デジタル化なら「スタイル編集」すべき


公開 (UL): 2020-11-29
更新 (UD): 2020-11-30
閲覧 (DL): 2021-07-28

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 ワープロソフトを使う人は,「書式」と「スタイル」はだいたい同じ意味と考えていることも多いと思われるが,厳密には違う。しかもどちらを重要視するかで,編集の効率と作られるファイルの機能に大きな差が出る。たとえば,PDF の閲覧ソフトには「見出し一覧」を表示させる便利な機能があるが,これは「書式設定」だけではダメ。「スタイル」を使った編集をしていないと機能せず,相対的にかなり不便になる。
 公官庁サイトからダウンロードした PDF などにも,こうした機能が使われていないものが多い。デジタル化の推進とか何とか言いながら,デジタル化で得られる「恩恵」が無視されているのが実態。なぜか。
 その理由の一端が垣間見える気がする事例がある。一時期お付き合いのあった大学の先生の NPO 立ち上げに際し,筆者は「ウェブサイト」など IT 上の助言を求められたことがあった。当然,「文書ファイルは『スタイル編集』すべき」と進言したが,そう言い出した途端,えらく嫌われ,その後連絡が来なくなった。IT 関連の助言を求められたから重要と考えた点を進言したのだが……なぜそこまで嫌うのだろうか。
 この記事では「スタイル編集」についてちょっと突っ込んでみたい。

● 「スタイル編集」の重要性と必要性

◆ 「書式」と「スタイル」の違い

 大まかには,「書式」と「スタイル」には以下のような違いがある。

 ここでは,その部分が「見出し」か「本文」か「引用部分」かなどの区別を「構成要素」と呼ぶことにする。その構成要素を「区別できるようにする見た目の設定が書式」で,その「書式を定められた構成要素がスタイル」という感じ。英語で「スタイル」というと「見た目」の意味に近い感じだが,ワープロでは,どちらかというと「構成要素」に近いものと考えると理解し易い。
 編集中に,そこが「本文」か「見出し」か……といった「構成要素」を分かるようにしたい時は,それらを示す「特有の書式」を設定することが多いから混同されるのだろうと想像している。たとえば,最も文字が多い本文は「12 ポイントの明朝フォントに」するとか,見出しなら「大きめの 18 ポイントのゴシック体フォントに」という感じ。だから「スタイル編集」とは,書式を指定することと思われがちだが,じつは違う。たとえ全ての文字を,同じ大きさ,同じフォントで記述したとしても,どこが見出しで,本文で……といった「構成要素」は,記述する側では区別していることもあるはず。つまり,書式を設定しなくても,「構成要素」は存在しているということ。ただ,書く側がそれを区別していても,全て同じ字だと読む側は分かりにくい。そこで,構成要素が異なれば文字の大きさやフォントを変え,逆に同じ構成要素は統一し,そこが何の構成要素かを見て分かるようにする機能が「書式設定」で,そうして特定の書式と結びつけられた構成要素が「スタイル」だ。
 たいていの場合,あるレベル(章,節,項など)の見出しを「ゴシック体にする」と決めたら,全ての同レベルの見出しを同じゴシック体にするだろう。とは言え,「見出しは全てゴシック体にしないとダメ」といった取り決めがあるわけではない。明朝体でも,太めの大きなサイズで「中央寄せ」する書式の設定などで,「見出しらしく見せる」ことは可能だ。つまりこれは「『見出し』というスタイルに対して特有の書式を割り当てている」ことになる。一方,「逆」はない。つまり「特定の書式にスタイルを割り当てる」ようなことはしない。たとえば,本文中で重要な用語を強調したい時に,部分的にゴシック体にすることもよくある。すると,そこがゴシック体だからと言って「『見出し』か?」といえばそうではない。同じ構成要素はたいてい同じ書式にするが,同じ書式だからといって同じ構成要素ではないことは十分ありえるわけだ。
 実際,ワープロのメニューには「書式設定」と別に「スタイル……」という項目があり,「スタイル」の設定の中では「書式設定」ができるが,「書式設定」の設定内に「スタイル指定」の項目はないのである。

