http://treeware.jp-help.net/tw01/ENABLE3.HTM Ver. 1.0 Uploaded 2001-11-18
3
TREE-WARE TECHNICAL REPORT, by M.Ishikawa, 2001-11-18. #3.

このページへのリンクは,ご自由にどうぞ。Link as you please.

● はじめに

 私がこの活動を始めてまだ数年。私自身,障害者でも何でもなく,近親もピンピンした人ばかりなので,その数年間に知り合えた「障害をもつ人」や「介護が必要な人」というのは,そう多くありません。その中でも,何度も会える機会のある人というのはさらに少ないのですが,そのような方々が,とくに「私に相談する」……というわけでもなく,いつもなんとなくやりにくそーにしていたり,思い悩んでいる光景を見て,「こーすりゃいーのに」といった「思いつき」をいくつかご提案してきました。すると,ある人は,目からウロコが落ちて今目が覚めたような表情で私を見つめ,「そんな簡単でいーのぉ〜?」と,ポツンとつぶやきました。またある人は,高額で業者に頼んだ直後で「がっかり」された方もいました。「先に会えたらよかった」と……。
 ここでは,「そんな簡単」な解決法を中心にご紹介したいと思います。

● もくじ

● マウスのクリックを確実に!
→「ドラッグ」や,別の場所でのクリックを防ぐ方法
◆ カーソルも動かしてやりたい
● 特定のキーだけ押させたい
→「ゲーム専用キーボード」を簡単に作っちゃう
● テレビのチャネルをスイッチで変えたい
→BD アダプタによる「ハンダ付け不要」の加工法
● ヒモを引っ張る度「オン/オフ」するスイッチが欲しい
→意外と身近にあった絶好の部品
● ノートパソコンが,ときどき変になる
→わりと多くの人が悩んでいる問題の意外な原因
● 「徘徊検知法」アレコレ
→「介護」のご苦労を軽減!
◆ 「ジャック」を「抜けセンサ」として使う
◆ 「洗濯バサミ・スイッチ」を作る《作り方のページ》
◆ 市販の「防犯ブザ(ピンを抜くタイプ)」を利用する
◆ ワイヤレス・ブザを「引き抜きセンサ」に仕立てる
● 3分で作る「BD アダプタ」
→材料費も \200 程度の「BD アダペーパー」
《作り方のページ》
● おわりに
●作者


  ● マウスのクリックを確実に!

「ドラッグ」や,別の場所でのクリックを防ぐ方法  
 お子さんをパソコン・ソフトで遊ばせたいと思って,たとえ「クリック」だけすればいいようなソフトを与えても,なかなかうまくいかないことってありますよね。これは,ボタンを押した時にマウス本体がちょっと動いてしまったために,「ドラッグ」として扱われたり,あるいは,クリックすべきところからわずかにカーソルがズレてしまったりするためです。しかもこの現象,「動いたように見えない/動かしたつもりがない」程度の動きでも起こることがあるので,子どもに限ったことではないかもしれません。ましてや,マウスをつかんでグルグル動かす子の場合,別のところをクリックしてしまうので,「パソコンで遊ぶなんて,とても無理」……な〜んて,あきらめてしまっていませんか。
 そーいうときは,「ボール」を抜きましょう。マウスはたいてい,ボールそのものや内部の清掃のために,ボールを取り出せるようにできていますから,抜いてしまえば,マウスを動かしてもカーソルは動かなくなり,ボタンだけ受け付けることになります。
 抜き方はマウスによって微妙に違うこともありますが,たいていは,マウスを裏返すとボールの入っているところにリング状の枠がありますから,それを両手の親指で軽く押さえながら左に回すと外れます。同じマウスを普段通りにも使う場合は,ボールやリングをなくさないように気をつけてください。なお,必ずしも「回して開ける」マウスばかりではありませんので,マウス裏面に「OPEN」などと記載してある方向を確かめ,それに従ってください。また多くの場合は「トラック・ボール」にも同じようにボールを抜く方法がありますから,説明書などをよく読んでみてください。ボールのない「光学式」の場合は,センサ部分に紙などを貼るといいでしょう。
 この方法,私は「去勢」と呼んでいます。
 

