あまりに知られていないメールの使いこなし方


公開 (UL): 2019-03-11
更新 (UD): 2019-03-11
閲覧 (DL): 2020-10-27

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 ネットをよく知らないまま使っている人に説明をするのはいろいろとたいへん。たとえば,「メール」に関係する以下に挙げた項目のうち,「間違い」はいくつあるでしょうか。

 知っている人は「フフン」と鼻で笑っていると思いますが,これ全部「間違い」。
 筆者は障害者向けにパソコンの指導をしているのですが,その周囲の方で,「新しいパソコンを買ったからメールも変わった」とか,「タブレットが欲しいから携帯電話会社と通信の契約をしなきゃ」などと言っているのを聞いたりするのですが,どれも「必要ない」と理解してもらうのにひと苦労。「でも訓練の先生が言ってたから」とか……いやいやいや,訓練の先生はパソコンや通信の専門ではないでしょって。わざわざ手間とお金をかけるようなことを吹聴しないでほしいと思うところ。

 ただ,挙げた各項目が「間違い」と言っても,「全てのメールに成り立つわけではない」といった意味も含んでいます。たとえばプロバイダ(インターネット接続業者)が提供しているメールサービスの場合は,たいていはその業者を解約したら使えません。一方,メールサービスは接続業者以外が提供するものも利用できるので,その場合は解約して他の接続業者に乗り換えても,多くは同じアドレスを使い続けられます。つまり,業者を解約すると使えなくなる「とは限らない」ということ。
 裏を返せば,なるべく安い接続業者を次々に乗り換えて利用したいけど,メールアドレスはなるべく変えたくない……と思ったら,接続業者以外から提供されているメールサービスを利用すれば,接続業者を変更しても同じアドレスを使い続けられるわけです。
 あるいは,最近はメールの契約だけ別にすることができるプロバイダもあるので,それが可能な業者なら,接続の契約を解除しても,メールだけの月々の料金を支払って使い続けられる場合もあります。

 ここでは,メールの仕組みを解説しながら,その特徴をうまく活かして,無駄なく便利に使う方法をご紹介したいと思います。

● メールの仕組み……なぜ「間違い」なのか

 前文で挙げた項目がなぜ「間違い」なのか,メールの仕組みを知ればよく分かると思うので,その辺りから解説していきたいと思います。

◆ メールはパソコンに届くわけではない

 こう言われるとショックを受ける人がいるのではないかと思うレベルですが,事実です。メールは,「メールサーバ」と呼ばれる,どこかにあるコンピュータで扱われます。サーバには「送信(メール)サーバ」と「受信(メール)サーバ」があって,届くのは「受信サーバ」です。そこに届いたメールを,インターネットを通して「パソコンから」読みに行っています。

▼ メールが届く仕組み
メールが届く仕組み

 「私書箱」のようなものと考えると近いと思います。配送物が届くのはその「私書箱」で,普通はそこに「こちらから取りに行く」ことをしないと内容を見ることはできません。そのため,実際にパソコンからは「受信」という操作が必要になります。
 ただたいていは,メールを扱うソフトに「××分ごとに受信する」と設定されていることが多く,放っておいても「受信」を一定時間ごとに自動で行ない,メールが届いていればパソコンに読み込んでくれているので,「勝手に届けられる」感じがしてしまうかもしれません。

 この「私書箱」の住所に当たるのが,メールアドレスの「@(アットマーク)」から後ろの「ドメイン」と呼ばれる部分で,メールサーバのコンピュータの名前です。@ より前の部分が,私書箱でいえば「番号」に相当し,その私書箱の利用者を識別します。

◆ プロバイダとの契約に関係なく使えるメールもある

 メールサービスの提供はプロバイダ(接続業者)だけしかできないわけではありません。
 前節のとおり,メールというのは「メールサーバ」で管理されます。言い換えると,インターネットで接続可能な「メールサーバ」を置き,そこに「私書箱」に当たるメールボックスを作ればメールを使うことができます。と言っても,通常は誰でも作れるわけではないです。メールサーバは企業などの組織所有のコンピュータであることが多く,そこの組織の関係者以外のメールボックスを作ることはないのが普通。
 ただ,外部の人用にメールボックスを作ってサービスを提供している業者も存在します。その一端が「プロバイダ」であるわけで,接続サービスと共にメールの提供もして,その代金を徴収しています。前節で,「どこかにあるメールサーバのコンピュータに届く」と書きましたが,その「どこか」とは,プロバイダであることが多いということです。

▼ 様々なメールサービス提供元が利用可
様々なメールサービス提供元が利用可

 そのため,プロバイダ提供のメールサービスの場合,そのプロバイダの接続契約を解除すると使えなくなることがあります。メールアドレスの @ マークより後ろの「ドメイン」部分がプロバイダに特有のものであれば,その可能性が高いです。ただ最近は,メールサービスだけ別料金で提供するプロバイダもあるので,そうした契約が可能な業者なら,「メールサービスのみ」の月々の料金を支払えば,接続の契約は切ってもメールは使い続けられることがあります。
 同様に,有料で「サーバ」の機能を貸し出す業者も存在します。この場合も,やはり接続業者に関係なくメールが利用できます。
 あるいは,ソフトウエアの会社が,自社ソフトの使用者に対し,利便性向上のためメールサービスを提供する場合もあります。
 また,無料でメールのサービスを提供する業者もあります。広告収入を主とするネット検索業者などでは,無料でメールサービスを提供する代わりに,そのアドレスに広告メールを配信したり,場合によっては,その人が送受信するメールの内容を読み取って,含まれる語句に関連のある(その人との関わりが深そうな)業者の広告を多く表示させるなどして,収入源としています。つまり考えようによっては,そうした業者のメールサービスは「通信の秘密」が厳格に守られていないことになるので,十分注意して使う必要があります。

