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- ひと月ぶんのカレンダー表示ツール。Calendar a needed month.
- A4 版標準。ズームで他サイズ対応。A4 or other by zooming.
- 横長,縦長対応。Landscape, Portrait selectable.
- 日本語,英語。Japanese and English.
- フォント,文字サイズ指定可。Font and its size modifiable.
- 数年分くらいの休日表示対応。Optional: show holidays.
● はじめに / Prologue
When I met a hospitalized family, I noticed a calendar sheet on the bed table. The family's vision was so poor, therefore maybe the small date figures on the calendar could not be read by the family. Then I printed big font calendar using spreadsheet application, and I felt necessity of such calendar of A (few) month(s).
入院している家族に面会に行った時,ベッドテーブルの上にその月のカレンダーがあった。それが,単に「ワープロで A4 版に数字を並べて印刷しました」的な感じで,日付の字が小さく,視力の弱ったその家族にとって役に立ちそうではなかった。壁掛けタイプなら字も大きいが,たぶん,入院期間の予定を手元で見れるように作ってくれたのだと思うから,用途としては,手元で見れる A4 ほどがちょうどいい。すると,その手のタイプで「大きな文字のカレンダー」は,あまり見ない。
この時は表計算アプリを使って,入院期間を含む2ヶ月ぶん,大きなフォントの A4 版カレンダーを作り,印刷して持って行ったのだった。
でも,考えてみれば,カレンダーってのは1年ぶんまとめて売られているものばかり。月ごとにバラで売られているものなどないから,前述の「入院」の他,短期の雇用者や施設利用者など,「その人用に数ヶ月ぶんだけ欲しい」ような場合や,1~2ヶ月後にあるイベントの準備のための予定だけ書ければいい時でも,1年ぶん購入せざるを得ない。
「必要な月だけ既製のカレンダーからコピーして予定を書き込む」なんて方法も考えられるが,既に他の人の予定が書き込まれていると使えない場合も多い。だからって,新たにカレンダーを手に入れたくても,夏を過ぎちゃうと「その年の」予定を書けるカレンダーなどまずない。どの店も既に翌年のカレンダーばかりになってしまっている。
しかも,「A4 版」というのはカレンダーとしては大きさが中途半端な感じもする。机上で使うものの多くは,予定を書き込める領域確保のためか日付の数字はそんなに大きくないものが多い。でも目の悪い人用には近くで見れて字も大きいほうがいい……なんてジレンマを抱える。
欲しいのは「手元で見れて日付が大きい必要な月だけのカレンダー」だ。そこいらで売られているものは,小型タイプだと数字も小さいし,大きな数字のものは本体がデカい。しかも1年ぶんも要らない。
A4 版程度で,日付の大きいカレンダーが必要な月だけ手に入る……そんなツールを考えてみた。
● ツール本体 / The tool URL
ツール本体は以下のリンクよりご利用ください。横型か縦型か,今月か来月かを選ぶリンクがあるので,ご希望のものを開いてください。
◆ ご利用時の留意点 / usage note
(In English, please read the notice directly in The tool URL above.)
本体のほうにも印刷時の留意点が記載されていますが,ザッと概要を挙げると以下のとおり。
- 用紙は A4(210×297mm),余白は上下左右に各 10mm,ヘッダ・フッタなしを想定。これ以外の大きさの用紙に印刷したい時や,ヘッダ・フッタが消せない時は,ブラウザのズーム機能で「拡大/縮小」して用紙に収まるよう調整できることがあります。
- 祝祭日を赤い数字にするなど予定の埋め込み表示をしたい時は,後述する「予定埋め込み表示」の章を参照してください。海外からも利用される可能性を考えると,既定で特定の国の祝祭日だけ赤く表示してしまうわけにもいかないので,別途設定する仕様としてあります。赤い表示はモノクロ印刷だと薄くなり見づらくなることも考えられるのでご注意ください。黒一色のカレンダーに重要な日だけ自分で予定を書き込むといった使い方もアリです。
- ブラウザやサーバの設定によっては自動的に日本語にならないことがあります。その場合は「日本語 Japanese」のリンクを開くか,またはカレンダーのクエリー(URL 末尾)に“&l=ja”を追加して読み直してください。
- 同じ月が複数枚必要な時は,印刷時に「部数」を指定すると便利です。
- 表示されたデータは,無改変で非商利用なら作者の承諾や使用料は不要です(=自由な使用)。「商利用」とは一部の組織や個人の優位性の獲得(たとえば対価の要求や販促利用など)を目的として当事者や関係者が使用することです。「自由な使用」に該当しない未承諾時の使用料は1件=1万円を設定しています。
● クエリーと設定の詳細 / Queries and details
クエリー(カレンダー表示時の URL の ? 記号以降)部分には,以下のような指定が可能。& 記号で区切って指定してください。
以下は指定可能なクエリーの概要。詳細は後述の各節を参照。
- "d=p" Portrait. And border lines needed. (omit: Landscape)
縦型を指定します。罫線も可能。既定値(無指定時)は横型。 - "l=ja" Japanese. Another for English. Omitting for default.
