● 一般的な用途
[SCROLL LOCK] キーの代表的機能は特にない。筆者にとって「存在がナゾ」と思っているキーのうち最たる……というか,「唯一」と言えるキーがこれ。実際,最近のキーボードにはこのキーがないものもあるらしい。
元々の機能は何だったのかとウェブで調べたら,「このキーを押したままカーソル(矢印)キーを押すと,カーソル位置が固定された状態でスクロールする」なんて説明が出て来た。が,それって「カーソルロック」ではないかと思うのだが。「スクロール」のロックではなかろう。だいたい,この原稿を書いている DELL 社のパソコンは,[Fn] キーと一緒に押すことで [SCROLL LOCK] キーが利く構造。ならば,その [Fn] キーと共に [SCROLL LOCK] キーに相当するキーと矢印キーを押せば,説明で読んだようなスクロールをするのかと思いきや,このパソコン,[Fn] キーと上下矢印キーを押すと「画面の明るさ調整」機能が働くようになっていて,画面が明るくなったり暗くなったりするだけで,スクロールはしなかった。これじゃ説明のような用途には使えないじゃん!スゴい設計。そもそも,だったらなんで矢印キーの近くにないのかって話にもなる。本当にネットの説明のような用途だったのかも疑わしい。
かつてコンピュータの画面に表示できるものが文字のみだった頃に,経過を表示しながらする処理では,その表示速度はコンピュータの処理速度とほぼ同じだろうから,出力される文字が多ければ直ぐに画面いっぱいになって,あっという間にスクロールで消えて行き,とても内容が読み取れるようなものではないはずだ。そのままでは確認したい部分を見逃すことも多いはずで,そのため「スクロールの一時停止」のような機能のキーがあってもいいと思っていて,それが [SCROLL LOCK] なのだろうと考えていたのだが……。
一方で,今どきの「マウス」や「タッチパネル」のような操作環境は
GUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェイス)と呼ばれるが,そうした環境下では画面に出力する内容はほとんど内部に記録されることも多い。スクロールにより見切れた部分も後から呼び出して確認することも容易であるため, [SCROLL LOCK] に相当する機能の必要性も薄れ,今そのキーにはほとんど何の機能も割り当てられなくなった……ということではないかと想像している。
ちなみに,かつてコンピュータで使われていたような,結果の表示が文字のみの「ターミナル」と呼ばれる使用環境は今でもあり,そこではやはり結果のスクロールがコンピュータの処理と同じになるため,一時停止させて見たい需要もあると思われる。ところが,筆者が試した限りでは,該当するアプリで [SCROLL LOCK] キーを押して「スクロールが一時停止する」ことはなかった。一方,その手のアプリは [Ctrl]+[S] というキー操作で表示が一時停止することが多い。表示を再開させたい時は,再度同じキー操作をするか,または [Ctrl]+[Q] と操作する。
ちなみ2,筆者が使用している「エディタ」と呼ばれるアプリでは,[Alt] キーと共に矢印の上下キーを押すと,カーソルが動かずに画面がスクロールする機能が働く。