 いずれにせよ,メールサービスはプロバイダ(接続業者)だけが提供しているわけではなく,他にも利用できる業者がいろいろとあります。言い換えると,プロバイダはあくまでも「接続業者」であって,たとえメールサーバが他社だろうとどこにあろうと,接続してくれるのです。プロバイダ以外の業者から提供されるメールサービスは,プロバイダを解約したからと言ってメールボックスが消滅することはありません。

◆ モバイル端末でも携帯電話業者と契約なしで使えるメールもある

 スマホやタブレットなどの「モバイル端末」でメールを使いたいと考えたら,やはり「キャリア(携帯電話接続業者)」と契約しないと使えなさそうな気がする方も多いかと思いますが,それも間違い。述べてきたように,その「キャリア」以外で提供されているメールサービスは,キャリアとの契約は「必ず」必要というわけではありません。

 だいたい「スマホ」とは「スマート『フォン(phone 電話機)』」の略ですから,「(携帯)電話」の通信機能が搭載されていますが,タブレットの場合,必ずしも携帯電話と同じ通信機能が搭載されているとは限りません。でもほとんどのタブレットには「メール」を扱うソフトが入っていて,実際使えます。なぜ使えるのかというと,携帯電話と同じ通信機能はなくても,ほぼ必ず「無線 LAN」という別の通信の仕組みが使えるようになっているため。無線 LAN で「メールサーバ」に接続できれば,キャリアと契約しなくてもメールを利用できます。
 また最近は,スマホや一般的な携帯電話(いわゆる「ガラケー」)でも,契約しているキャリア以外から提供されるメールの送受信もできるようになっていることも多いので,パソコンで使っているメールをスマホや携帯でやりとりできる場合もあります(詳細は次節)。そのうえ,スマホならほぼ確実に無線 LAN 機能が使えますし,携帯でも使えることが多くなってきているので,場合によっては,キャリアと契約せずにメールだけ使うことも可能です。

 ただ無線 LAN というのは,親機(アクセスポイント)からせいぜい半径十数メートル前後の範囲でしか通信できないので,「どこへ持って行っても(無線 LAN が使えない場所でも)メールしたい」時などは,やはりどこででも通信できる環境……つまり,キャリアや MVNO と呼ばれるモバイル通信事業者との契約が必要になってきます。
 一方,今までパソコンでやりとりしていたメールをタブレットで使いたいような場合は,そのメールとキャリアは直接関係ないですし,しかもそれを自宅内などの無線 LAN が使える場所でやりとりできれば済む程度なら,契約は「必ず」要るものではないわけです。

 ちょうど筆者が,「おさがり」のスマホに述べたような設定をして,契約が切れたままメールを使っています。「でも外出した時は使えないでしょ」と思っていませんか? 人が集まる飲食店や駅などでは「公衆無線 LAN」と呼ばれる接続が無料で使えるようになっていることがあって,それを利用できる場所なら,キャリアとの契約がなくてもメールできます。限定的な使用でよければ,キャリアとの契約は不要なのです。

◆ パソコンでやりとりするメールを携帯やスマホでも読める

 述べてきたように,メールサービスはプロバイダ特有のサービスではありません。しかし「他の業者のメールサービスを使おう!」と思っても,受信や送信する方式が業者やサーバにより違ってしまっていては,やはり使えなくなってしまいます。
 でも,じつはメールのやりとりには,どの業者もほぼ同じ規格を使っています。しかも最近は,携帯電話やスマホなどの「モバイル端末」でも,同じ規格で送受信する機能が使えるようになっていることが多いです。モバイル端末にパソコンと同じ設定ができれば,モバイル端末でもパソコンで送受信しているのと同じアドレスが使えることになります。

 ただ,気をつけないといけないのは,携帯電話やスマホのデータ通信は「従量料金」や「通信制限がある」ことも多いという点。普段,使い放題のパソコンでやりとりしている写真などの大きなデータを携帯電話やスマホでやりとりすると,高額な通信料金が発生したり,通信制限がかかってしまうこともあります。やりとりの「方式」は同じでも,通信の料金体系は異なることがあるので,注意が必要です。

◆ 地理的住所とメールアドレスは無関係

 「引っ越したらメールアドレスも変更が必要」だと考えている方は,引っ越す度に電話番号が変わる,昭和時代の「固定電話」と混同しているのかもしれませんが,そんなこともありません。述べてきたように,メールは「メールサーバ」に届くものなので,そのサーバにさえ接続できれば,どこででも使えます。その「接続」には,通常はインターネットを利用するため,「インターネットに接続できる環境」さえあれば,同じメールアドレスを使い続けられることになります。極端な話,インターネットというのは海外ともつながっていますから,海外に引っ越したり,出張に出たりしても,あるいは海外で使っているアドレスでも,インターネットでつながれば,原則使い続けることは可能です。