既定を無視する言語指定。ja は日本語,それ以外は英語。 - "m=+1" Next month. "m=-1" Previous month. And so on.
月の指定。現在の月からの相対,または年月指定可能。 - "y=year" Year with direct month. 月の直接指定時の年指定。
- "f=fontname" It can specify font installed your machine.
表示させる端末にインストールされているフォント指定可能。 - "fw=" Not bold. 日付の数字の太字指定を取り消す。
- "s=60px" Date digits size. Setting small is good for memo.
日付の数字サイズ指定。小さくすると予定書込みに便利。
◆ ブックマークの利用 / use bookmark
You save the bookmark with some queries below into browser, and calling it generates your favorite calender anytime.
以下で紹介しているパラメータを指定したブックマークを作ってブラウザに保存しておけば,呼び出すだけで常にお好みの書式でカレンダーを表示します。m の月指定を略したブックマークにしておくと,20 日を境に自動的に翌月のカレンダーが作られます。m=+1 と指定しておくと常に翌月のものになります。
◆ A4 以外の用紙に印刷したい / sheet size
Target is A4 size sheet. Printing other size sheet might be able to adapt by adjusting with browser zooming function.
ブラウザのズーム機能で「拡大/縮小」表示をすることで印刷したい用紙サイズに調整できる場合があります。これはクエリー指定ではなくブラウザの機能です。よく使われる用紙向け設定は以下のとおり。
- A5 版(149×210mm)70%
- B5 版(182×257mm)87%
- B4 版(257×364mm)122%
- A3 版(297×420mm)140%
◆ 横型・縦型と罫線の指定 / Landscape or Portrait and lines
"d=p" generates Portrait style. Other, Landscape style.
"d=pb" draws a border line. "d=pb2" draws 2 lines. 2-5 OK.
d=p を指定すると縦型になります。他の値や省略時は横型です。
当初は日付の枠内には罫線のない仕様だったのですが,家族に見せたら「罫線が欲しい」ということだったので対応しました。d=pb または
d=pk とします。続けて数字を記載すると線の数を指定可能。たとえば
d=pb2 とすると2本表示します。5本までは少しずつ線の間隔を狭くして対応しますが,6本以上は変わらないので,日付の数字にかぶったり枠の上にはみ出します。s クエリーで数字を小さくするなどである程度対応可能な場合もあります。
罫線が指定できるのは縦型の時だけです。
◆ 任意の月を印刷したい / another month
"m=+1" Next month, "m=+2" 2 month after and so on. "m=-1" Last month, "m=-2" 2 month ago and so on. "m=+0" Generates current month always. "m=1" Jan, ... "m=12" Dec. From last month to 10 month after. "y=2025" You can specify year when m=x direct specifying. Omit: This or next month bordered date 20th JST (UTC+9H).