◆ カーソルも動かしてやりたい


↑USB プラグ
(こんな感じ)
 同時に横で大人がマウス・カーソルを動かして,クリックすべきポイントまで移動させる……などの操作をしたい場合,お使いのパソコンで USB が使えるなら,複数の USB マウスを接続するといいでしょう。右図のようなコネクタのマウスをお使いなら,ほぼだいじょうぶでしょう。追加でマウスを接続できるような USB コネクタの空きがない場合は,USB HUB(ハブ)と呼ばれている装置を中継することで,接続できる USB 機器をとりあえず増やすことができます。HUB というのは,ちょうどコンセントにつける「三口タップ」のような機能のものです(3つとは限りませんが)。ただ,「マウス」や「キーボード」以外の USB 機器の中には,必ずしも HUB 経由で使えないものもありますので,HUB 経由で接続した装置がうまく動かなくなったりしたら,「その装置は本体の USB コネクタに直接つなぐようにする」などの対策をしてください。

←ヘルプ参照
各窓右上の[?]ボタンを押し,直後に,詳細を知りたい項目をクリックする

 マウス・カーソルをキーボードで操作する方法もありますから,子どもには「マウス」を使ってもらって,横で大人がキーボードでカーソルだけ動かすこともできます。USB の使えないパソコンでは,この方法がいいでしょう。以下で設定方法だけ簡単に述べますので,詳しいことはパソコンのヘルプを参照してください。
 Windows では,「マウスキー」という機能を有効にすると,キーボードの右側にある「テンキー(数字と算術記号のキー)」で,マウス・カーソルを移動させることができます。この機能を使うには,「コントロールパネル*>ユーザー補助(右図上)>[マウス]タブ(1.)>マウスキー機能を使う(2.)」にチェックを入れてください。横の[設定]ボタンを押すと,カーソルの移動速度などを設定できます。この[設定]ボタンで表示される画面の「NumLock キーの設定」と操作したい状態が合っていないと機能しませんので,気をつけてください。また,同じ「ユーザー補助」の[全般]タブ内にある「ユーザー補助を無効にするまでの待ち時間」のチェックは,外しておいたほうがいいでしょう(右図下)。最後にそれぞれ [OK] ボタンを押せば,設定完了です。詳しくは,各々の「ヘルプ」を参照してください。各窓右上の [×] ボタンの左にある [?] ボタン(図下)を押し,直後に,詳細を知りたい項目をクリックすると,そのヘルプが表示されます。
 Mac では「イージーアクセス」という機能が,この Windows の「ユーザー補助」に相当するようです。「コントロール・パネル*」の中の該当アイコンをクリックし,設定してみてください。
 どちらも場合も「テンキー」部分だけ外付けできれば,もっと機能的に操作できる場合もあるでしょう。
*「コントロールパネル」は,Windows では「スタートボタン>設定」,または「デスクトップ>マイ・コンピュータ」の中にあります。Mac では,アップル・メニュー,または,起動ディスクの中にあります。
TREE-WARE では,マウスを動かなくするスイッチを取りつける加工や,マウスに外付けのスイッチを取りつけられるようにする加工を承っています。

 

  ● 特定のキーだけ押させたい

「ゲーム専用キーボード」を簡単に作っちゃう  
 同様に,キーボードの特定のキーだけ押して遊んでもらいたいような場合は,押すべきキーだけ残して,残りの「キートップ(押す部分)」を取り去ってしまって,「アソビ専用のキーボードを作ってしまう」という手もアリです。跡の穴は,厚紙などで塞いでしまいましょう。「そんなもったいない……」と思われるかもしれませんが,最近「DOS/V パーツ」などと看板を出しているパソコン・ショップを探すと,千円前後で入手できるキーボードがあるのです。中古ならさらに安く,数百円のものもあります。それくらいなら「遊び専用」にしてしまっても惜しくないのではないでしょうか。たいていは,細いマイナス・ドライバなどを2本,キートップの両横のスキマに突っ込んで「グイ」と引き起こせば,簡単に「ポン」と外れます(スペースやシフトなどの大きめのキーを除く)。そのキーボードを接続した時のソフトの起動や終了はどーするかというと,その程度の操作でしたら,マウスでできます。「IME パッド」などを利用すれば,文字入力もマウスでできます。普通のキーボードにつなぎ換えたい時は,USB キーボードの場合はただ差し替えればいいのですが,PS/2 の場合は,一度電源を切り,キーボードを付け替えて再度起動しないと,うまく作動しない場合があります。
 