◆ メールアドレスはパソコンごとに変える必要はない

 前述の「引越し」と同様,メールは「メールサーバ」に届くのですから,同じ「メールサーバ」の設定をしたパソコンなら,同じアドレスでやりとりが可能になります。パソコンを新しくしたからといって,それまで使っていたメールが使えなくなるとか,変えなければいけないということはありません。同じ「メールサーバ」の設定をすればいいだけ。
 つまり,所有する端末(パソコン,タブレット,スマホなど)が複数あった場合,全て同じ設定をしておけば,どれでも同じアドレスでやりとりできるようになるわけです。こうしておくと,普段使っている端末が不具合を起こしてメールをやりとりできなくなった時も,他の機械からやりとりできるので安心です。「あ,それやりたい」と思った方は,後述します「メールの基本」の章の「アカウント設定に必要な項目」の節や,「応用」の章の「みとろん設定」節を参照してください。

 ただ,パソコンの年代によっては,その「やりとり」の対応が合わなくなってしまう場合があります。外部の傍受やウイルスメールなどを防ぐため,送受信する時の「セキュリティ(安全対策)」の仕組みが日々進化しているので,古いパソコンですと,新しい送受信の方式が使えなくなる可能性があります。ソフトの「アップデート」で対応可能な場合もありますが,それができない時は,メールアドレスは変えなくても,「パソコンを」新しくする必要が出てくる可能性があります。

◆ 設定せずにメールを読む方法もある

 前節で述べたとおり,使用しているメールと同じ「メールサーバ」を設定すれば,どのパソコンでも同じメールが使えるようになりますが,一方,設定しなくても読む方法はあります。それが「ウェブメール」。これは,普段「ウェブページ」を閲覧している「ブラウザ」でメールを見ることができるようにする仕組み。
 メールの送受信には「メールサーバ」が使われる一方,ウェブページのデータを発信するサーバは「ウェブサーバ」とか,「HTTP サーバ」と呼ばれます。このウェブサーバがメールサーバを中継するかたちで,メールのデータをブラウザに表示する仕組みが「ウェブメール」です。

▼ ウェブメール
ウェブメール

 このサービスは,たいていの場合,契約しているプロバイダかサーバ業者から提供されるので,利用したい時は契約している業者のサポートを調べてみてください。
 一方,検索業者が提供しているような無料のメールサービスは,元々ブラウザで読むことを前提としているので,ほぼ「ウェブメール」そのものと言っていいでしょう。

 この仕組みを利用すれば,インターネットに接続していてブラウザが使えるパソコンなら,何も設定せずにメールが読めることになります。たとえば,外出先の施設にネットにつながっている共用コンピュータがあれば,そこで自分に届いたメールを確認することもできるわけです。
 ただこのウェブメール,外では十分気をつけて使ったほうがいいものです。というのは,ウェブメールでは「誰でも勝手に見られる」ことのないよう,ID とパスワードを入力して「認証(ログイン)」する必要があります。ところが,もしそのパソコンが,そうした入力を傍受するようなウイルスに感染していたりすると,時として悪意のある第三者に ID とパスワードが知られてしまう可能性があります。外でウェブメールを使う時は,信用できる場所に限ったほうがいいでしょう。

 筆者はこの仕組みを,離れて暮らす家族や知り合いなどのメール使用状況を遠隔的に確認するのに利用します。たとえば,入所施設に離れて暮らす障害者が使うパソコンに,詐欺メールが届いていないかや,誰かに失礼なメールを出してしまったりしていないか心配なご家族に,このウェブメールの仕組みをお伝えして使えるようにしておくことで,わざわざ本人の元に出向かなくても,家族が所有するパソコンやタブレットなどからメールの内容をいつでも確認できるようになります。詳しくは「応用」の章の「……みとろん設定」の節を参照。

◆ まとめ

 メールの仕組みが何となくお分かりいただけたでしょうか。まとめておくと,以下のような感じ。

● 「メールの仕組み」が深く関係する注意点

 筆者がパソコンの指導をしている,ある障害のある方は,「メールが届いたかどうか見てほしい」とよく言うのですが,じつは,送信できたことは分かっても,届いたかどうか,相手が読めたかどうかまでは分かりません。
 「メールサーバ」と呼ばれるコンピュータには,「送信用」と「受信用」があり,まず送信者の端末(パソコン,スマホ,タブレット,携帯電話など)から「送信用」のサーバにつながらなければ,送信できません。ただこの場合,送信者のパソコンに「送信できない!」ことを示すエラーが表示され,送ろうとしたメッセージも「送信済み」の扱いにならないのが普通なので,送信できない時はすぐ分かることが多いです。

 問題なのは,送信はうまくいっても,「受信用」のサーバから受信者の端末までの間でうまくいかない事態が起きた場合。この時,たいていメッセージは「送信済み」扱いになります。送信はできた,でも届かない,という状態。次のような状況になる可能性もあるのです。

 メールは,その仕組み上,こうした現象も起こりうることに留意して利用する必要があります。

 では,なぜこのような現象が起こるのか説明していきます。

◆ 送信できても相手サーバに届くとは限らない

 メールの送信に関係するのは,発信者の端末と「送信サーバ」です。でも,そこまでは正常に機能しても,受信者が利用している「受信サーバ」が何らかの原因でメールを受け付けてくれないと,「受信できない(読めない)」という事態が生じます。この場合は,送信者と受信者,双方の端末が正常でも,メールが届きません。
 原因は以下のどちらかであることが多いです。