翌月の指定は m=+1,2ヶ月後以降も m=+2,m=+3 などと指定すれば対応します。
なお,マイナス記号は過去の月を表示します。たとえば m=-1 は前月のカレンダーを表示します。2ヶ月前以前も同様です。
m=9 などと指定すると 9 月を表示しますが,これで表示できるのは前月から 10 ヶ月先の範囲です。つまり m=-1~+10 相当で,それ以外は年も同時に指定が必要です。たとえば「2025 年9月」に2ヶ月前を見たくて m=7 としても来年の7月になるので,この場合は m=7&y=2025
と指定します。年の指定は月を直接指定した時のみ有効です。
m 指定を省略すると,19 日まで当月,20 日以降は翌月のカレンダーを表示します。強制的に当月を表示したい時は m=+0 と指定します。
◆ 予定の書き込み欄を広くしたい / date font size
"s=60px" Default. "s=30px" Ex. harf-size. Good if you want note space.
日付のフォントの大きさを指定できます。既定値は s=60px。たとえば s=30px とすると半分の大きさになります。予定を書き込める領域を広くとりたい時に小さい文字を指定すると便利です。
◆ 言語 / language
"l=ja" Force Japanese. Another value shows English. When omit, cookie or browser locale setting is adopted. Specifying only "l=" (empty value) query resets to default.
日本語と英語のみ対応。日本語指定以外は全て英語表示となります。
ブラウザの設定言語としてサーバ側で ja を受け取っていれば,特に設定しなくても日本語で表示します。
(カレンダーの画面ではなく)書式の選択画面を呼び出す時に l=ja
のみ指定すると,その設定がクッキーに保存され,以降は既定で日本語表示になります。もし書式選択画面に「日本語 Japanese」のリンクが表示されていれば,それを開いても同じです。ブラウザ設定より優先されるため,海外仕様のブラウザで日本語のカレンダーを印刷したい時,逆に日本仕様のブラウザを海外で使っていて印刷したい時などに便利です。ja 以外の値を指定した時は英語表記になります。
書式の選択画面上の「既定言語 / Default Language」ボタンを押すか,“l=”と空を指定すると,クッキーの言語設定を消去します。以降はブラウザ設定が優先されます。
カレンダー表示時のクエリーに l=xx を指定すると,そのカレンダーの表示の時だけ有効になります。クッキーには保存されません。たとえば,既定で日本語のカレンダーを表示する時でも,l=en(ja 以外)を指定して表示したものは英語のカレンダーになります。
◆ 好みのフォントにしたい / favorite font
"f=courier" or 'Arial Black',Gothic,sans as the default. "f=OCR-B" If installed. Font for Optical Character Reader. "f=VL+PGothic" If installed. '+' means space in URL query. Unexisting the font, browser setting is adopted.
f にフォント名を指定できます。お使いの機械ごとにインストールされているフォントは違うので,お手持ちの機械にあるお好きなフォント名を指定してご利用ください。
既定値は courier,'Arial Black',Gothic,sans の優先順位で指定されています。
courier は,タイプライターで使われるフォントに近いもので,英数の字は見易いので作者はよく使います。
Arial Black は太い文字が特徴で,いかにも「カレンダー」な感じ。
Gothic と sans はほぼ同じ意味で,どちらも一般的なゴシック体。
お手持ちの機械にいずれもインストールされていなかった時は,表示させたブラウザに設定されているフォントが採用されます。
他には,OCR-B というフォントは見易いです。もしインストールされていたら指定してみてください。よくバーコードの下に印刷されている数字がこれで,元々はコンピュータで自動的に読み取るために作られた文字のようで,人間が見ても分かり易いです。
作者は VL PGothic もよく使う。Vine Linux という OS 用に作られたようですが,なかなか見易いので使わせてもらっています。
あと,最近(2025-9)知ったのは Frutiger LT(フルティガ LT)というフォント。道路標識の数字に使われるようになったとかで,視認性が重要な標識で使われるだけに,これもなかなか見易いです。
他に,Windows 辺りでは「メイリオ」などが見易かった気がします。また「UD……」といった名前のフォントは「ユニバーサルデザイン」を意識したものと思われますので,見易いはずです(たぶん)。
個人で使うぶんには「絶対に見易くなきゃダメ!」ってことではないです。手書き風「スクリプト体」や丸文字など,フォントの指定を変えるといろいろなカレンダーができるので,お手元の機械にインストールされているフォントを調べて,お好みのものを試してみてください。
フォント名を URL に直接指定する際は,スペースを半角の“+”記号か“%20”に置き換えて指定します。たとえば VL PGothic の場合は,“f=VL+PGothic”または“f=VL%20PGothic”と指定します。
なお,フォント名を間違って指定すると上記の既定値やブラウザ設定が採用されてしまうので,変える指定をしたはずなのに見た目が変わらない時はフォント名をよく確認して指定し直してください。
◆ 太字指定の解除 / no bold
"fw=" Empty value cancels default 'Bold' specifying.
