● 一般的な用途
[半角/全角/漢字] キーの代表的機能は以下のとおり。詳しい解説は次章を参照。
- 日本語入力機能(IME)の有効/無効の切り替え
じつはこのキーの位置は,英語用のキーボードでは,単独で押した時はバッククォート(`),[Shift] キーを押しながらだとチルダ(~)を入力するのに使うキーがある。実際,キーボード設定が「英語モード」になっているパソコンでは,このキーでそれらが入力されるようだ。
逆に,英語用キーボードで,[Alt] キーを押しながら同じ位置にあるキー(つまりバッククォートのキー)を押すと,日本語入力モードにすることができるらしいが,筆者は試したことがない。
● 日本語入力機能(IME)の有効/無効の切り替え
[半角/全角/漢字] キーを単独で押すと,通常の半角英数入力時には「日本語入力モード」に,日本語入力モード時は「半角英数モード」に……と,交互に切り替わる。技術屋は時としてこの切り替え方式のことを「トグル」と呼ぶことがある。
日本語入力モードの切り替えにこのキーを使う人もけっこういるのではないかと思うが,じつは筆者はこの「トグル」が嫌いで,あまり使わない。なぜ嫌いかというと……別に筆者ではなくても,[Num Lock] というキーで少々煩わしい思いをした人がいるのではないだろうか。理由はそこ。
キーボードの右のほうにある「テン・キー」という数字キーで数値を入力しようとして [Num Lock] キーを押したけどうまくいかない……と思ったら,じつは [Num Lock] 状態を「解除していた」という経験をした人が,けっこういるのではないか。表計算で数値の入力をする時に,「テン・キーならばブラインドで打てるぜー!」とか思ってチョーシこいて,数字打っていたつもりが,ただ単にセル間を行ったり来たりしているだけだったとか,別のセルのデータを壊していたりとか……。これはつまり「押す度に切り替わる」方式は,「次に押した時どっちの状態になるか」分かりにくいということ。それでもまだ [Num Lock] なら,キーが数字入力モードかどうかを示すランプが付いているから分かる。が,日本語入力モードにはそれがない。「言語バー」と呼ばれるインジケータの表示の有無で判断できればいいが,半角英数モードの時も表示されていることもあり,そこにあるモード表示も小さいため,パッと見で分かりにくかったりする。時々,その「言語バー」がどこにあるのかも分からなくなることもある。
では,このキーを使わず,どうやって切り替えているのかというと,「日本語入力モード」へと「英数モード」への切り替えを異なるキーでしている。
まず「日本語入力モード」へは,[ひらがな/カタカナ] キーを押している。筆者が普段使っている Linux では,「そうなるよう設定」しているが,Windows あたりのパソコンでは,特に設定をしていなくても,「『ひらがな』のキーを押したのなら,日本語を使うのだろう」と解釈され,たいてい日本語入力モードに切り替わる。重要なのは,そのキーは「再度押しても英数モードに戻らない」点だ。
で,「英数モード」へは [英数/Caps Lock] キーで切り替えている。これは,たいていのパソコンで「そうなるよう設定」する必要がある。
▼ 筆者のパソコン(Linux SCIM)での設定 |
もちろん,このキーも「再度押しても日本語モードにならない」ようにしておく。「英数」と書いてあるくらいなのだから,確実にそのキーで「英数モード」になるようにしておく。Windows 機の元々の設定は,[英数/Caps Lock] キーでは「(全角)英数⇔かな入力」が切り替えられるが,この「通常入力モード(=半角英数モード)」に「IME-オフ」の設定をし,他も「IME-オン/オフ」の設定にする。こうしておけば,通常入力モードから「IME-オン」にならないから,それで大丈夫。
▼ Windows 機(XP)での設定例 |
すると,日本語で入力したければ最初に [ひらがな/カタカナ] キーを押して入力を始めればよく,半角英数ならば [英数/Caps Lock] キーを最初に押せばいいことになる。つまり,「今どっちモードなのか」の確認の必要がなくなり,入力したい文字と異なるモードであったために打ちかけた文字を消したり……といった無駄がなくなる。
逆に,[半角/全角/漢字] キーにあるような「モードを切り替える」キー操作では,「モード確認」の手間や,押す回数を間違って「モード違い入力による修正」を余儀なくされるわけだ。こうしたちょっとした設定の変更で,ストレスが軽減されることもある。
なお,[英数/Caps Lock] キーで「(全角)英数⇔かな入力」を切り替えていた方で,特に「日本語の中に部分的に英数を入れたい」場合,[F9] や [F10] キーなどで代替できると思う。詳しくは以下を参照。
というわけで,効率を重視する人に,この [半角/全角/漢字] キーによる日本語入力モードの切り替えは,あまりオススメできない。