  ● テレビのチャネルをスイッチで変えたい

BD アダプタによる「ハンダ付け不要」の加工法   
BD アダプタ  全てのリモコンに適用できるとは限りませんが,「BD アダプタ(右図)」が使える場合があります。まず,リモコンの乾電池に BD アダプタをはさみます。そして「チャネル UP」のボタンに何か「ビーズ」や「ナット」,「豆」のような粒状のものを乗せてテープで巻き,「押しっぱなし」状態にします(後述《「徘徊検知」の図》を参照)。あとは,BD アダプタに接続したスイッチで,チャネル操作ができる場合があります。ただし,リモコンによっては,この方法ではうまくいきません。
 また,残念ながらこの方法,チャネルボタンが「押しっぱなし」状態ですから,スイッチを「押しっぱなし」にすると,次々とチャネルが変わっていってしまいますので,1チャネルだけ変わるようにするには,1秒程度の「タイマー・スイッチ」などを中継する必要があります。
 なお,このページの終わりのほうに,《3分で作る BD アダプタ》の記事がありますので,参考にしてください。
TREE-WARE では,リモコンの使いたい機能を,外付けのスイッチで使えるようにする加工や,スイッチを押したままでも1チャネルしか変わらないようにする「リモコン用のタイマー組み込み加工」も承っています。また,BD アダプタも製作しています。

 

  ● ヒモを引っ張る度「オン/オフ」するスイッチが欲しい

意外と身近にあった絶好の部品   
 なんだかスゴく「特殊なスイッチ」のような気もしますが,じつは「電気スタンド」のスイッチと,機能はまったく同じですよね。ですから,「東急ハンズ」などの DIY ショップや,大き目のホームセンターなどに行き,まず「ひもスイッチ付き電気スタンド用電球ソケット*1」を探します。もちろん,使わなくなった電気スタンドから取り外してもいいでしょう。ただ,どちらの場合も「E26(ネジ込み部分の直径 26mm)電球1個用」にします。セパラボディ「家庭用電源(100V)」で使う場合は,もう1つ,その電球ソケットにネジ込んで使う「コンセント*2(右図)」を探して,あればラッキー! コードや AC プラグなどと一緒に購入し,あとはそれらを普通に接続して,ソケットにそのコンセントをねじ込めば,目的は達成できます。
 おもちゃなどで使いたい場合は,ちょっと工夫が要ります。ソケット部分にアルミホイルなどを詰め,短絡(ショート)させてしまいます。動作を確実にするためには,さらにその上からスポンジなどを詰め,出てこないようにテープなどで止めてしまうといいでしょう。あとはコードを接続して,その先にスイッチ用プラグを付ければ,「オン/オフひもスイッチ」の完成です。プラグとコードは,個別に揃えるより,オーディオ売り場などで売られている「ミニプラグ付きスピーカ・コード」のほうが入手しやすいでしょう。おもちゃ用の場合は特に「E26」の電球用を使う必要はありませんが,そのくらいの大きさがあったほうが,加工はしやすいと思います。なお,この「おもちゃ向け加工」をしたら,絶対 100V(コンセント) に接続してはイケマセン。ブレーカが落ちたり,場合によっては火災の原因になってしまいます。
*1 たとえば,松下電工製では「スタンド用プルソケット(WW1200WP,WW1200BP)」という商標名。ウチの近所のホームセンターでは \405。
*2 たとえば,松下電工製では「セパラボディ(WH4101PK)」という商標名。ウチの近所のホームセンターでは \110。


