ったり,身体の可動部位で使えるように形状を工夫したものを選び,必要なら設置角度やらセンサーの「感度」などを調整して使えばいいわけだ。接続する機器側は何だっていい。スイッチはスイッチで様々なセンサーを駆使して,感度やフィルタ(不随意運動などによる余計な操作信号を除去する機構)を調節可能にすることで,様々な機器を使えるようになるはずだ。
なのにそのグループでは,いきなりそこを否定して来たような感じ。それで,福祉機器についての「……研究会」とか名乗っている。じつは「役に立たない!」の発言の主は,キーボード端子に接続してモールス符号でパソコン操作をできるようにする「機器」の開発者。「機器」だから,材料の調達やら組み立てやらでそれなりにコストがかかり,そう簡単に安くはできない。一方,筆者が作ったのは完全なソフトだから,いくらでもコピーできる。競合すると思われたのかもしれないが,別にその方が開発したスイッチをマウスにつないで筆者のモールス符号によるパソコン操作ソフトで使ったっていいはず。機器の場合,それを利用できる人数は製造数を超えないが,ソフトならコピーした数だけの人たちが使える。それらの人たちへのスイッチの需要も生まれるように思うが,そうした考えは全く念頭になさそうだった。筆者のソフトは以降も全く取り沙汰されず,多くの人に使ってもらう道は開かれなかった。
最初に述べた「自作の方法を紹介することへの抵抗」も,なんとなくお分かりいただけると思う。
筆者は,これが「福祉」の裏側の実態だと思っている。ストレートに言うと,「お金になるかならないか」が最重要視され,実際に介護福祉の現場に役立つ可能性があるかどうかの判断は後回しにされているということ。それで現場では「人手不足だ! 資金不足だ!」と叫ばれ続けている。あたりまえだろう。「お金」を欲しがる人が寄って(たか→)集ってやっているから,導入に際し「資金が必要なもの」ばかり開発される。すると,介護福祉で手間削減につながるようなシステムや機器があっても,それを導入できるだけの資金を持つ者は限られ,資金の乏しいほとんどの施設や利用者は導入できないままになる。手間が減らせない一方,少子高齢化で介護が必要な人は増えるのだから,人手が不足するのは当然。介護福祉分野で「お金になるかならないか」が重要視され続ける限り,おそらくずっと「人手不足」だし,「資金不足」だろう。
でもこの記事でご紹介した器具,部品代で ¥500 前後でっせ。安くできる方法があってもそれを利用せずに「資金がないからできない」と多くの現場でただアタマを抱えているだけだとしたら,違和感もある。
「仕方ない面」があるとすれば,述べたように,今までが「お金になるかならないか」を基準として開発されて来たものばかりであること。言い方を換えると「それなりにお金がないと手に入らない製品」ばかり「福祉機器」として見せられているわけで,そりゃ,それを手に入れるために「まずお金が必要」と思い込む傾向が定着してしまっていたとしても,不思議ではない。
でも,もう一度言うと,この記事でご紹介した器具,部品代で ¥500
前後でっせ。そしてそれは,市販品の「ラッチ・アンド・タイマー」に似た機能。これでも「まずどうしてもお金が必要」と感じますかね?
ひょっとして,「じゃあ,何で市販品はあんなに高いんだ!」と感じている方もいるかもしれないが,じつはそんなにぼったくっているわけでもない。こうした機器でコストがかかるのは,UI(ユーザ・インターフェイス)の設計と,サポート。ご紹介した器具でも,基板むき出しのまま現場で使って特に問題ないこともあるだろうが,市販の製品はそうはいかない。ケースに収納して,スイッチや時間の調節などは外部から操作できるようにしないといけない。秋葉原の部品屋さんを見たことがある方なら分かると思うが,じつはこうした機器のための収納ケースの値段がけっこう高い。この手の器具向けの標準的なものは 700~900 円ほど。もうこの時点で部品代を上回る。しかも,そこにスイッチや時間調節用部品取り付けの穴をあけてネジ止めで固定し,基板と導線で結線するといった「組み立ての手間」も増える。その「穴あけ」を下請けに出せば,軽く数千円ほどアップする。また「作り方」の本文で説明したように,機能の有無の切り替えに「ヘッダピン」を使ったり,タイマー時間調節に基板上に設置する半固定抵抗を使えば安く済むが,切り替えスイッチや,指でつまんで調節が可能な可変抵抗を使えば割高になる。「製品」としてそれなりの操作性を実現しようとすれば,それなりのスイッチを使う必要があり,操作性の高いスイッチほど価格もそれなりにする。このように,メーカーが作る製品は「使い易さ」を考慮したデザインにする必要があり,「基板だけ作って売ればいい」とは行かない。
そして,たとえどんなに使い易くても「見れば分かるだろ!」というわけにもいかないから,説明書も作成して印刷し,場合によっては製本して付属させる必要もある。製品価格が「機能を実現する部品代だけ」で済まないのは,理解できるだろう。