◆ 「スタイル編集」で働く機能

 で,ワープロで文書を作成する時に重要なことは,極力「スタイル」で編集し,文字に対して直接「書式設定」を使わないようにすべき点。なぜかというと,ひとつは,PDF 閲覧時の機能で,「スタイル編集」をしていれば使えるが,書式設定だけでは使えないものがあるからだ。
 その「機能」とは「ブックマーク」と呼ばれるもの。直訳すると「栞(しおり)」だが,どちらかというと「もくじ」に近い。などと言うと「いや,スタイル編集などしなくても『もくじ』くらい作れるわ!」と思われるかもしれないが,ここで言う「もくじ」とは,文書内に掲載するものではなく,閲覧ソフト側に備えられた機能のこと。「もくじ」や「ブックマーク」などの呼び方の他に,「インデックス」や「アウトライン」,「TOC」とも呼ばれる。
 結局,何かというと「『自動的に作られる』見出しの一覧」のこと。PDF の閲覧ソフトには,文書ファイルの中から「そこが『見出し』だ」とマークが付いている文字データ部分を抜き出し,その一覧を自動的に作る機能がある。それだけなら別に文書内に作る「もくじ」とたいした差はないが,PDF で自動的に作られる「もくじ」には,本文の書面の横などに別枠で表示させたり,あるいは,本文のどこを読んでいてもすぐに表示を切り替えられる機能があるため,両方を見ながら読めるうえ,その「もくじ」は,見出しをクリックすれば,本文の該当部分をパッと表示できるから,学術文書や報告書のような,「参照したい図表などが前後に散在した文書」を行ったり来たりしながら読めてたいへん便利。

▼ PDF 閲覧ソフトの「目次」表示機能
PDF 閲覧ソフトの「目次」表示機能

 上の画像で,左側にある閲覧ソフトの「目次」は,右側の本文でどこを読んでいても表示させることができて,一覧にある文字をクリックすれば,本文側に該当の部分をすぐ表示させることができる。もちろん,その「目次」を表示させずに,本文のみの表示にすることもできる。
 当然,それは「機能するように作ってあれば」の話。その機能に対応していない PDF ファイルは,閲覧ソフトでその機能は使えない。その場合の「もくじ」は,ファイルの作成者がその文書内に作っていなければ見れないし,作ったとしても,一般的には本文の前あたりに置かれるだけだから,「もくじ」を見たい時は,それまで読んでいた本文の部分から離れて「最初のほう」を表示せさなければならない。上の画像のように「本文の横の枠に表示して……」とはいかないのが大きな違い。
 もう分かると思うが,PDF のデータ内に「そこが『見出し』だ」というマークがなければ,それを読むソフトで「見出し一覧」は作れない。文書を作る側が「見出し」のつもりで,いくら「大きな文字」とか「ゴシック体」などの「書式」を設定しても,前述のように,文字が大きいから,あるいはゴシック体だからといって,必ずしもそこが「見出し」と限らない可能性もあるのだから,ワープロソフト側には「書式設定」だけでは「見出し」とみなされず,作られる PDF にも反映されない。だから「ブックマーク」機能を使うなら,「ここは『見出し』です!」とワープロソフト側に分かるようにする必要がある。それが「見出し」という「スタイルを設定すること」というわけだ。

 「その程度のためにわざわざ『スタイル編集』などする気にはならない」と思うだろうか。じつはメリットはそれだけではない。「見出し」などをスタイル編集している文書データでは,たいていのワープロで,その「文書内に目次を自動生成する機能」も働くのである。ワープロの「挿入」のメニューの中に,「目次と索引」などといった項目がないだろうか。これはつまり,「もくじ」を自動的に作成できることを意味しているのだが……それができるのは「見出し」などを「スタイル編集」した時だけ。章,節,項などの見出しが何十項目あろうとも,この自動挿入の目次を使えば,その「見出し」の項目一覧とページ番号を対応させる処理は,ワープロ側でほぼ全てやってくれるのである。「スタイル編集」によって働くさらに便利な機能は,この「目次の自動生成」だ。
 つまり「スタイル編集」をすれば,編集しているワープロソフトでの「もくじ」の自動作成機能と,PDF にした時の「ブックマーク」の機能が,両方とも使える……逆に,「スタイル編集」をしなければ両方とも使えないというわけだ。