 「迷惑メール」の対策などで,発信者のアドレスやサーバに制限がかかっていると,「受信サーバ」が受け付けてくれないことがあります。
 この場合の対策としては,受信者に別の方法(別のアドレスなど)で連絡を取って,発信者のアドレスを「迷惑メール」として扱わないように,受信者の使う「受信サーバ」の設定をしてもらうしかありません。その方法は,メールを提供する業者によって異なるので,サポートにアクセスするなどして調べる必要があります。
 なお,複雑なケースとしては,受信サーバとは別の業者によって迷惑メールの指定がされていることがあり,この場合はその業者に連絡を取り,迷惑メール指定を外してもらう必要があります。

 容量オーバーの場合,多くは「添付ファイル」が原因です。複数ある場合は数を減らしたり,写真などの画像であれば画像編集ソフトで縮小するなどで,サイズを縮める必要があります。
 それ以前に,大容量のファイルを前触れもなく送信することは控えたほうがいいです。通信の契約は人によって異なります。メールを受信する相手が「従量制」や,容量制限のある契約だった場合,大容量のファイルが添付されたメールを受信したことで,相手に高額なデータ通信料を発生させたり,通信制限をかけてしまう可能性もあります。
 また,受け付けたメールによって受信サーバが満杯になって,以降の全てのメールが受け付けられなくなることがあります。これは,送信したメールが必ずしもそんなに大きなものではなくても,それより前に他の誰かが送ったメールが大きかった場合でも起こります。逆に言えば,大きなファイルを送ったことが,その後に相手に届く受信メールを全て受け付けられなくしてしまう原因になることがあるわけです。
 しかも,これらは受信者側で対処することもむずかしいのです。
 だから大きなサイズのデータを渡したい場合は,もし可能であれば,任意のデータをアップロードできるサービスなどを利用して,その URL (ウェブアドレス)を相手に伝えて,読み込む前にサイズを確認できるようにしておき,それを読んでもらう方法が無難。そのための「アップローダー」とか,「ファイル転送」の業者なども存在します。
 こうした手法が分からない時は,事前に「××バイトの大きさのデータを送りたいけど大丈夫か?」と確認しておくといいでしょう。

 なお,これらの場合,たいていは,発信者に「受信されなかった」という内容の「エラーメール」が返送されてくることが多いです。英文が多いのでパニックする方も居るかもしれませんが,たいていはエラーが起きた宛先のアドレスが記載されていたり,送信メールの内容が添付されているので,よく見れば分かることも多いです。

◆ 相手サーバに届いても読んでもらえるとは限らない

 メールは複数のコンピュータを経由するため,そのどこかに不具合が発生するとうまくいきません。たとえ相手のメールサーバに届いても,相手の端末(パソコン,スマホ,タブレット,携帯電話など)までとの間で問題が生じると「見てもらえない」ことになります。この場合は,「サーバには正常に届いている」ためエラーメールは返って来ません。サーバでエラーが起きれば,通常は送信者に「エラーメール」を返送する機能が働いて,届いていない可能性を知ることができますが,サーバで発生したエラーでなければエラーメールは返されませんから,送信者は「見てもらえていない」ことが分からないので,注意が必要です。
 主な原因は以下のようなもの。

 ちなみに,届いたのに読めなくなる特殊なケースとして,ウチの母の場合,猫にキーボードの上に乗っかられて,印刷するつもりで画面に出していたメールを完全消去されてしまう……ということがありました。まぁ,猫の居る部屋でメールの画面を開いたまま「買い物」に出かけるほうがどうかと思いますが。その時の話はコチラ。

▼ 七十歳台の危機管理意識
http://treeware.jp-help.net/?dblg4

◆ だから「返信」は大切

 述べたような「送信はできたけど相手が読めない」状況が起き,特にエラーが返って来ない場合は,送信者側でそれを感知できませんから,再送するなどの対策を取ることもできません。
 このリスクを回避する方法としては,「返信する」クセを付けるしかありません。普段から「ほぼ必ず返信してくれる」人なら,その人から返信が来ない時は「読めていない可能性がある」と分かります。逆に,普段が「読んでも返信しない」人の場合は,たとえ「読めない」状況が起きても,返信が来ないのが「普段」ですから,「読めていない」状況にあると気付かないままになり,再送などの対策が取れません。重要な連絡がその人だけ見れないままになる可能性もあります。
 だから,普段から返信することは重要というわけです。

● メールの基本

 前章では,「メールの仕組み」を中心に,その特徴をうまく活かしたサービス利用のヒントと,起きる可能性のある問題について述べてきました。
 この章では,実際にメールを使う時の基本事項について説明します。

◆ アカウント設定に必要な項目

 前章で,メールは「私書箱のようなもの」と述べましたが,メールでは,その個別の割り当てを「アカウント」と呼び,保存領域は「メールボックス」と呼ばれます。メールソフトのメニューの中の「アカウントの……」といった項目に「追加」というものがあれば,そこを選択すると,以下に挙げる「送受信に必要な諸元」を設定する画面が出るので,メールサービスの提供元(プロバイダなど)で指定されたものを(書類やサポート記事を調べるなどして)設定します。述べたように,これらの項目に同じ設定をしたパソコンでは,同じメールアドレスで送受信ができます。