企業は,さらに「サポート」の体制を作る必要にも迫られる。製品を「売って終わり」というわけにもいかないから,初期動作不良への対応や,故障時の修理の受付などのため,人員を割り当てる必要も生じる。その人件費も「製品価格」に含まれるわけだ。
もちろん,メーカーはコストを下げてなるべく安く売りたいとは思っているはず。単価を下げるためには「大量生産」する必要があり,大量に作ったらそれだけ売れないと「在庫」を抱えてそれがコストになってしまうため,なるべく多くの人に対応できるような製品を目指す。すると,機能「ひとつだけ」では使う人が限られるから,「ついで」に様々な機能が付加されてしまうことがある。これは,場合によっては,買う側は「使わない機能」の価格が含まれた製品を買わざるをえなくなるようなケースも起こり得るということ。メーカーがコストを下げるための「多機能化」が,逆に「ひとつだけの機能でいい」人にとって割高感を生み,手を出しにくい要因になっている可能性もある。
そして民間企業は「儲け」がなければ経営が成り立たないわけです。述べてきたようなコストに,多少は利益を上乗せしないといけない。だから,「高価」とはいえ,わりとギリギリだと思っていいでしょう。そう考えると,福祉機器の開発で「お金になるか」が主眼におかれてしまうのは仕方ない面も感じるが,でも「仕方がない」と言っているうちは何も変わらないような気もするところ。
何がいけないのかというと,根本的なところは「社会の仕組み」だと考えている。今どきの社会において「収入が得られるか」は,「お金が入ってくる仕組み」に自らを組み込ませることができるか否かで決まってしまう。「他の人の役に立つかどうか」ではないのだ。
「公務員」が典型例だろう。最近ウェブで読んだ某記事で,公務員でいることがイヤになった方の話があった。どう考えても,あれだけ安定し将来も安泰な仕事などないと思うが,なぜイヤになったかというと,「会場案内の看板を入口の右に置くか左に置くかで5人で 30 分悩む」なんてことを平気でしているのに疑問を感じたとか。とはいえ,それだけで辞めたくなったとは思えない。おそらくその方は,似たようなことが何度も繰り返されるのを目の当たりにして来たんじゃないかと思う。
公務員の時給を3千円と仮定すると,看板を右に置くか左に置くかを決めるためだけに 7500 円かけていることになる。どんな看板なのかは知らないが,看板を2つ作るとかして両側に置いちゃったほうが早くて安くて確実だったのではないか? 「2つ作る予算がない」とか何とか言われそうだが,積んだ空き段ボール箱に紙でも貼れば数百円だろう。それでいて,介護福祉を充実させてほしいと要望すると「十分な資金が確保できないんです!」とか何とか平気で説明したりしていないか?
おそらく,そうしたコスト意識はないのだろうね,公務員には。なぜかと言えば,どんなに無駄なことをしても「自分にお金は入ってくる」から。無駄なことをすると,その分手元に残るお金が減ってしまう市民と違い,「自分は無駄なことをしていないか?」という感覚が生まれないのだ。本来なら市町村長なり知事なりの選挙で選ばれた首長が「そんなことじゃいかんだろう」的なことを言って修正していく機能を果たすべきところなんでしょうけど,そういう人たちも公務員ですからねぇ。当選した途端その「お金の入ってくる仕組み」にどっぷりなわけです。そりゃー選挙で当選するのに必死になるワケよね。これこそが,いくら選挙やっても無駄な理由。その「どっぷり」目当てで立候補する候補者だらけなんですから。「当選さえすりゃこっちのもの」で,ラブホテル行ったり,証書を 19.2 秒見せたからいいだろうとか何とか言い出し,勝手なことやり始める。だから,ちょっとでもその「どっぷり」に浸る実現を阻む者は叩くことになり,パワハラに該当するようなことも安易にやっちゃうようになる人がわりといるのは,ある意味当然。で,ラブホとか 19.2 秒とか延々と議会で議論していたりして,市民生活にはほとんど何も関係のないことに議会運営費が使われる。その議員報酬も,もちろん市民が納めた税金。自分にお金が入ってくる仕組みに組み込まれることが「目的」だから,当選した時点で目的は達成されたようなもので,「万歳三唱」しちゃう。本来は地元が抱える諸問題を解決できた時に喜ぶべきなのに,そこを勘違いしているから諸問題は残り続ける。これだから,誰が当選したところで,選挙で良くなることなんかめったにないわけよね。そうした役所ほど「予算が足りない」とか何とか言って,いろんな行政サービスを打ち切ったり民間委託していそうな気がする。そりゃー無駄が多ければ「足りなくなる」のは当然だろう。