 「デジタル化」されたこの時代,「スタイル編集」をするかしないかで,どれだけ効率が違うかは,もう言うまでもないと思う。

● 「スタイル編集」の方法

 といっても,「スタイル編集」の方法は,至極簡単。ワープロで編集している時,メニューバーに「……明朝」とか「……ゴシック」といったフォントや字の大きさなどの書式を指定する枠があると思う。だからついそこで書式を設定したくなるが,そこを我慢。その横(多くは左)に「標準」あるいは「本文」と内容が記載された枠があると思うが,それが「スタイル」なので,そっちを設定すればいいだけだ。

▼ 「スタイル」の設定枠
「スタイル」の設定枠

 つまり「標準」とか「本文」の表示は,現在編集している文字部分が「見出し」でも「引用」でもなく,「標準書式」で表示すべき内容……多くは「本文」の扱いだったということ。だから,そこを「見出し」にすれば「見出し」扱いになるわけだ。「見出し」を設定したい時には,該当行にカレット(文字のカーソル)を置くか,選択した状態で,枠の横の [▼] ボタンを押して,「見出しN(←数字)」を選択すればいいだけの話。Nの数字は「レベル」を示していて,1が一番大きな区分,以下,2,3……と数字が大きくなるほど小さな区分として扱われる。

 一例として,筆者の区分の使い分けは,以下のとおり。

 ウェブ記事で使われる HTML 規格で使える見出しのレベルが6つなので,とりあえず6つまで取り決めているもの。
 もちろん,別に上記の通りに指定する必要がある「わけではない」。特に「素(element)」というのは,筆者独自の使い方なので,あまり気にしないよーに。「項」の下位レベルには「目(もく)」を使うのが一般的らしいけど,箇条書きの「項目」とか「目次」など,「目」の字は他の区分でも使われることがあるので,紛らわしさを避けたつもり。ワープロでのレベルはもっと深くまで指定できるし,書く内容によって必要になるレベルの「深さ」も異なるだろうから,適宜,書く人が使い分ければいいと思う。ただ,社内など組織の中でやりとりする文書については,共通した取り決めを作ってそれに従い書類を作成したほうが,その組織内での扱いが容易になる場合もあると思う。

 なお,そのスタイル枠内に表示されないスタイルは,その選択肢内に「詳細……」や「その他……」などの項目があればそこを選択するか,「書式」メニューに「スタイル……」表示の項目を選ぶかすると全てのスタイルを一覧で表示するので,そこから選ぶ(2020-11-30 追記)。

◆ キーボードショートカット

 じつは,「見出し」のスタイルはもっと簡単に設定する方法がある。それは,[Ctrl]+数字キー。筆者が使っている OpenOffice のワープロでは,1~5の「見出し」レベルがショートカットで設定されている。

 たとえば,前述した「スタイルの枠で『見出し1』を選択する」操作は,キーボードなら [Ctrl]+[1] と操作するだけでいいわけだ。
 どのレベルまで同じキー操作で使えるかは分からないが,マイクロソフト社製のワードでも,同様なキー操作で「見出し」の設定ができると思う。

 ちなみに,見出しでも引用でもない,通常の文章部分は「標準」または「本文」という書式を設定する。これは,前述の「スタイル」枠でも設定できるが,キーボードショートカットでは,以下の操作になる。

◆ 「スタイル」に希望の書式を設定する

 「スタイル編集」でおそらく最初に悩むのは,「希望の書式にならない」という点だと思う。もちろん,希望の設定にすることは可能。だからと言って,最初に「書式設定」のメニューを選択してはダメ!
 ではどうするかと言うと,たとえば「見出し1」を,ゴシック体で,通常の 1.5 倍の大きさの字に設定する方法は,以下のとおり。

 筆者が使っている OpenOffice のワープロ画面では,以下のとおり。まずは,「書式」のメニューから「スタイル……」を選択すると,以下のような画面が出る。そこで,書式を変更したいスタイルで右クリックして,表示されたメニューから [変更…] の項目を選択する。

