● 一般的な用途
[F4] キー(エフフォーキー,エフヨンキー)の代表的機能は以下のとおり。詳しい解説は後述の各該当章を参照。
- 「場所(アドレス)」のプルダウンメニューを表示
- 窓(ウィンドウ)を閉じる
- タブ,またはファイルを閉じる
- ターミナルを起動(一部の PC)
全般的に「閉じる,終了する」操作に関わる機能が多い。
筆者が使う Windows パソコンには,[Alt]+[Ctrl]+[Shift]+[F4] という操作に,パソコンを強制終了する機能を設定することがよくある。そうしておくと,スタートメニューから「終了……」するのが面倒な時に便利。というのも,パソコンの動作が重くスタートメニューをクリックしてもなかなか表示されないような時でも,キーボードの操作はわりと受け付けてくれていて,前述の操作をした時は反応がなくても内部で処理が保留されていることもあるため。この操作をして放置しておくと(ちょっとトイレ行くとか),たいていしばらく後には終了している。ただ「常に」というわけではないので,確認は必要。
● 「場所(アドレス)」のプルダウンメニューを表示
筆者が使っている Windows パソコンでは,エクスプローラ(ネット閲覧ではなく,フォルダやファイル一覧の表示,コピー,移動,起動などをするソフト)使用中に [F4] キーを押すと,「フォルダの場所(アドレス)」を指定する枠のプルダウンメニューが表示される。
また「インターネット・エクスプローラ」も似た感じで,同じ場所にある URL(ウェブアドレス)欄のプルダウンメニューが開く。
ちなみに,[Alt]+[D] という操作でアドレス欄が入力状態になる機能があるが,こちらはプルダウンメニューは表示されない。ただし,直後に [Alt]+[↓] などの操作をすれば表示される。
● 窓(ウィンドウ)を閉じる
[Alt]+[F4] の操作でその窓を閉じる。この場合の「閉じる」には,以下の2種類の意味がある。
- A: 現在の窓(ファイルや閲覧中の記事)を閉じる(だけ)
- B: アプリを終了する
注意や警告,確認などのために表示される窓「ダイアログボックス」でこの操作をすると,多くはAの扱いになる。複数のボタンがある時は「キャンセル」を押すのと同等な扱いになることが多い。
それ以外の場合は,状況によりAの扱いになったりBの扱いになったりする。どういうことかというと,たとえばワープロのアプリで「複数の文書ファイル」の編集中に [Alt]+[F4] の操作をすると,たいていはその時編集作業をしていたファイルの窓だけ閉じられて,同じアプリで編集中の他の文書ファイルはそのまま残り,アプリ自体は終了しない。ところが,作業中のファイルが一つだけだった場合はBの扱いになり,その操作でアプリ自体が終了することがある。また,アプリによっては常にBの扱いになるものが存在する可能性もあり,その際は複数ファイルの編集中でもアプリは終了する。ただ,その時保存されていないファイルがあると,たいていは「保存するかどうか」の確認画面が出る。
ブラウザなどのアプリでもほぼ同様で,一つの窓に複数のタブを開いて閲覧している場合,全てのタブを含む窓全体が閉じられる。その時に同じアプリの別の窓があればそれは残り,アプリ自体は終了しないが,閉じられたのが唯一の窓だった場合は,たいていはアプリも終了する。
似た操作として [Ctrl]+[Q](Mac では [Command]+[Q])があるが,Windows での有効性はアプリごとに違いがある。
◆ 「閉じる」にはマウス操作より早いはずだが
筆者がパソコン指導をしているある障害を持つ方は,手が不自由なため,一般的なマウスではなく「ジョイスティック」でマウスカーソルを動かす装置を使っているが,不随意運動を伴うためか,この「窓を閉じる」ため窓の右上の [×] ボタンにマウスカーソルを合わせるのにスゴく手間取る。健常者なら数秒程度で済むボタンのクリックに,十数秒から数十秒かかる。一方,キーボードのほうが押し間違いなどは少ないから,この [Alt]+[F4] による「窓を閉じる」のキー操作ができるならそのほうが早くてラクなはず。ところが,その方法を伝えると直後はそれで閉じてくれるが,「忘れる」のか「慣れ」なのか,少し経つと,やはり「右上の [×] ボタン」で閉じようとして時間をかけてしまう。
