● 巷には『押しボタン』スイッチしかない
これが,最近私が気づいたコト。
以前より,どーも私には,必ずしも「押しボタン」が適当とは思えないような人にまで,「押しボタン」しか与えられていないコトが多いような気がしていました。それが「何とか使えている」ならまだしも,どこかに不都合があって,たとえば,そばに人がついていて,操作する度に位置を直す必要があったり,別のボタンを一緒に押してしまい,希望する操作ができなかったり,1回押すだけのためにいちいち姿勢を変えなけばならず,たいへんな重労働になっていたり……なんでそんな思いまでして「押しボタン」スイッチを使っているのだろうかと,不思議に感じることさえありました。
でも,よくよく「業者」のカタログや,福祉機器などを集めた本を見ると,「スイッチ」といえば「押しボタン」なんですね。つまり「入手できるのが『押しボタン』しかない」のですから,たとえ「『押しボタン』が合ってないのだ」ということになっても,その「合わない『押しボタン』」の代わりに試すスイッチも,結局また「押しボタン」というのが,現状なのでしょう。これではどんなに「押しボタン」が合ってなかったとしても,「押しボタン以外のスイッチを試す」という考えは起きてこないワケですね。
「押しボタン」を操作するための動作は決まっています。それは「上(手前)から下(奥)向き」の動きです。ですから,これ以外の動作……たとえば,「奥から手前に引く動き」や,「手をひねる動作」はできるのに,「押しボタンの動作は苦手だ……」という方にとっては,その「押しボタン」しか手に入らない今の状況は,ちょっとかわいそうな気がします。イマドキ,「コミュニケーション」や「社会参加」が重要視されつつあるというのに,「操作できるスイッチがない」というのは,重大な問題であると思うのです。
そこで,「押しボタン」以外のスイッチを,3種類ほど試作してみました。留意したのは,以下のような点:
- 複数並べても,余計なスイッチまでオンにしにくい(ような動作でオンになる)
- 余計な力がかからない(力を入れ過ぎると自然と手が抜けてしまうような形状)
ただし,ここにあげたものは,あくまでも「試作」であり,特に「形状」などについて,写真のようなものに限ったものではありません。たとえば,Zoola Switch を「半球状」に作るとか,もっと薄い「円盤状」のカタチに作るとか,あるいは,「引いて」使う時のために,スイッチの突起とは別に,手が引っ掛かる部分を設置するとか……。「形状」ばかりではなく,「動き」を活かしたバリエーションが,まだまだ考えられると思います。
ご覧になり,これを足がかりとして,少しでも「押しボタン以外」のスイッチに発想が広がっていただけたら……と考えております。
もし「なんとなく思い当たることがある(人がいる)ンだけど,どう発想を展開すれば『使える!』のかわからない」といったことがありましたら,ご連絡いただきたいと思います。具体的な現場のお話を直接聞けば,もっといろいろなスイッチが考えられるのではないかと思っていますので,ヨロシクお願いします。