▼ 「スタイル」の書式変更
「スタイル」の書式変更

 現れた画面で,フォントやサイズなどを指定し [OK] ボタンを押す。

▼ フォントやサイズなど書式を設定
フォントやサイズなど書式を設定

 上記画像でも分かるように,指定することができる書式はフォントや文字の大きさに限らず,「インデント(部分的左右の余白)」や「間隔(行間)」,枠で囲んだり背景に色を付けたり,また画面には出てないが「配置(割付=左寄せ,中寄せ,右寄せなど)」などの指定も可能。上記の図は筆者が使っている OpenOffice のものだが,マイクロソフト社製のワードなどでも同様だ。ただし!……分かりにくい気がするが。

 こうして「見出し1」の「スタイル」に,フォントやその大きさなどの「書式設定」をしたら,以降「見出し1」を設定したい時は,該当行にカレットがある状態で,前述の「スタイル」の枠から「見出し1」を選ぶか,ショートカットなら [Ctrl]+[1] と押すだけで,「見出し1」として扱うフォントと大きさの設定が済むことになる。
 もしもこれを「書式設定」でやっていたら……実際はそこでも設定はできるが,その場合,「スタイル」に対する書式の設定ではなく,その箇所だけの部分的な変更の扱いになるため,「見出し1」全体にはその書式は反映されない。だから「見出し1」の数だけ「ゴシック体にして大きくして……」といった作業を繰り返す必要があるわけだ。もう,どちらがたいへんかは言うまでもないだろう。
 逆に言えば,「特定のタイトルだけ書式を変えたい」ような場合は,該当部分を選択して,メニューにある「書式設定」でしてもいい。たとえば,ある見出しだけ,一部に小さな字で「注釈的な」文言を付加しておきたいような場合。ただその場合も,「見出し内注釈」的なスタイルを独自に作成して対応したほうが,あとあと修正がラクになる。

◆ 後からの変更が超簡単!

 たとえば,ひと通り編集が済んでから「やはり見出しはもう少し大きいほうがいいな」とか,あるいは「新しいフォントが使えるようになったから,今回からそれを見出しに使おう」なんてこと言い出されたら,どう感じるだろうか。「そりゃー,言うのは簡単だろーよ!」とムカつくのではないだろうか。あちらこちらに散在する「見出し」の大きさやフォントを全て設定変更する手間を考えると,気が重くなるのは当然。
 しかし! そんなドタ変更への対応も,「スタイル編集」していれば超簡単。その「スタイル」に設定された書式を変更するだけで,全ての該当個所を一度に変更できるのである。たとえば前述の「見出し1」の例で,設定したフォントの大きさを「標準文字の2倍にしたい」場合,上記「スタイルの書式」で,文字の大きさを,200%,あるいは 24pt に設定するだけで,作業は終了! この操作により,全ての「見出し1」の字が一斉に2倍になってくれる。フォント変更も同様だ。
 逆に,もし「スタイル編集」していない文書で同様な変更をしたいとなったら,「見出し1」の個所を1つ選択して「書式設定」で大きさやフォントを変更して [OK] を押して,次の見出しをまた選択し……と,この作業を「見出し1」の数だけ繰り返す手間が要る。
 「スタイル編集」をしていれば,そうした手間は不要なのである。

◆ 「段落のスタイル」と「文字のスタイル」

 じつはスタイルは「種類」がいくつかある。分かり易いのは「ページのスタイル」。フォントなどではなく,印刷する紙や余白の大きさやらの指定で,それもある種の「スタイル」として扱われる。ただ,一般的には,それはその文書全体で同じものが使われるので,最初に一度決めてしまえば済み,あまり「スタイル」を意識して指定することはない。
 一方,「見出し」とか「本文」とか「引用」などのスタイルは,同じ文書の中に,異なるものが混在する。大きく分けて,それらにも2種類存在する。「段落のスタイル」と「文字のスタイル」だ。
 「段落のスタイル」には,見出しや,引用,箇条書きなどが属する。「文の途中(の一部の文字)に指定することができない」性質のため,別の「段落のスタイル」の構成要素とは必ず行が境目になる。同一スタイル部分を囲むと必ず四角になるので,「ブロック」とも呼ばれる。
 片や「文字のスタイル」は,同じ「段落のスタイル」の中にある任意の文字に指定できる。文章中の一部の文言を「強調」して表示したり,「ハイパーリンク(その部分をクリックすると,指定したウェブ記事やサイト,メール画面を呼び出す機能)」,また,生物の「学名」を示す時などに斜体にしたり下線を引いたり,数学で「ベクトル」を表す時に異なるフォントで太くしたりして,「学名」や「ベクトル」であることを分かり易く見せることがあるが,そうしたものが「文字のスタイル」として扱うべきもの。なお,一般的には,複数の段落スタイルをまたぐ指定はできない。