何か目印でもあれば忘れないかと思い,[Alt] と [F4] のキーに小さなシールを貼ってみたのだが,それでも,うまく操作できないスティックでマウス操作して,時間をかけて閉じようとしてしまう。
本人がそうしたくてしているなら問題ないと言えなくもないが,指導する側としては,なるべく「早く操作できる方法」を使えるようになってもらったほうが望ましいと思っている。というのも,じつはその方,耳も不自由で,音声によるコミュニケーションもむずかしいため,周囲の方に自分の考えを詳しく伝えるには,メールやワープロなどの文章が使えたほうがいいと思われ,それならば,そうしたソフトの操作は早くできたほうが,伝達も円滑になるだろうと考えているため。
実際,施設に入所しているその方と離れて暮らす親御さんは,その方とメールで連絡し合えるようになりたいと長い間望んでいるが,「連絡くれないどころか,返事さえくれない」と半ばあきらめ気味。原因として,「閉じる」の操作も含め,操作ひとつひとつをマウスでやろうとして時間をかけ過ぎて,次のステップへなかなか進めないため,どんなにちょっとした文章でも,書こうとしている最中に食事や出かける時間になって途中で中断せざるをえなくなることが多くなり,伝えるべき時に間に合わなくなったり,そのまま何をしようとしていたか忘れてしまうこともあるのではないだろうかと考えている。たとえば,メールで連絡したいと思った時,「今見ている窓を閉じて,メール作成画面を出す」操作をするだけでも時間がかかるから,その間に食事時間になるなどで途中で中断せざるをえない状況がしばしば起き,「それが普通」になってしまい,「メールで連絡する」という「モチベーション」が維持できないようなところもあるのではないかと思う。
メールを使う人は,短い文を気軽に送れることを「利点」として感じていると思う。ところが,どんなに「短い文」を送るための操作も長々と時間がかかってしまうなら,「直接会えるまで待ったほうがラクだ」的な感覚に陥ってしまったとしても不思議ではないような気がする。
パソコンが障害者の意思伝達の道具として活用されるようになってかなり経つが,せっかくなのだから「早い操作方法」を覚えて,周囲の方との円滑なコミュニケーションに活かして欲しいと思うばかりだ。
● タブ,またはファイルを閉じる
[Ctrl]+[F4] の操作でそのタブ,またはファイルを閉じる。この操作では,アプリ自体は終了しない場合が多い。
ファイルやウェブ記事などを複数扱えるアプリでは,「タブ」によって扱うものを切り替えられるようになっているものがあるが,その時に見ているタブ「だけ」を閉じたい時に [Ctrl]+[F4] の操作が使えるものがある。
この操作では,アプリ自体は終了しないことが多いが,唯一のタブを閉じた時は終了してしまうアプリもある。たとえば,ワープロソフトでは,編集していた唯一の文書ファイルを [Ctrl]+[F4] の操作で閉じると初期画面が表示され,アプリは終了しないことが多いが,ブラウザでは終了してしまうものがある。
なお,表計算アプリでは,タブは複数あっても「ひとつのファイル」であるため,[Ctrl]+[F4] の操作で閉じることはできないのが普通。
似た操作として [Ctrl]+[W](Mac では [Command]+[W])があるが,Windows での有効性はアプリごとに違いがある。
● ターミナルを起動(一部の PC)
筆者が使っているファイルマネージャ(PCManFM)では,[F4] キーを押すと,それまで見ていたフォルダ上でターミナルが起動する。