● 一般的な用途
このキーで,文字入力以外で,異なるアプリ間に共通する機能は思い当たらない。その代表的機能は以下の通り。詳しい解説は次章を参照。
- 文字「M,も」の入力
● 文字「M,も」の入力
単独で押すとアルファベットの「m」が,[Shift] キーと同時に押すと「M」が入力される。mの文字コードはMより 32 大きい。つまり,二進数では第5ビット(2^5 の位)が異なるだけ。
なお,かな入力モードでは「も」が入力される。五十音の「ま行」は「む」と「め」以外はこのキー周辺にまとまっている。なぜかその2つだけは右の隅のほうにある。
筆者が日本語の入力で使う「NICOLA(親指シフト)配列」では,シフトなしで「そ」,右親指(同手)シフトで「ゆ」,左親指(クロス)シフトで「ぞ」が入力される。
◆ 文字コード 13(CR)の入力
「ターミナル」など,文字のみやりとりするコンピュータ通信では,[Ctrl]+[M] のキー操作で,文字コード 13 が入力されることがある。ASCII コードで 13 は CR(Carriage Return)と呼ばれるコントロール(制御)コードで,直訳すると「キャリッジを戻す」ということになるが,意味としては,「次の印字位置を左端からにする」的なもの。文字通信以外でも,「データの区切り」として今でもわりと多用される。
「キャリッジ」とは,「タイプライター」では紙を挟むローラー(プラテン)などの部分,またプリンタでは「ヘッド」と呼ばれる印字部分に相当する。次の印字位置を「左端」にするには,プリンタのヘッドは「左端」に移動するが,「タイプライター」では文字の印字位置は動かず紙の側が動くため,キャリッジは「右端に移動させる」ことになる。
Windows 辺りのパソコンでは,LF(=Line Feed,ASCII コード 10)とペア(CR+LF)で「改行」として扱われる。この場合,LF コードがないと同じ行の左端からとなり,既に表示された文字が書き換えられる。
昔のコンピュータのエディタなどは,[Ctrl]+[M] のキー操作で改行するものもあった。
通常は画面に表示される文字はないが,このコードを可視化する方法として“^M”などの表記が使われることがある。ちなみにMはアルファベットの 13 番目の文字で,文字コードは 77〔十六進表記 4DH〕。CR の文字コードより 64〔40H〕だけ大きい。つまり二進数では第6ビット(2^6 の位)が異なるだけ。
◆ デスクトップにフォーカスする(古?)
今でもそうなのかは知らないが,Windows XP 辺りまでは,[Win]+[M]
のキー操作で,全ての窓が最小化され,デスクトップがフォーカスされていた。ここで [Win] というのは Windows マークが刻印されたキー。
「全て最小化」というと [Win]+[D] 辺りが知られているかもしれないが,[Win]+[M] のキー操作は「デスクトップがフォーカスされる」という点が便利だった。フォーカスされるため,直後に「矢印キー」でデスクトップのアイコンを選択できたから,マウスを使わずデスクトップのアイコンを起動することが簡単にできた。
一方,[Win]+[D] は,その操作の度に「全最小化⇔全て元に戻す」が切り替わる方式だと思うが,フォーカスまではなかったと思う。
[Win]+[M] のキー操作が今でも有効に機能するかどうかは知らない。それができなくなったんで Windows から気持ちが離れた気もする。