◆ 「ハイパーリンク」のスタイル設定

 ワープロに http から始まるウェブアドレスや,@記号を含むメールアドレスなどを記述すると,自動的にその部分が青くなって下線が付いたりすることがあるが,それは「自動でハイパーリンク化する」機能が働いて,同時に「ハイパーリンクのスタイル」も適用されたため。
 これは「オートコレクト」とか,「オートコンプリート」と呼ばれる機能だが,その青くなったり下線が付いたりするのが煩わしい場合,その機能を無効化する方法もあることはあるが,無効化せずに,述べてきた方法で「文字のスタイル」内にあるハイパーリンクのスタイルを変更し,標準の文字と同じ書式を設定するといい。そうすれば,ハイパーリンク機能は使える状態のまま,表示を周囲と同じにすることができる。
 ただ筆者の場合,ハイパーリンクのスタイルの書式は,「青い文字」は普通に黒に戻して「下線なし」にする一方で,よく文字の背景に薄いグレーを設定する。ウェブアドレスを示す部分に薄く色が着くから,そこをクリックするなどでサイトを呼び出せる「ハイパーリンク」であることが,見てある程度分かるわけだ。しかもたいてい,それを PDF のファイルにした時もハイパーリンクは機能するから,ワープロ上で見て分かるようにしておくことは意味がある。ついでに英数字のフォントを「等幅(=文字幅が全て同一)」にすると,ウェブアドレスも見易い。
 留意点は,段落の扱いではなく,「文字の」スタイルであること。

 なお,「訪問済みハイパーリンク」というスタイルが別にあり,たいてい「文字の色が紫」など,前述のハイパーリンクと少し設定が違う。ただ,訪問したかしていないかは,そのハイパーリンクを「ワープロから」呼び出したか否かで判断されるので,PDF 化したり,印刷したものを他の人に見てもらう際には全く関係ない。そのため「訪問済み……」も訪問済みでないハイパーリンクの書式と同じ設定に変更して,訪問の有無に関係なく,統一した表示になるようにしておいたほうがいい。

● 「目次」の自動作成

 述べてきたように,「スタイル編集」とは,そこが「見出し」なのか「本文」なのか「引用部分」なのか……などの構成要素をワープロ上で明確にする編集方法だが,特に「見出し」については,全て「スタイル編集」しておくことで,「目次を自動作成する機能」が働く。
 やり方は簡単。「もくじ」を置きたい場所にカレットを置き,ワープロのメニューの「挿入」の中から「目次と索引」などの項目を選択(その下にさらに目次か索引かの選択肢があればそこから「目次」を選択)すればいいだけだ。

▼ 目次の自動生成
目次の自動生成

 この方法で自動生成された「目次」が,次節掲載の図。

◆ 自動で作成された目次の書式設定

 ただ,その目次の書式設定は,やや複雑。目次内の表示のさせ方は,筆者が使っている OpenOffice の場合,以下の2つを分けて考える。

 まず,A. については,自動挿入された「目次」の上で右クリックで出るメニュー内に「……の編集」という項目があり,そこで指定する。

▼ 自動生成された目次の編集
自動生成された目次の編集

 なお OpenOffice では,その目次の項目をクリック,あるいはタップした時に,該当する本文中の見出し辺りに表示を切り替える「ハイパーリンク」の機能は,この「……の編集」の中で設定する。

 B. については,やはり「スタイル」で指定する。スタイル一覧の中に,「目次1」とか「目次2」などのスタイルがあるので,それぞれで「右クリック→変更」を選択し,目次内での見出しの書式を設定する。

▼ 目次内での「見出し」の書式
目次内での「見出し」の書式

 ちょっと複雑ではあるが,「スタイル」というのは,他の文書で設定したものをコピーすることができる。だから,一度しっかりと作れば,以降作成する文書では,目次にそのスタイルが使い回しできるわけだ。

◆ ページ位置や「見出し」の文言が変わったら?