  ● ノートパソコンが,ときどき変になる

わりと多くの人が悩んでいる問題の意外な原因  
 ノートパソコンを使っていて,以下のような動作を経験した方はいないでしょうか。

  1. 時々マウス・カーソルがどっかへ行ってしまう
  2. 突然ウインド・フォーカスが外れる(現在作業中の窓が反応しなくなる)
  3. 突然,別の窓が現れたり,スタートメニューが出て来たりする

 キーボードの手前に「タッチパッド」があるようなパソコンをご使用の場合,原因はソレの可能性が高いです。どーいうことかといいますと,じつはそこにちょっとでも手が触れると,「マウスを動かした」ことになり,カーソルが移動してしまうのです。たいていは,キーボードの操作中,意識しないで触れてしまうので,「消えてしまう」ように見えるわけです。だから,IBM や一部の TOSHIBA で採用されている「ティップ(傾ける)ポインタ」型のノート PC を使っている人は,経験がないと思います。
 対策としては,「マウスを外付けで使い,タッチパッドを『無効』に設定する」,逆に「キーボードを外付けで使う」などをすれば,解消すると思います。タッチパッドの設定を無効にするところは,コントロール・パネルの中にあると思います。
 原因がそれだとわかれば,あとは「マウスがどこにあるかさえわかればいい」という方は,「コントロールパネル>マウス>[ポインタ]タブ」の設定で,「マウス・カーソル」を分かりやすいものにしてみましょう。ここで「デザイン」として“(なし)”あるいは,“Windows スタンダード”以外の設定ができない場合は,マウス・ポインタのヴァリエーションをインストールする必要があります。「コントロールパネル>アプリケーションの追加と削除>[Windows ファイル]タブ>アクセサリ>[詳細]ボタン>マウス・ポインタ」にチェックを入れて[OK]を押していきます。なおこのインストールは,システムディスク(Windows の CD-ROM)が必要となる場合があります。
 ちなみに私は,視力がそう極端に悪いわけではありませんが,いつも「特大のポインタ」の設定で使っています。「見やすい」に越したことはないですよ。
 また,2 か 3 の現象だけでお悩みであれば,「タッチパッド」の「タッピング(パッドを叩くことで『クリック』扱いにする)」の設定を「無効」にできれば,それで解決する場合もあります。「タッチパッド」の設定は,「コントロール・パネル」にあります。
 「設定方法」がわからない場合は,マウスを外付けにして,パッドを塞いでしまいましょう。あるいは,開閉できるような「フタ」のようなものをつけるといいでしょう。パッド部分は,人の皮膚から出る微少な電波を感じ取っているらしいので,少し厚めの紙などを貼ってしまうと,その電波が届かなくなり,動作しなくなります。ただ,表面が傷むのを防ぐため,「ガムテープ」などの粘着性のあるものを直接貼らないほうがいいでしょう。
TREE-WARE では,ここで述べたようなもののほか,障害者向けのパソコンの設定なども承っています。



  ● 「徘徊検知法」アレコレ

「介護」のご苦労を軽減!  
 これまでも何度かテレビなどで報道されていましたが,老人介護の現場では,徘徊などによる事故を防ぐため,被介護者をベッドに縛り付けたりすることがあるそうですね。最初は「そんな非人間的な……」という感じもしましたが,相手は……まぁ,失礼を承知で申し上げれば,「何をするかわからない」痴呆老人です。その「拘束」をしないようにする努力と気苦労は,テレビのレポートからでは,計り知れないものがあるでしょう。
 そこで,そのような努力をしている方々に,なんとかお役に立てないか考えました。こういったケースでは,概して「抜けると/切れると」オンになり,何らかのアラームが鳴る……というような機構があればいいのではないかと思ったのですが,どーでしょうね? そのような装置を,たとえば「病室の出入り口」,場合によっては「患者本人」などと結び付けておけば,「徘徊が始まった」ことを感知することができるのではないかと思ったワケです。
 そのような機構に使えそうなアイデアを,いくつかあげてみます。なお,ここで挙げた方法は,「簡単に」設置できて,「とりあえず」感知できる方法として考えたものですので,全て「あくまで補助的な手段」とご認識ください。
 