ちなみに,国政選挙においては,そうした「お金が入ってくる仕組みに組み込まれたい」と考えている人たちを支援するような制度がある。「政党交付金」と呼ばれ,国民が納めた税金が使われる。
繰り返しで恐縮だが,今どきの社会においては,「お金が入ってくる仕組み」に自らを組み込ませることができた者が優位になり,「他の人の役に立つかどうか」は関係ないから,とにかくそうした仕組みの中に居られるようにすることを中心に考える傾向が醸成される。筆者はそれが社会に「歪がみ」を生んでいるような気がしている。
公務員の例は歪がみっぱなしの証左だが,もちろん公務員に限った話ではない。さきの熊本地震(2026-7)の後に起きたショッピングモールの爆発では,亡くなった方の何人かは,一旦避難できていたのに会社の指示で建物内に戻って爆発に巻き込まれたと聞いている。貴重品を移動するように言われて戻ったらしい。指示を出したのは経営者だろうか。これも「自分にお金が入る仕組み」に組み込まれた経営者が,その入ってくるお金を減らしたくないと考えたことで人命尊重や安全性に対する判断の欠如につながり,犠牲者を生んだように見える。「自分にお金が入る仕組み」どっぷりの公務員のコスト感覚欠如に似た背景を感じる。
「自分にお金が入ってくる仕組み」を死守しようとすれば,競合する相手は蹴落とそうとすることになるだろう。すると最初に述べた「モールス符号でパソコンを操作する仕組み」のように,同等機能の他の開発者を競合相手と見なし,自分に「お金が入ってくる仕組み」を阻害する「敵」として扱ってしまう。開発の背景に「障害者もパソコンを使えるようにしたい」という,たとえ共通の思いがあっても……である。様々な障害に対応したスイッチとモールス入力の機器を個別に開発して組み合わせて使うことができれば,多くの障害者がその恩恵に(あずか→)与る可能性がありそうなのに,「自分に」お金が入る仕組みを重視することで「他者が同じことをするのは許さない!」という意識が強まり,元の「障害者にもパソコンを……」との思いは二の次になって行く。
多くの障害者に,自分ひとりで自由にパソコンを使える環境や,ひとりで押しボタンを押して動かして遊べるおもちゃなどが与えられれば,その「セッティング」や,何をしたいか「聞き取る」人員,横で動かしてあげる人などの手間や人員の削減につながる可能性も考えられるが,述べたような状態でそれが実現できるとは思えない。だって「障害者でもパソコンを使えるようにしたい!」とか,あるいはご紹介したような「おもちゃを押しボタンで動かすアダプタスイッチ」的な機器を誰でも簡単に使えるようにしたいといった「同じ考え」を持つ者を蹴落とすことが優先される社会なのだから。それで長い間「人手不足,資金不足」が問題と言われている。筆者は最近「お金が入ってくる仕組み重視」の傾向が,それらの問題解消を阻む一因ではないかという気がしている。
では,どうすればいいのか。述べたように,なぜ「お金がないと何もできない」といった感覚になるのかというと,お金がかかる方法ばかり見せられているから。それを解消するには「お金がかからない方法」を見つけるしかない。そこに「ぱそはだ設計」で切り込みたいわけです。
繰り返しで恐縮だが,この器具の部品代は 500 円前後でっせ。市販の製品と比較して,なぜそんなに安く済むのかといえば,述べてきたような「ケースに収納して操作し易いスイッチを使ったデザイン」とか,保証や修理などのサポート体制とか,利用者の拡大を狙った「いろんな機能」とかがほとんどないため。使いたい機能に絞って,細かな仕様を自分で決めれば,従来の市販品では物足りず対処できなかった問題にも対応できる可能性がある……それが「自作」の醍醐味。
「いくら 500 円だと言われても……」と感じている方も多いかもしれない。でもガチャコーナーみたいなところへ行くと,あっという間に千円前後ぶっ込んじゃったりしません? 多くの方々が,もっと「問題改善のためには何をすべきか」を見極め,本当に必要なところにお金を使うようにならないと「人の役に立つことがお金になる」という,ある意味「当たり前」の社会なんて実現しませんって。問題を改善できないことにお金を使っている限り,問題は問題のまま残り続けますから。
「概要」でも述べたとおり,さきの選挙(2026-2)ではこれまで介護福祉分野を改悪し続けて来た政権政党が圧勝しちゃったワケで,これは「今までの政策が信任を得た!」と勘違いした政治家で国会が埋め尽くされたようなもの。もうこの分野を改善する政策も制度も期待できないのだから,自分で,そして現場でできることを探すしかないわけです。「ぱそはだ設計」が少しでも問題改善につながればと思っています。
あ,もしこの器具が役に立ったら,「ご支援」をお願いいたします。さすがにお金が入ってくる仕組みが「何もない」と続けられないんで。


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