 作成中の文書を編集すれば,「見出し」の内容や順番が変わったり,本文の長さが変わったために見出しのあるページが変わったりすることは,十分ありえる。そんな時に,その「自動生成された目次」はどうなるだろうか。やはり,自動で更新されるのか……というと,筆者の使う OpenOffice ではならない。でもそれでは,目次が「自動で」作成される意味がないのでは? 大丈夫! 完全自動ではないものの,やはり半ば自動で更新する方法がある。
 前項「自動生成された目次の編集」の図で,自動生成された目次の上で右クリックした時に表示されるメニューの中に,「……更新」という項目がある。そこを選択すればいいだけの話。

 でも,なぜ「自動的に」更新されず,メニューから手作業で「更新」の操作をしなければならないのか。おそらくだが,自動的に処理しようとすると複雑になって,編集しづらくなるなどの影響があるのではないかと考えている。というのは,編集中に自動的に更新する仕組みを作ると,見出しの数や文言の変化に応じ,その「目次」の長さも変化するから,場合によっては「目次を(自動的に)作り直した」ためにページ数が増減し,その影響で各「見出し」のページ位置もまた変わる可能性がある。すると,直後に再度「ページ番号を振り直す」必要も出てくる。多くの「目次」は最初のほうに置かれるから,そこで1ページ増減すると,本文の全てのページ番号に影響する。「自動的に目次を更新する」仕組みにしようと思ったら,ページがずれていないか常にちょっとずつ確認する処理が必要になる。「自動更新」では,編集中に,ある時突然「目次」のページが増えたりして,編集していたページが突然変わってしまう可能性も出てくるわけだ。数文字程度ずつ編集する度に,そんな感じで「増減したページ以降」の処理がされた場合,長い文章だとコンピュータにとってもかなり負担になると考えられる。そのため「自動で更新する仕組みではない」のだろうと思っている。大きな変更の編集が一段落したと感じた時に「更新」の操作をするのが無難というわけだ。
 それでも,その「更新」の操作をすれば,編集直後の見出しの文言やページ番号などを一度に反映してくれるのだから,手作業で「目次」を作り直しするよりずっとラクであることは言うまでもない。

 ただし! それは「スタイル編集をしていれば!」の話だ。もしスタイル編集をしていなかったら……編集によって見出しの文言やページが変わったら,「どの見出しがどう変更され何ページに移ったか」を確認し,目次の見出しとページ番号を書き換える……といった処理を,全て「手作業」でしなければならなくなるわけだ。
 「スタイル編集」していれば,目次を作り直す手間も「更新」の操作により数秒で終わる。「スタイル編集」を知り,普段からそうするよう心掛けているかいないかが,あとあと大きな差になるであろうことは,容易に想像してもらえると思う。

● PDF 作成の際の留意点

 「スタイル編集」すれば,PDF の閲覧ソフトで「見出しの一覧を自動作成する機能」が働くと書いたが,じつはそのためにもうひとつ作業が要る。とは言っても,PDF 作成の画面で「ブックマークの作成」という項目をチェックする点だけだが。
 筆者が使っている OpenOffice では,以下のとおり。