◆ 「ジャック」を「抜けセンサ」として使う

 テレビやラジカセについている「イヤホン・ジャック」にイヤホンを差し込むと,たいていはスピーカーからの音が切れるようになっていますよね。これは,その部品に「プラグを差し込むとオフになる」ようなスイッチの機構があるからです。
 逆に言いますと,「プラグを抜くとオンになる」ということです。つまり,その部品のスイッチに該当する部分にアラームなどを接続してプラグを差し込んでおけば,プラグが抜けた時にアラームが鳴るような機構として使えるわけです。この場合,プラグは「オフにする」だけの機能しかありませんので,電気的な接続は必要ありません。簡単には切れないような丈夫なヒモなどを,ほどけないように結び付けておけば十分です。
 価格的には,「ジャック」と「プラグ」セットで \100 前後です(秋葉原の相場)。事情の分かる人は,要らなくなったテレビやラジカセから取り外して加工に使うといいでしょう。

 シンプルなタイプのラジカセなどでは,次のような方法が使える場合があります。コンセントを接続せずに AC コードや,アダプタを差し込んでおくと,乾電池が入っていても,たいていは動かないと思います。これは,ラジカセの電源部分にも,上記と似たような機構があるためです。ここで,テープの再生ボタンを押しておき,AC コードやアダプタをラジカセから抜いてみてください。もし,テープが回り出して音が出るようだったら,そのまま「コードが抜けると音が鳴る」ようなアラーム装置として使えますよね。
 この方法で気をつけなければならないのは,「コードが引っぱられて抜ける」といった状況は,装置自体にはあまり好ましくないということ。ラジカセの接続部分には無理な力がかかり,コードも内部で断線する可能性があります。ですから,はじめから「買い替え」がきくようなコードや装置を使うことです。ただ AC コードやアダプタは,「動かさない」ために使うものなので,始めから「断線して使えなくなった」ものを使うという手もあります。そうすれば,切れてしまっても惜しくないでしょう。
 一方ラジカセ本体は,コードが引っ張られたときに抜けやすいような方向を考えて設置し,確実にコードだけ抜けるよう,ラジカセ自体は動かないように固定しておくことが必要となります。
 「ラジオ」が鳴るようにしておいてもいいですが,音がちゃんと出るかどうかは電波の状況にも左右され,またイマドキ 24 時間放送が当たり前とはいえ,週に1度,数時間くらい放送を休止することもありますので,オーディオテープのほうが確実でしょうね。「再生ボタン」が押されたままになるよう,これもしっかり粘着テープなどでとめておきましょう。また,テープが終わりまで再生されると音が出なくなってしまうので,「オートリバース」のラジカセを使うか,あるいは,よくそこいらのお店の店頭での宣伝アナウンス用に使われる「エンドレステープ(カセットの中で初めと終わりがつながっている)」を使うといいでしょう。
 

◆ 「洗濯バサミ・スイッチ」を作る

 「プラグ」と「ジャック」で作るスイッチは,ある程度,部品の特徴を知っていないと,加工はむずかしいかもしれません。なにより,それらの部品を近所で調達するのがむずかしい方もいることと思います。そこで,「抜けたときにオンになる」ような,簡単にできるスイッチが考えられないかと思い,「洗濯バサミ・スイッチ」なるものを作ってみました。
 洗濯バサミにはさんでおいた布帯などが抜けると,導通する機構です。その布帯をドアに張っておくなどしておけば,ドアが開いたことを感知することができます。
応用例

具体的な「作り方」はこちら→《「洗濯バサミスイッチ」の作り方》

* 使用上の注意!