▼ メールソフトのアカウント設定画面
メールソフトのアカウント設定画面

 セキュリティは,ソフトによっては自動で設定してくれるものもありますが,うまくいかない時はちょっとずつ自分で設定を変更して試してみてください。

◆ 「署名」は設定すべき

 この設定をしない人も多いですが,しておいたほうがいいです。署名とは,メール本文の最後部に付加される,発信者名やメールアドレスの記載のことです。これがないと,読んでいるメールが誰から来たものなのか分からなくなる可能性があります。「でも,普通は発信者が表示されているでしょ?」と思う方も多いかと思いますが,全ての人がそうしたソフトを使っているとは限りません。スマホのように,小さな画面に表示させると,差出人などが画面から見えなくなる可能性もあります。でも,メール本文に「署名」があれば分かるわけです。
 必ず付加することが原則なので,通常はメールソフトに「自動で付加する」機能があり,そのための設定も用意されています。メールアドレスはアカウントごとに異なるので,アドレスを記載する「署名」もアカウントごとに違う設定をする必要があり,たいていはアカウント設定の中に「署名の設定」の項目があります。
 記載する内容は,少なくとも,自分の名前とメールアドレスは記載します。また必要に応じ,親しい間でやりとりする携帯電話のメールならその電話番号,仕事用メールなら部署の所在地や電話/FAX 番号,ウェブサイトのアドレスなどを記載します。
 とはいえ,あまりいろいろな装飾のある凝った署名にすると,それが毎回メールに付加されるわけですから,相手のメール保存領域を圧迫することも考えられるので,必要最小限の内容にしておいたほうが無難。ただ,重要な取引先などには多めの情報を提示しておきたいこともあるでしょうから,多めの情報を記載したものと簡素なものなど複数の署名を用意しておき,相手や頻度によって使い分けができればベストです。たいていのソフトでは,複数の署名が登録できるようになっています。

 なお,自動で付加される署名には,最初に“-- ”という,ハイフン2つの後に空白が1つ(いずれも半角)の行が自動的に挿入されることがあります。多くはそれが「ここから先は署名」という意味として解釈され,ソフトによっては別の色で表示して本文と区別されるため,多少見易くなります。この行が自動で付加されるソフトもありますが,自動で付加されないソフトの場合,署名を登録する時に最初の行にこの文字の並びを入れておいても同じ効果があります。これは,どうしてもそうしておかないとダメ,というものでもないですが,でも,指定しておくと便利な機能が働くことがあります。後述「引用……」の節を参照。

◆ 「件名」は内容を反映した分かり易いものを

 みんな「こんにちは」で済ませたりしていませんか? それがメール一覧に表示されると,「こんにちは」という件名がズラっと並ぶことになるわけですよ。自分が出したメールで「あの件で送ったメールに何て書いたっけ?」と後で確認したいと思った時に,探すのがたいへん……なのは,もう分かりますでしょ。件名に「××の件で」と書いておけば探し易くなります。自分が出したメールの整理のためにも,件名は内容を反映したものを付けるようにしたほうがいいわけです。

◆ 「宛先」には3種類ある……To,CC,BCC

 「宛先」には以下の3種類があります。

 To というのは,いわば「正規の宛先」。関係する当事者や,返信を期待している相手と解釈すると近いでしょうか。

 CC というのは「カーボンコピー」の略で,「カーボン紙で複写したものを送る相手」的な意味。当事者ではなく,特に返信を期待しているわけではないものの,内容は知らせておきたい宛先として使われることが多いです。

 BCC というのは「ブラインドカーボンコピー」のことで,明示されない CC 的な意味。前述のものも含めて,宛先にはそれぞれ複数指定することができ,どの宛先にも同一内容が送信されます。つまり,To や CC に複数の宛先を指定すると,全てのアドレスがメールに記載され,全員に届くので,どのアドレスに出したのか「受け取った側でも」分かることになります。この場合,そこに複数の相手に同じ内容を「同報」する目的で複数のアドレスを記載すると,もし中に「不特定の人にアドレスを知られたくない」人が含まれていたら,そのアドレスも他の人に知られることとなるため,個人情報の漏えいにつながる危険性があります。
 一方,BCC というのは,配信されるメールに記載されないのが特徴。そのため,互いに知り合いではない複数の方に同じメールを同報したい時にこの BCC を利用すれば,届くメールにアドレスは記載されないので,とりあえずは「どのアドレスに出されたか」を知られることは防げます。
 ただ,少なくとも1箇所は To(正規の宛先)が必要なことも多いです。その場合,一般的には,自分のアドレス(発信者と同じ)を指定しておきます。
 また,次節で述べる「『全員に返信』で簡易メール会議」という方法は,BCC に指定したアドレスは記載されないため,当然できません。

 数年前まで,お役所の職員がこのことをよく理解せずに To や CC で「お知らせ」を関係先に同報発信して,そこに互いに知り合いではないものが含まれていて,個人情報を漏えいさせたとしてお詫びコメントを出すニュースをよく聞きましたね。最近は聞かなくなりましたが,果たして,減ったからなのか,表沙汰にならないだけなのか……あるいは,気付かないままやりまくっていたりとか?