既定値では,日付の数字は太字指定(bold)になっていますが,元々太いフォントを f= で指定すると,太過ぎて逆に見にくくなる場合もあります。その際は“fw=”を指定してください。指定値は空にします。
● 予定埋め込み表示 / Custom Embedded Schedules
Originally, I was going to public this tool without feature of displaying schedules, but it could let to have the feature and became more useful after a little tinkering. You'll be able to embed some schedules you wanna show into the calendar.
"scdef=filename" Specify schedule definition filename or URL. "sched=schedule_definitions" Schedule format (below) string.
...&scdef=USholidays.txt&sched=[color:gray]"Closed"Thu ('USholidays.txt' file can read on the "tool" directory.)
当初,このツールは「祝祭日表示」といった予定の埋め込み表示機能なしで公開するつもりでした。なぜかというと,「特定の月だけのカレンダーが欲しい」という需要は,けっこう世界中にあるのではないかと思ったため。もし日本の祝祭日だけを表示する仕様にしてしまったら,せっかくウェブに公開して世界中からアクセスが可能なのに,そうした海外の需要には応えられなくなってしまうなぁといった考え。
とはいえ,カレンダーというのは「いつが祝祭日なのか」を知る役割もあるわけで,全く表示できないとそれはそれで「役割」を一部果たせないような気もした。そこで,公開前に少々いじってみることにした。
祝祭日の日付を赤くする仕組みを埋め込むのはそんなにむずかしくないと思ったが,最近の休日は「第○×曜日」といったような決め方もある。わりと単純な法則だから,その「法則」を埋め込む方法が作れれば設定もラクになるだろうと思った。そして「第○×曜日」的な「法則」といえば……ゴミ出しの日。これは国どころか自治体やその下位の町や何丁目かによっても違ったりするから,それを共通の祝祭日に「追加」でする機能もあれば便利。かといって,それは「休日ではない」から,「赤い字で表示する機能」だけでは都合が悪い。
そんなことを考えていたらわりと便利な仕様が追加できたんで,ついでに紹介しちゃいます。祝祭日の表示に追加するカタチで,ゴミ収集日やイベントの予定なども埋め込みできるようにしたため,たとえば施設で配布するカレンダーに施設で独自に開催するお祭りの日を埋め込んで表示させ,それを印刷して配る……なんてこともできちゃうでしょう。
以下で説明している予定フォーマットを書き並べたものを読ませることで,予定埋め込み表示ができます。ファイルにした時はそのファイル名または URL を scdef クエリーに指定します。あるいは sched クエリーに文字列を直接指定します。この2つは併用できます。
◆ 予定ファイル指定 / schedule definition file
"scdef=." Specify default schedule definition file for Japan. "scdef=JPholidays.txt" Same as ⤴. "scdef=USholidays.txt" Specify US holidays schedule file. ('USholidays.txt' file can read on the "tool" directory.) "scdef=http://hostname/dirname/filename" If the file on web.
scdef に次節「予定書式」で定義した予定を並べて記載したファイル名,または URL を指定します。なお,日本向けの省略形として '.' が使えるようになっています(上記ソースの1行め)。数年先くらいまで対応させておくつもりですが,国の勝手な都合で休日を移動や増減されると対応しきれないこともあるので,あまり過信はしないでください。
なお,文字コードは「UTF-8」で記述してください。
◆ 予定書式 / format of schedule items
The content of "scdef=file" and "sched=string" queries can be specified "date style and embeded schedule". The format is below, or you can understand it faster to see the sample-file (e.g. USholidays.txt).