  • 導電性のある部分が外部に露出しているので,100V(家庭電源)をはじめ,感電の恐れのある製品には,絶対に直接接続してはいけません。(リモコンなど,制御に使われる「乾電池製品」なら,たいてい OK)
  • はさんだ厚紙や布帯,スイッチを止めているヒモなどが切れると導通しません。また,ホッチキスで止めた導線が抜けたりしても,感知機能は働きません。ヒモ,布帯,洗濯バサミなど,使った素材の特性をしっかり把握しておいてください。
  • スイッチ部分自体,たいした「耐久性」はないと思われますので,過信は禁物です。あくまでも「補助用」とご認識ください。
  • 接続する装置によっては,ちょっと湿った程度で「導通した」と同じ状態とみなされるものもありますので,接続する装置と使用場所にご注意ください。
【ドキドキくじ引きゲームへの応用】
 このスイッチに,大きな音のするベルやブザ,あるいは,ちょっと激しい動きのおもちゃなどをつなぎ,ヒモで導通を遮断しておきます。遊ぶ人数分だけ同じ洗濯バサミとヒモを用意し,同じように洗濯バサミでヒモをはさんでおきます。洗濯バサミを,外から見えないように箱や袋の中などに入れてヒモだけ外に出し,ヒモを引っ張っても洗濯バサミが出てこないようにしておきます。
 もうお分かりだと思いますが,ひとりずつヒモを引き抜いていき,「選択バサミスイッチ」にはさんであるヒモを引くと,ベルやブザ,おもちゃなどが動くというわけです。「差し込む」のではなく「引き抜く」……ちょうど「黒ひげ」ゲームの逆みたいな感じになるわけです。

◆ 市販の「防犯ブザ(ピンを抜くタイプ)」を利用する

 それでも,「どーも『作る』のは面倒くさい……」と思っていらっしゃる方もいるでしょう。そーゆー方には,こんな方法はいかが?
 「防犯ブザ」って,「防犯」に使わなきゃイケナイって思ってません? 「××が『抜けると』アラームが鳴る」という点では,これまで考えてきたスイッチと同じなのではないでしょうか。「防犯ブザ」をドアの脇に取りつけておき,抜くピンにヒモをかけて,ドアと結んだり,出入り口に張ったりしておけば,「徘徊検知」に使えそうですよね。
 最近,同種の製品は安いンですよ〜。百円均一ショップで見かけますもの。
 でも,いずれの場合も,ヒモが切れたり,結び目がほどけてしまうと,「感知システム」として動作しませんし,電池が切れても同様ですので,扱いには気をつけましょう。
 

◆ ワイヤレス・ブザを「引き抜きセンサ」に仕立てる

 とはいえ,徘徊の始まる現場というのは,たいていは他の入所者も居て,そこで「防犯ブザ」のけたたましい音が頻繁に鳴っては困る……というケースもあるかもしれません。
 そんな時使えそうなのが「ワイヤレス・ブザ(チャイム)」です。ウチの近所の日曜大工センターでは,\2,000 弱から製品があります。
 それをどーやって「引き抜きセンサ」に仕立てるかといいますと,前述の「テレビのリモコン」のような手を使います。ただ気をつけたいのは,送信機の側の乾電池に,一般の円筒形のもの(単1〜単5など)が使われているものでないと,下記の加工ができないので,購入時は気をつけてください。「9V」の四角い電池や,ボタン電池では,「不可能」とまでは言えませんが,かなり加工しづらいと思います。またリモコンの場合と同様,「ワイヤレス・ブザ(チャイム)」の仕組みによっては,この方法では鳴らない場合もありますので,ご了承ください。
送信ボタンの上に粒状のモノを置いてテープなどで巻いてしまいます
 まず「テレビ……」の場合と同様に,ワイヤレス送信機の送信ボタンの上に粒状のモノを置いてテープなどで巻き「押しっぱなし」状態にしてしまいます(上図)。次に,薄めの下敷きなどを適当な大きさに切って,乾電池とその端子の間にはさんで,導通を遮断した状態で乾電池を入れます。そしたら,乾電池もテープなどで抜け落ちないようにしっかり巻いてしまいます(下図)。その時,乾電池自体は抜けにくくし,同時に,下敷きが抜けた際に端子と接するよう,乾電池がわずかに移動できるように,スポンジなどをはさむといいでしょう。
薄めの下敷きなどを乾電池と端子間にはさみ,スポンジをはさんでテープで巻いてしまいます
 もうお分かりだと思いますが,電池と端子のあいだにはさんだ下敷きが抜ければ,「送信ボタン」が押されているため,ブザ(チャイム)を鳴らす信号が出るようになるわけです。あとは,その「下敷き」にヒモなどをつけ,洗濯バサミスイッチと同様,ドアなどに張っておけば,目的は達成します。
 この方法で気をつけたいのは,まず,必ず「下敷き」程度に丈夫な素材を使うこと。電池と端子間のはさむ力がわりと強いですから,引っ張る力で切れてしまわないようにするためと,あまり柔らかいと,再度差し込みなおす時にフニャフニャで使いにくいためです。ヒモを結びつけるところは,「穴を空けただけ」ではなく,できればハトメなどを打って補強しておくといいかもしれません。
 それから「送信機を固定する」のが少々たいへんかもしれないという点。ヒモが引っ張られたとき,そこに結びつけた下敷きだけがうまく抜けてくれるようにするには,送信機側は,しっかりとどこかに固定されていなければならないわけです。円筒型の乾電池を使う送信機となれば,それなりの大きさがありますから,その「重み」でも落ちないように,かなり厳重にとめておく必要があるでしょう。「粘着テープ」だけに頼るのではなく,「画鋲」や「ヒートン」,「木ネジ」なども利用すると,多少はマシかもしれません。
 