◆ 「返信」の仕方には何種類かある

 普通「返信」とえば,差出人に出すものと決まっていますが,メールの場合,いくつか異なる返信の仕方があります。

 メールソフトをよく見ると,単に「返信」と記載された項目の他に,「全員に返信」という項目がある場合が多いです。「『全員』って誰と誰よ?」と思っていた方もいるのではないでしょうか。前述の「宛先」の節で述べたように,宛先には複数のアドレスを記載できます。そのうち,To と CC に記載したアドレスは,全て記載されたものが配信されて来ます。「全員」とは,差出人とそれらのアドレスを指します。
 これをうまく利用すると,簡単な「メール会議」ができます。参加メンバーを全て宛先に記載しておき,返信する時に,必ず全員が「全員に返信」するようにすれば,誰が出したメールも必ず全員に届くようになるわけです。
 もちろん,それができるのは,全員のアドレスが記載されて届く To または CC に指定された宛先だけです。BCC ではできません。

 場合によっては「××について質問が来ているので,○○さんに回答を送ってほしい」と「××について詳しい人」にメールする必要に迫られる場合も考えられます。そのメールに,いつも通りに「返信」してしまうと,メールの差出元に返って来るだけで「○○さん」には届きません。でも,もし「○○さん」のメールアドレスが分かっていれば,それを「返信先」に指定しておくこともできます。「Reply-to」という項目にそのアドレスを指定しておけば,相手がそのメールに返信しようとした時,そのアドレスが自動で宛先になるような仕組みになっています。
 これは,近々アドレス変更の必要があり,「今後はこちらのアドレスに……」と,発信元とは異なるアドレスに返信が欲しい時にも,役立つ機能です。
 ただし,Reply-to はあくまでもそのメールの受信者が「返信」する際に関係するもので,その指定をしたメールが直接そのアドレスに届けられることはありません。

 一般的に,「返信」の操作をすると,「返信先(Reply-to)」に記載されたアドレスが「差出人」より優先的に宛先になります。ただ,前述の「全員に返信」した時に,発信元も対象にするかどうかや,他の宛先の人がどう扱われるかは,ソフトによって異なることもあります。

◆ 半角カタカナやローマ数字,丸囲み数字などは文字化けの原因

 前章の「相手サーバに届いても読んでもらえるとは限らない」ケースで述べましたが,初期のメールは「標準 JIS」という文字コードでやりとりすることが原則だったため,古い JIS 規格で扱えなかった半角のカタカナやローマ数字,丸囲み数字や絵文字などは,文字化けを起こして,受信者のパソコンでは読めなくなることがあります。
 今のメールソフトでは,JIS 規格も拡張され,たいていそうした文字も扱えるようになっています。ただ,拡張の方法に少々無理があって,そうした文字を含むデータは,やたらと長くなる傾向があります。半角カタカナなどは,文字は小さく見えても,メールのデータはむしろ大きくなってしまいます。大きなデータを繰り返し送信していると,これも述べたように,相手の保存領域を圧迫する原因になるので,あまり好ましいことではありません。
 しかも,今でも「全ての新しいメールソフトなら読める」とは限りません。パソコンのブラウザで読む「ウェブメール」のアプリの中には,海外製のものもあって,それらではたとえ最新版でも新しい JIS 規格に対応しきれていない場合もあります。つまり,「新しくすれば読めるとは限らない」のです。

▼ 某金融機関の「半角カタカナ」乱用メール
某金融機関の「半角カタカナ」乱用メール

 なるべく多くの人に「正しい内容」を伝えられて,相手の保存領域を圧迫しないよう思いやったコンパクトなメールを送りたいのなら,半角カタカナや絵文字などのデータは今でも(なるべく今後も)使わないほうが無難なのです。

◆ 「引用」はなるべく必要な部分だけ

 「返信」の操作をすると,受信メールの本文が各行頭に「>」マークが付いた状態で表示されることがあります。これは「引用」と呼ばれ,返信の元になった内容を参照し易くするためのものです。返信する相手に,どの内容についての回答なのかを分かり易くするためなので,内容的に関係ない部分は別になくてもよく,むしろ削除してしまったほうがいいです。削除せず,余計な引用を含んだまま「返信」を繰り返していると,どんどんメールが大きくなって,やはり受信者の保存領域を圧迫する原因になります。必要最小限にしておいたほうがいいでしょう。

 なお,「署名」の説明で「“-- ”だけの行から下を『署名』として特別扱いすることがある」と書きましたが,メールソフトによっては,返信の時にその行以降が自動的に引用から除外されます。署名は「差出人情報」ですから,そこを引用して元の差出人に送る必要はないわけですね。「署名」を区別しておくと,そうした機能が働くので便利です。

◆ 添付ファイルは「大きさ」と「名前」に注意

 メールのやりとりが普及した現在では,写真や文書などのファイルを添付して送信することも多いと思いますが,前章「『メールの仕組み』が深く関係する注意点」の「容量オーバー」の項目でも述べたように,大きな添付ファイルのメールを送ると,相手に高額な通信料金を発生させたり,他のメールまで受信できなくしてしまったりする可能性があるので,慎重にすべきです。事前に相手にサイズを通知して確認するか,あるいは,メールに添付せずに,読み込み前にサイズを確認できるような,ファイル受け渡しサービスを利用するのがベストです。

 また,添付ファイルの「名前」にも注意する必要があります。未対応の文字コードを使ったメールが見れない現象に近いのですが,半角の英数字以外の文字(かなや漢字など)を含む名前のファイルを添付するのは避けたほうがいいです。というのは,特にマイクロソフト社製 OS である Windows で使われている文字コードでは,半角英数字以外の文字の中に,「ファイル名として扱う」とエラーを起こす可能性のあるものがあるのです。そのため,日本語などの名前がついた添付ファイルは,その名前でファイルが作れないことがあり,その場合,開こうにも保存しようにも「できない」という現象が起きる可能性があります。筆者の場合,ある日本語のファイル名添付のあるメール以降に届いた「全てのメールが読み込みできなくなった」ことがありました。
 まぁそんなことが何度かあった筆者は,Windows の使用は極力避けるようにしていますが,いちおう最近は対策もされてきているようです。でも,全ての人が Windows の文字コードの不具合に対処済みであるとは限りません。特にスマホやタブレットなどは,Windows の文字コードは使われていないものも多いですから,それらと Windows のパソコンとの間で英数字以外の名前が使われたファイルをメールでやりとりした時,適切に処理されるかは分かりません。前述のように開けなくなったり,ファイル名が文字化けして元の名前が分からなくなる可能性もあります。ファイルの受け渡しを確実にしたい場合は,ファイル名に半角の英数字以外(たとえば日本語)を使わないようにするか,もう Windows 自体を使わないほうがいいです。