▼ 「ブックマークの作成」にチェック
「ブックマークの作成」にチェック

 これは,PDF 生成の方法によって異なるので,各ソフトの「ヘルプ」などを参照してほしい。

● おわりに

 「スタイル編集」は複雑でも何でもなく,たとえば「見出し」として見せたい部分は,スタイル指定枠で「『見出し1』などを選択する」だけ。キーボードショートカットを使えば,該当行で [Ctrl]+[1] と押すだけで済む。それだけで,PDF にした時に「見出し一覧」というたいへん便利な機能が使えるし,また編集中も「見出しXの書式を変えたい」となったら,スタイルに指定した書式を変更するだけで,文章中の全ての「見出しX」を一度に変更できるうえに,「目次の自動作成」機能が働くため,大幅な省力化になる。
 もしスタイル編集を「使わずに」見出しらしく見せようとした場合,全て「書式設定」ですることになる。すると,フォントをゴシック体にして大きめにして……など,複数の設定を「見出しの数だけ」する必要がある。PDF にした時も「見出し一覧」の機能は使えない。しかも,それを後から「変更したい」時は,「見出し」の数だけ変更作業が要る。もちろん,「目次の自動作成」も機能しない。「スタイル編集」するかしないかで大きな差があることは,もう分かってもらえると思う。
 ところが冒頭でも述べたように,どういうわけか「スタイル編集」で使える便利な機能はあまり使われていないばかりでなく,「使うべき」と言うと嫌われるのである。「書式設定」でやるよりずっと手間削減になるのに,なぜ詳しく知ろうともせずに嫌うのだろうか……。

 その「スタイル編集すべきと言ったら『えらく嫌われた』」という人からは,直後から連絡が来なくなったため,本当の理由は今も謎のままである。が,筆者に言わせれば,単なる「食わず嫌い」のような気がする。ただ,食べ物なら食べなければいいだけの話だが,このデジタル化の時代に,「デジタル化による恩恵」を「食わず」に……つまり「採り入れず」にいる人の存在は,大きな問題であるような気がしている。
 少々強引な「例え話」でいえば,「それを食べると健康になれる」という食材が登場したとして,「今までそんなものを食べなくても生きて来れたのだから」とか言って,食べるのを拒んでいるような感じ。そこまでは「本人の好み」で済む問題かもしれないが,周囲がみんなそれを食べて健康を手に入れて,精力的に活動するようになると,食べていなかった人は,相対的に不健康になってしまうことになる。周りの「健康になった人」について行けなくなって,「自分は周りほど健康でないのだから擁護してくれ」と言い出した時,果たして擁護できるだろうか。「なぜ『健康になれる』食材を食べないのか?」という疑問が先に来るのではないだろうか。

 デジタル化でも,多くの人が「日本は遅れている」という認識を持っているのではないか。なぜ遅れたのか? 「食わず嫌い」以外に,何か考えられるだろうか。「だって,判子が必要だったから……」といった声が聞こえてきそうだが,それは「判子は必要」ということを前提としてしまっている時点で,もう「入り口」の段階でデジタル化を拒んでいるようなもの。デジタル化を検討するということは,つまりは「判子の必要性を見直す」ことであり,それで「判子は不要にできるね」と気づけば,とっととデジタル化できたはず。なぜそこまで考えなかったのか……そこまで考えている「時間がなかった」というのも,よく聞きそうな理由。だが,デジタル化すれば,時間も節約できる。わざわざ「判子を押した書類を○○部に届ける」とか,「判子を押すために出社する」ような移動時間と交通費の支給などは,デジタル化すれば不要になる。それで節約できる時間とコストは,「デジタル化への手間と判子省略の検討」にかける時間とコストくらいすぐに追い抜いていたはずだ。
 なぜデジタル化は遅れたのか。「食わず嫌い」以外に,何が考えられるだろうか。

 日本も結局,「新型コロナウイルス」により,半ば強引にデジタル化の方向に舵を切らざるを得なくなった。そのため,今まで「判子文化」に依存していたことが原因と思われる様々な影響が出てきている。が,それは「本来依存すべきでない」判子に依存していたため……言い換えると,「デジタル化」を阻止したい口実として「判子」に固執していた面がないだろうか。それが表面化したのではないかと思っている。
 「日本が遅れている」と認識されているということは,デジタル化に関しては,欧米をはじめとして「他国のほうが進んでいる」と言えるだろう。つまり他国が「健康になる食材をどんどん食べている」とすれば……相対的に「食わず嫌い」でデジタル化が遅れた日本は,「不健康になってしまった」と言わざるをえないのではないだろうか。
 実際,経済や産業を海外と比較するとどうだろうか。ウェブでその手の関連記事を読めば,どれも「日本人の収入はどんどん下落している」という内容ばかりだ。物価も先進国中最低で,いわば「発展途上国並」になってしまったと嘆く記事もちらほら見かける。