  ● 3分で作る「BD アダプタ」

材料費も \200 程度の「BD アダペーパー」  
 さて当初,記事とする予定は上記「徘徊……」までだったのですが,「洗濯バサミスイッチ」の記事を制作している途中で,同じ方法が「BD アダプタ」にも使えることに気づき,急きょここの記事を書き足しすことにしました。
BD アダプタ
↑注:ここで作り方をご紹介するものは,ここまで本格的ではありません。
 「BD アダプタ」というのは,知る人ぞ知る,乾電池を使った器具にスイッチを接続できるようにするための部品(右図)です。この左側の丸い部分(2枚の銅板で絶縁体をはさんだもの)を,乾電池と端子の間にはさんでおくと,右側の中継ジャックに接続したスイッチで,機器のオン/オフが可能になります。ところが,この左側の丸い部分の銅板と導線との接続点(ハンダ付け部分)がわりと取れやすく,すぐ「もきっ」といってしまいます。そして,その度にまた買い足す……ということをしている人も多いと思います。
 ここで思いついたのは,そんな壊れたアダプタを直すのにはもってこいの方法です。また,部品(導線と中継ジャック)さえ手に入れば,新しく作るのも簡単で,「アダプタ」そのものを買うよりもずっと安くできます。ぜひ挑戦してみてください。
具体的な「作り方」はこちら→《「BD アダペーパー」の作り方》


  ● おわりに

 いかがでしょうか。たいした技術を持っていなくても,ちょっとした工夫次第で,かなりいろいろなことが解決できるということに,気づいていただきましたでしょうか。
 ウラを返せば,普段の皆さんが「あきらめるのが早すぎる!」のではないかと思うのです。「自分でなんとかする」ことを早々とあきらめ,たとえば業者に相談したとすると,「コレはどうでしょう」,「それがダメならこちらは?」などと,その業者が取り扱っている,いろんなものを紹介されることになると思います。でも,結局それらは「既製品」であり,使う人のために考え,作られたものではありません。使い手本人がいろいろと工夫してできたものとは,比較になりません。
 業者に「相談」まではしなかったとしても,自分に合う製品に当たるまで手当たり次第に「福祉機器」を謳う製品を買い漁ったり,「希望の製品がないから」といって,そのような機器が登場するのを,いつになるか分からないまま待ち望んでいるだけで,事態は解決するでしょうか。