◆ HTML とプレーンテキスト

 手紙だったら,「色を着けたり大きくした文字や,一緒にイラストも描く」こともあるかと思いますが,メールでは,画像ファイルを添付して送ることはあっても,文字の色や大きさを指定したり,「本文中に」イラストや写真は入れないのが普通で,できない設定になっていることも多いです。その設定は「プレーンテキスト形式」と呼ばれます。
 一方,「HTML 形式」でメールを作成すればできます。が! あんまり使わないほうがいいです。というのは,メールのサイズがやたら大きくなるうえ,相手によっては読めなくなるためです。
  HTML では,文字の色だけ指定したつもりでも,大きさ,フォントのスタイルなど,書き手が意図していない様々な設定がゴッソリ付加されたメールが作成されるのです。しかも,メールソフトによっては HTML に対応していないものもあるので,受信者が「読めなくなる」のを避けるため,HTML ではない「プレーンテキスト」の文面も付加されることも多いのです。つまり,ほぼ同じ内容が2種類の形式で送信されることになり,さらに大きくなります。そのため,述べてきたように,受信者のメールサーバや保存領域を圧迫したり,相手の通信料金をやたら高額にする原因になる可能性も大きくなります。
 「プレーンテキスト」が付加されればまだマシなほうで,付加されなかったら,スゴく読みづらいか,最悪読めなくなってしまいます。
 しかも,HTML メールを一切受信しないように設定しているサーバや受信者がいる可能性もあります。というのは,本文中に低俗な画像をたくさん掲載して読ませたり,そうしておいて「画像見たなら金払え」といった詐欺メールがバラ撒かれたことがあったため。また HTML メールには「スクリプト」と呼ばれる一種のプログラムを埋め込めむことができるのですが,過去それが「ウイルス」を仕込むのに悪用されたりしたこともあります。多少なりとも重要なデータを扱うことがあるのなら,HTML のメールは安全対策上「扱わないほうが無難」というわけです。

 というわけで,通常は,作成するメッセージ形式の設定で「プレーンテキスト」を既定としておき,HTML で文字の装飾をしたり,「本文中に」画像を入れたりするのは,限定的にしたほうがいいでしょう。画像などは,別ファイルにして「添付」するのが一般的です。

● 応用

 メールの「仕組み」は何となく分かって来たでしょうか。
 では,この章では,便利な応用をいろいろご紹介したいと思います。

◆ テンプレート

 筆者が使用している「Thunderbird(サンダーバード)」と呼ばれるメールソフトには,「テンプレート」という機能があります。これは,ほぼ同じ内容のメールをよく送信するとか,ほぼ同じ相手に送ることが多い時などに便利。
 「ひな型」のメッセージを作って「テンプレートのフォルダに保存」しておくと,そのメッセージを開いた時に,メッセージがコピーされて「新規メッセージ」になります。必要があればそこに手を加えて,そのメッセージを送信した後も,元のメッセージは「テンプレート」のフォルダに残ったままなので,またそのメッセージを開けば,何度でも同じ内容のメールが同じ相手に送れる……といった具合い。

 介護現場などで,要介護者が,摂食,補水,排泄などのちょっとした連絡をしたい時など,担当できる方の携帯電話のメールアドレスを宛先に入れたものを「テンプレート」に登録しておけば,「開く(ダブルクリック)→送信」という簡単な操作で連絡できるようになりますね。
 こうした使い方で問題になるのは,要介護者がパソコンを「『いつでも』使えるようにできるのか」という点。特に「画面やノートパソコンをどのように見える位置に支持しておくか」で,そうした器具で適当なものを見付けられず,実現できずにいるケースもあるかもしれません。
 ただ,そうした支持器具を「障害者向け」に限って探しているため,なかなか手に入れられないケースもあるのではないかと思うことがあります。思い当たる方は,以下の記事を参照してください。

▼ 要介護者が使うパソコンの柔軟な設置対応
http://treeware.jp-help.net/?dstk2

◆ 同報された人「全員に返信」で簡易メール会議

 「宛先」の節でも述べましたが,宛先は複数指定できます。「同報」と言いますが,受信した側で「全員に返信」の操作をすれば,その返信は,同報された人全員に届きます。うまく利用すれば,簡単な「メール会議」ができます。

◆ メーリングリスト

 前述の,同報による「簡易メール会議」をシステムで実現したものが「メーリングリスト」と呼ばれるサービスです。このサービスは,ある1つのメールアドレスに,複数の「受信者」アドレスを登録できるようにしたもので,その「1つの」メールアドレス宛に送信したメールが,登録した全員に届くようになります。
 これは「システム」なので,そのシステムを利用できるサーバ業者,または,そのサービスを提供する業者などを利用する必要があります。
 ただ,メリットを多く受けるのは,多くの受信者がいる場合や,不特定多数の人に情報発信や共有をしたい時,あるいは,「毎回全員に返信する操作が煩わしい」場合などで,数人の仲間うちでの簡単な話し合い程度なら,前述の「全員に返信」による簡易メール会議でも済む場合も多いでしょうし,そのほうが「手続き」も不要なので手軽でしょう。