 しかし,みんな死ぬほど働いている。だから,「過労死」や「うつ」になってしまう人が絶えない。「最低賃金」も,少しずつではあるが,引き上げられてきた。それなのに,なぜ収入は下落し続けるのか。
 デジタル化したらどうなるかを考えれば,理由は分かってくるように思う。「判子」の要らない海外はデジタル化が進んでいるから,文書などは PDF にしてメールなどでやりとりできる。わざわざ判子を押しにどこかに出向く必要はない。それだけどんどん効率が上がり,その分,社員など組織の要員もラクができているはずだ。ラクをしていても効率は上がっているから,「成果」は落ちない。だから,収入も減らない。それどころか,効率が上がった分だけ,むしろ増えてもいいくらいだ。

 一方,「判子文化」と「食わず嫌いな人」によってデジタル化が遅れた日本が,そうした海外を相手に「対等に」仕事をこなせるだろうか。海外から,メールで「ピッ」と数秒にして送られて来た書類に,判子を押すためにわざわざ会社に何十分かかけて往復したりする時間と交通費を費やすわけだ。これで日本で収入が上がるとはとても思えない。
 しかも,そうした「収入をあげさせない要因」となっている「食わず嫌いな人」というのは,たいてい「上司」など,上の立場の人たちではないだろうか。つまり「上が(デジタル化を)許さない」ということ。だから,末端の社員が「メールで済ませましょうよ」なんて言おうものなら,「そんなラクをして働こうなんて考えではダメだ!」とか何とか言われてしまう。冒頭の話を思い出して欲しい。NPO 設立を計画していた大学の先生……つまり,設立されれば「リーダー」的な存在になる人に,効率のいい組織運営を考えて,デジタル技術を活用してもらおうと「スタイル編集」を進言すると,えらく嫌われるのである。
 デジタル化による恩恵があっても,それを受けようとしないのでは,効率も上がらないから,その組織の負担が減るはずなどない。それどころか,取引先などが「デジタル化」を採り入れた場合,そっちで効率が上がった分だけ受ける業務が増える可能性があるが,こっちがデジタル化していなければ,こなせる業務の量に差ができる。で,どう対応するかというと,「サービス残業」などを強制してしまったりするのではないか。デジタル技術を活かした「ラクな働き方」を否定した上司がそんな対応をしていれば,そのうち「過酷さ」を嫌って辞めたり,「過労」で倒れたりして社員が減っていって,さらに負担が重くなる……という構図がないだろうか。全ては「デジタル化,食わず嫌い」の上司に原因と責任があるように思うのだが……。
 しかも末端で働く人は,デジタル化による効率的な手法を使うことが許されないまま,死ぬほど働いても報酬は増やされない。一方,デジタル化させない「上司」と呼ばれる人たちは,業務が増えた分だけ自分の報酬は上げることができる。こうしたことが,「格差」や「ワーキングプア」なんて言葉が生まれる背景にあるのではないかと想像している。

 述べてきたように,「スタイル編集」すれば,従来の「書式設定」による編集と比較して,ずっと省力化でき,利便性の高い機能も使える。それなのに,公官庁で配布されている PDF でその機能は使われていないわ,「そうすべき」と進言すると嫌われるわ……。デジタル化による恩恵を「食わず嫌い」で拒否する人だらけなのが実状なのである。
 「デジタル化」という,仕事を効率化しうる「食材」を積極的に採り入れて来た欧米と,「食わず嫌い」で採り入れなかった日本。相対的に「不健康」となるのは当然のような気がするのだが。
 再度述べれば,「デジタル化」が遅れている日本は,収入も物価も,ついでに「作業効率」も,先進国中最低レベルなのである。

 これでもまだ「スタイル編集」が浸透せず,従来どおり「書式設定」による編集作業が続くのだろうか。



© M.Ishikawa; TREEWARE 2021.