 あるスイッチに,手に引っ掛けるガイドを針金で作って取りつけ,握っていなくてもスイッチが手から落ちないようにしたことがありました。数日後,それを渡した人からお話を聞くと,「使っている子供が,ループ状になっている針金の中に手がハマって抜けなくなってしまうことがあり,危ない(ので使えない)」という返事が返ってきました。それを聞いて私が「でもそれは,針金に『布』やら『スポンジ』やらを巻きつけて,『わ』に手がはまらないようにしてしまえば,解決することでしょう?」と言うと,「あーそっかぁ……」と考えこんでいました。
 その後のお話の中で,「やはり専門的な知識のない者にとっては,買っては試し……が,結局ラクなのかもしれない」といったつぶやきが聞かれました。
 でも「それでいい」と思いますぅ? 今述べたスイッチの例や,このページでご紹介したようなちょっとした工夫で済むことまで,わざわざ「製品」として求めること,とーてー「得策」とは思えないンですけどね。

 一方で「『もち』は餅屋」という言葉があるように,「業者」の設計にまかせたほうがいい場合も,もちろんあります。たとえば,ある方からこんなことを言われたことがあります……「『わっ』て言うと電源が入って,また『わっ』て言うと切れてくれるテレビのスイッチってないの?」……確かに,現在の技術をもってすれば,実現はたいへん簡単で,あれば非常に便利そうですが……「でも,何かおもしろいシーンが放映されて,『わっ』はっは,と笑った瞬間にテレビは切れてしまいますよ」と言ったら「あーそっかぁ……」と考えこんでいました。それ以前に,テレビで「わっ」と言うセリフのシーンがあったら,それに反応して切れてしまう可能性だってあります。
 簡単に実現しそうなのに,現存していない製品とか,あるいは,簡略化できそうなのに,わざわざ複雑になっている操作などは,専門の設計者が,実用性や,安全性などを考慮した結果である場合もあるわけです。

 しかし,ここでご紹介した記事のように,「ちょっとした工夫」で解決できるコトは,もっとあると思います。早々とあきらめてしまったら,それまでです。まず,簡単にあきらめないで,いろいろ考えてみてほしいのです。そして,もし「自分だけの手には負えない」と感じたら,ぜひご相談いただきたいと思っております。このページの「● はじめに」でも述べたように,業者にたのんだ後で私と会い,「先に会えたらよかった」というようなことも,何度かあるくらいですから。
 なんだか「業者」を敵に回してしまいそうですが,「業者」自身も,必ずしも専門的技能を持ち合わせているとは限りません。現に,自分の会社の製品に「電子制御スイッチを試みとしてつけたいが,設計が手に負えないので作って欲しい」などといったご相談もありました。また,「××療育センター」といったところからは,よくご相談を受けます。
 一般の人にとって,思いついたことが果たして本当に実現可能かどうか,今述べたような安全面の問題などがないかどうかの判断をするのは,たいへんです。だからといって,キカイが苦手な人だけで,「うまくいかない」,「なんとかならないか」とただ悩んでいるだけでは,解決には至りません。でもそこは,工学的な技能を持っていれば,簡単な解決法を思いつく可能性は高いはずです。
 TREE-WARE は,私(石川)のフリーエンジニアリングの「活動名」でして,業者ではありませんから,「自分の会社の製品を売りつける」必要はありません。もちろん,私も「介護」や「バリアフリー」の方面に精通しているわけではありませんが,エンジニアとして,アドバイスできることはあると思います。
 ただ,人によっては,「何度もお会いしているうち」最適と思われる解決法が見えてくる……というようなこともあります。あまり急がず,「キカイに詳しい知り合いができた」程度にお考えいただいて,気軽に,気長にお付き合いいただけたら……と思っております。

 でもこんなことばかり考えているだけじゃ,一銭にもならないなぁ……。だれか,こーいったことを「考えられる」ってだけで,お金くんないかなぁ。


●作者(お問い合わせ先)

石川 雅章    ISHIKAWA, Masaaki

TREE-WARE Tel. 0424-85-8959(リダイヤルで FAX 受信可能)
Hook once, and redial to send FAX.

Addr.
182-0023 東京都調布市染地 2-26-45 大井荘 2-R
Ooi-so 2-R, 26-45 Somechi-2 Chofu-city Tokyo JAPAN
E-Mail soudan@treeware.jp-help.net
メール・アドレスのない方は,こちらをご利用ください→《質問箱》