● 一般的な用途
キーには [INS] などと略されて表示されていることも多い。
"Insert" という単語の意味としては「挿入」。そのため,このキーには挿入に関する操作が割り当てられる。代表的なのは以下の2つ。
- 「挿入モード」と「上書きモード」の切り替え
- 文字列などの挿入(ペースト)
どちらも,特にワープロやエディタなどの文字編集を行なうアプリで重要な意味を持つ。
どちらの動作をするかはアプリにより異なるが,同じアプリで上記2つの機能のうちのどちらかを設定で選択して使えるものがある。
なお,詳細は後述の各章を参照。
● 「挿入モード」と「上書きモード」の切り替え
まず「挿入モード」とは,文字入力をすると,そこに元々あった文字は,消えずに後ろに押しやられる編集方法。
で,「上書きモード」は逆に,文字入力をすると,そこに元々あった文字が消えて置き換わっていく編集方法。入力した文字数と同じ数だけ元々あった字が置き換わる。
具体例でいうと,たとえば以下の文字の並びで,*マークのところに“ABCD”と入力すると,こんな差ができる。
123456789*123456789 ↓ 123456789ABCD*123456789
123456789*123456789 ↓ 123456789ABCD456789
モードの違いをどこで判断するかはアプリによって異なるが,たとえば,筆者がこの記事を書くのに使用する Geany というエディタでは,窓の下部(「ステータスバー」と呼ばれる部分)に,「挿入モード」の時は INS と表示され文字カーソル(カレット)の形状が縦棒になり,「上書きモード」の時は下部に OVR と表示され,カーソルはアンダーラインのような小さな四角い形状になる。
◆ 昔のワープロの「挿入」
古いワープロなどでは,「挿入」の機能のあるキーを1回押す度にスペースが1つ入力されて,そこに元々あった文字は1つずつ後ろに押しやられる……といった動作をするものがあった。筆者の父が使っていた「ワープロ機」がそうした動作だった。
作成中の文書で途中に文字を追加したい時は,前述の「挿入モード」の機能のあるパソコンのワープロでは,とにかく挿入したい場所に文を入力して行き,元々あった文字は後ろに追いやられるからあとで消せば済むわけだが,どーも父はそうした編集方法に慣れないらしい。最初に挿入したい文の長さと同程度の「スペース」をあけてから,そこに文を書いていた。当然,述べているような「挿入」の機能が働くから,文字を入れた時に入力したスペースも後ろに追いやられ,スペース分が余計にあくことになり,結局その「先に入れたスペース」を消す操作を余計にかけていた。最初にスペースを入れなければ済む話なのだが,どうも「クセ」でやってしまうようで,いちいちスペースを入れたり消したりしながら編集作業をしているのだった。
● 文字列などの挿入(ペースト)
実質的に「ペースト」([Ctrl]+[V])と同機能が働くアプリもある。[INS] キーを押すと,文字カーソルのある場所にクリップボードの内容がペーストされる。