以下のフォーマットで「予定」を並べて記載したものを読ませることで,予定の埋め込み表示ができます。指定の例として JPholidays.txt をブラウザに表示させて見てもらうと理解が早いかもしれません。
[style] "eventA" freq1 day1/mon1/year1, freq2 day2/mon2/year2, "eventB" freq3 day3/mon3/year3, freq4 day4/mon4/year4,
各指定内容の意味は以下のとおり。
- style: CSS style-sheet script. Ex. [color: red]
CSS 仕様で記載した書式。空文字列を指定すると日付の書式を変えず eventX のみ表示するので,ゴミ収集日表示などに便利。 - eventX: Display word. Ex. "Birthday" (omit: same as prev.)
UTF-8 の文字コードで表示する文言を指定。省略すると直前の指定と同じ になる。上記では day2/mon2/year2 の日に eventAが表示され,day4/mon4/year4 の日は eventB を表示する。空の文字列を指定すると日付が sytle で指定の書式に変わるのみ。 - freqX: all|every|1st|2nd|3rd|4th|5th|last (omit: all)
曜日の前に記載し何週目かを指定。省略時は all と同じ。 - dayX: sun|mon|tue|wed|thu|fri|sat|<date-number 1-31>
曜日,または日にち指定。 - /monX: /Jan - /Dec | /1 - /12 (omit: every month)
月の指定。省略時は「毎月」。 - /yearX: year-number (omit: every year. Good for specifyingsubstitute holiday)
西暦による年の指定。省略時は「毎年」。「春分の日,秋分の日,振替休日」のように,年により違う休日の扱いに便利。
ファイル内の # 記号以降は行末までコメントとして無視されます。Characters from '#' to the end of line are ignored as comment in schedule definition file.
● おわりに / Epilogue
カレンダーを掲示することには,日程に見通しを付け易くする意味があるわけで,そこに予定を書き込むということは,バッティングや過密スケジュールなどを避けて計画性を高める目的があるはず。いずれにしても,効率的な行動を実現するためでしょう。
では「短期的に」そうした効率化を実現するための「カレンダー」があっただろうか。今回このツールを作ってみて実感したのはそこ。
カレンダーや手帳は今までもあった。でも通常は「1年ぶん」まとめてしか買えない。しかも売られている時期は,夏の終わり頃から翌年ぶんが発売され始め,せいぜい年が明けた春頃までの間だけ。それを過ぎると「その年の」ものはまず手に入らなくなるから,年の後半に数ヶ月先までの予定表を作りたくなったりしても,対処がむずかしい。
ましてや,年をまたいだカレンダーや手帳なんかほとんど売られていない。年をまたいだ数ヶ月分だけどこかからコピーしてきたりすると,フォーマットが異なって統一感がなくなり,計画を書き込んでも分かりにくくなる可能性も高まる。
加えて,今回作ったツールのような「手元に置いて見れるほど比較的小さめで,でも字は大きい」ようなカレンダーはあまりない。今どき,どこも高齢化への対応を迫られているご時世だってのに,視力が落ちた高齢者を意識したカレンダーがなぜなかったのか不思議なくらい。
ただ,今どきは「表計算ソフト」というものがあるから,カレンダーのような表は比較的簡単に作れる。「はじめに」で述べたとおり,このツールの元のアイデアも表計算ソフト。今回のような場合,セルに数字を入れて,フォントを見易いものにして大きく設定する程度の作業で,希望したようなカレンダーは比較的簡単に作れることになる。
「簡単ではない点」があるとすると,述べたような「年と月を入れれば自動的にその月のカレンダーができる」なんて機能を付加するスキルくらい。とはいえ,1つ作ってしまえば,その後何十ヶ月にもわたり,年と月を入れるほんの数秒だけで一瞬にしてできてしまうわけだから,とっとと誰かにそれを作ってもらったほうがラクに決まっている。