◆ 離れて暮らす人のメールを監視……みとろん設定

 「ウェブメール」の説明で述べましたが,メールは別にパソコンなどの端末に「設定しないと読めない」わけではありません。利用しているメールサービスで「ウェブメール」が提供されていれば,ウェブブラウザでも見ることができます。で,これを利用すれば,要介護者が入所施設で使うパソコンでやりとりするメールに「詐欺メールが届いていないか」など,離れて暮らす家族が確認することが可能になります。

 ただ,ウェブメールで読めるのはあくまでも「受信した」メールで,そのままでは「送信したメール」を読むことはできないので,「誰かに失礼なメールを出していないか」とか,「詐欺メールに返信してしまっていたりしないか」などは確認できません。ところが,メールソフトで「デフォルト(既定)CC」とか,「デフォルト BCC」という設定ができれば,そこに自身のメールアドレスを登録しておくと,自分宛にも同報されるようになり,送信したものもウェブメールで見れるようになります。筆者はこれを「みとろん設定」と呼んでいます。
 この機能を利用したい時は,メールソフトの設定で「サーバから直ぐに削除しない」設定にする必要があります。もしメールを読むパソコンが「唯一」であれば,そのパソコンに読み込んでしまえば他で見る必要はないので,「読み込んだメールはサーバから削除する」設定をするのが一般的ですが,「ウェブメール」もメールサーバから読み取って表示するので,サーバから削除してしまっては確認できなくなるわけです。
 通常は,ソフトの受信の設定で「××日以上経ったものはサーバから削除」といった指定をすることで,一定日数だけ確認可能にしておきます。もしサーバの保存領域(メールボックス)容量が十分大きければ,「サーバから削除しない」指定をして,不要になったメールから手動で削除するようにもできます。
 なお,CC や BCC に自身のアドレスを指定すると,自分にも送信したものと同じメールが届くことになるので,できれば自分が出したメールは読み込まない(またはパソコンでは削除する)ような「フィルタ」の設定も一緒にしておけば,自分が送信したメールと返って来たメールの「2つずつ」がパソコンに保存されることを防げます。

 また「みとろん設定」は,離れて暮らす人のメール監視だけでなく,自分自身がひとつのアドレスを複数の端末に設定して,どの端末からも同じアドレスで読み書きできるようにする場合にも便利です。みとろん設定をすると,送信したメールは自分自身にも返って来ていますから,送信したものと別の端末でメールを受信すると,その送信したメールも読み込むことになります。誰にどんな内容のメールを出したのか,送信に使わなかった端末からも確認できるようになるわけです。
 この場合,「読み込んだメールの差出人が自分だったら,送信済みのフォルダに読み込む」というフィルタの設定をしておけば,どの端末の「送信済みフォルダ」でも,自分で送信したメールを確認することができるようになりますね。

 筆者の使い方は,複数のパソコンで使っているメールソフトの違いを利用して,そのパソコンで使っているメールソフト自身から送信されたメールは「読み込まない」または「読み込んでも削除」の設定をして,一方で他のパソコンのメールソフトから送信されたメールは「送信済みフォルダに読み込む」ような「フィルタ」の設定をしています。こうしておくと,複数のパソコンで同じメールを扱えるよう設定した時,どのパソコンから出したメールも,どのパソコンの「送信済みフォルダ」でも確認できることになるので,「やりとり」の一貫性が保てます。
 もちろん,自分で送信したメールがウェブメールで確認できるようにもなるので,離れて暮らす家族ではなくても,たいへん便利です。

 なお残念ながら Outlook(アウトルック)というメールソフトで「デフォルト BCC」を設定するのは,かなり複雑でむずかしいです。みとろん設定をしたい時は,別のメールソフトを使ったほうがいいでしょう。

 ちなみに「みとろん設定」とは,筆者がパソコン指導している障害者の関係者からのメールに「普通は送信メールは読めないけど,みとろん設定すれば読める」と書いてあったので,「みとろん設定」という設定方法があるものと思い,必死で検索して調べたものの,分からなかったということがありまして。その方は……

もちろん(motiron)設定すれば読める

と書いたつもりだったようなのですが,o と i の位置がひっくり返り

みとろん(mitoron)設定すれば読める

になっていた……というお話。
 ローマ字入力はやめたほうがいいのではないかと,マジで思う。

● おわりに……聞いたことを「鵜呑み」にしない

 メールについて,その「仕組み」を中心として,特徴と便利な使い方をご説明してまいりましたが,多少は理解を深められたでしょうか。
 重要な点は,誰かから聞いたことを「鵜呑み」にしないこと。特に,携帯電話などの通信会社でアドバイスを受ければ,その会社と「契約が必要」になるような方向の説明しかされないことが多くなるのは,容易に想像できますでしょ。この記事で述べてきたような「必ずしも契約をしなくても使えますよ」なんて説明,するわけないですって。
 新規の契約を検討中のもの,あるいは,現在契約中のものも,「その契約で使おうとしている機器(パソコン,スマホ,タブレット,携帯など)」にとって,果たして必要なものなのか,現在の使い方に合ったものなのか,話を聞くだけではなく,自分でもよく調べて,十分に考え,無駄なお金を払い続けることのないようにしてくださいね。



© M.Ishikawa; TREEWARE 2020.