「カレンダー1つ作る手間などたいしたことない」と思うだろうか。会社などの組織内でそうしたものが必要になる場合,多くは月が改まるごとに作る必要が生じることも多く,そうなると差はどんどん広がる。セルに数字を入れてカレンダーを作るのに 10 分かかったとする。片や自動作成されるカレンダーに年と月を入れるのが 10 秒だったとすると「60 倍」違うことになる。しかもそれ,その後の何十ヶ月,何年も先のぶんまで続く。月が改まるごとに作るとすると,1年だと 12 倍だから,2分と2時間まで広がる。コスパやらタイパ(タイム・パフォーマンス)を重視したり,「人手不足」や「資金不足」が問題であるなら,なおさら「自動作成のカレンダー」を作っておいたほうがいいはずだ。
ただ,誰かに作ってもらったなら,それなりの報酬が必要。それは,いちいちセルに日付けの数字を入れてカレンダーを作っていた時間が,年と月を入れるほんの数秒になり,それが繰り返されることにより節約できる時間の差,それを経費に換算した額を十分に考慮したものであるべきだと思うのだが……今の日本社会にそうした考え方ができるだろうか。たとえば,2時間かかっていたものを2分で済ませられるようにした功績のぶん,差の1時間 58 分ぶんの報酬を上乗せするような感じ。今の日本社会ではそんなことはしない。2分で済むようなことだったとみなされ,2分ぶんの報酬にされるだろう。おそらくその「自動カレンダー」を作るのに何時間か費やしていても……である。つまり,効率を上げた人は損をしてしまうのだ。今の日本の労働システムというのは。そりゃ,誰も損などしたくないから,効率を上げようと思わなくなる。それで「人手不足だー! 資金不足だー!」と嘆いているのが実態。
筆者は表計算ソフトでそうしたカレンダーを作り,また今回のようにそれをウェブツール化するスキルもあるわけだが,今のところそうした仕事の話は来ない。コロナ以降,実質ニート化したまま。効率を上げる気のない今の日本社会には必要とされていないのだろうと感じている。
現場がどんなに「効率を上げたい!」と思ったって,経営者や組織の長がそう思っていなければ上がらないのだ。では,そのような人たちに「効率を上げたい!」と心から思っている人がどれほど居るだろうか。
筆者が表計算ソフトで作った側は,年と月を記入すると自動的にカレンダーの日付が入るようにしたから,そっちを公開すれば誰でもいつでも手元で欲しい月のカレンダーが作れちゃう……ように思われるかもしれないが,じつはそれ,エクセルではない。筆者は数年前,エクセルに使いにくさを感じ,使うのをやめてしまったのだ。その時に使ったのは「リーブルオフィス」と呼ばれるオフィススイートの中の表計算ソフトだったが,普段使っているものはその元になったとも言える「オープンオフィス」と呼ばれるもので,どちらも無料で使える「フリーソフト」だ。「その作ったカレンダーを使いたい」と思う方もいるかもしれないが,埋め込んだ数式の一部がエクセルで機能しない可能性があり,結局エクセルでは使えないと思われる。そんなこともあって,今回はウェブ上で使うツールにしたという感じ。
エクセルの使いにくさは既に広く知られていると思うのだが,使いにくいものを使い続けることはスゴくタイパを落とし,手間がかかることになるから人手不足の要因にもなる。ましてやエクセル自体有料でお金がかかるからコスパ的にも疑問なのだが,いまだに多くの人が使っている。それで世間に「人手不足だー,お金が足らないー!」なんて声があるのは,筆者としては意味不明。
効率を上げたいなら,コスパやタイパを重視するのは当然で,ならばエクセルなんていつまでも使っていると効率を落とす要因になるわけだが,それで「効率を上げたい!」と心から思っていると言えるのか。
全部いっせいに変えろなんて話ではない。今回のような「カレンダー作成」などの,通常業務と切り離せる一部の仕事から少しずつ置き換えることくらいはいつでも始められる。今回の場合も,エクセルとは別に「オープンオフィス」といったオフィススイートの使える機械を1台でも置いておけば,筆者が作った「自動作成カレンダー」も直ぐ使えるわけだが……まぁ,現場で方針を定める人が「やってみよう」と決断しない限り,そうはならないのが普通。すると結局は,月が変わる度に日付の数字を入れてカレンダー作りに時間をかけることになるだろう。コスパ,タイパを落とす要因を抱え込んだまま少しも変えようとしないで,「人手不足だ! 資金不足だ!」と嘆いているのが今の日本社会のように見える。それが介護福祉の現場にもあることなら,いつになろうとそれらの問題が解消するワケないのだ。
変えようとしない人が変わらない限り事態が変わることはない。